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「自分」を生きる~エリコさんの結婚に思う~

職場の先輩があらたまって、報告したいことがあると言う。
その先輩・エリコさん(仮称)はまもなく還暦を迎えようというお年頃。
「私、結婚するの」

長い髪が素敵で、全体的にふんわりとした、とてもチャーミングなエリコさん、本職の他に趣味の音楽活動にも力を入れていている。
お相手はバンド仲間だそう。

今時、熟年結婚は珍しくないけれど、本人は「こんな年なのに」「恥ずかしい」と繰り返す。

心から素敵だな、と思っているのは、仕事一辺倒でなく、自分の大切にしたいことにしっかりと向き合い人生を謳歌されている姿。
ずっとこうやって、ワークとライフのバランスをとりながら過ごされてきたんだろうなぁ、と勝手に抱いたイメージを打ち砕く言葉がその後、エリコさんの口から。

「親には内緒なの」
実家は地元の名士、80歳を超えたお母様が故郷でご健在とのこと。

そこからは複雑な親子関係の中で苦しんできたエリコさんのこれまでの人生の苦しさの吐露が続いた。
母親の虐待、呪縛から逃れて50で前で、ようやくこの地に来て本職に就いた。

エリコさんは、こんなに話す人だったんだ。次から次へと、思いが止まらない。

そこから10年、好きな場所に住み、好きな仕事を始め、好きな音楽の世界を楽しむ心のゆとりも生まれ、60で運命の人と出会ったのですね。
エリコさんは、苦しい「親捨て」をして、ようやく「自分」を生きられるようになった。

心から祝福します。
エリコさん、ご結婚おめでとうございます!

親との関係性。
近いからこそ、個々人として引くべき「境界線」を容易に超えて超えられて、気づかぬうちに他者の人生を生きる苦しみが繰り返される。

翻って自分自身、自分と親との関係性はさておき、子供達との関係はどうだろう。子供との境界線を超えてはいないかしら…。

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