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家賃高騰の救世主「リファイニング建築物件と団地リノベーション物件」

 ここのところ、家賃が高騰を続けています。不動産情報サービスのアットホーム株式会社によれば、主要都市を中心にマンションやアパートの家賃は最高値を更新しています。それでも家賃上昇は、少なくとも1年、あるいは数年は続くと言われています。
 今、新築マンションの賃料より安く抑えられる築古マンションの再生に商機があると言われています。三井不動産のリファイニング事業は、従来のリフォームやリノベーションと大きく異なり、建物そのものを構造レベルから見直すことで、外観や共用部を含むデザインや設備を一新することはもちろん、耐震性についても、躯体の軽量化・補強によって現行の建築基準レベルまで向上させ、建物の長寿命化を図っています。
 資材、建築コストの高騰で新築よりリファイニング建築で新築マンションより賃料を5%安くできるのでリファイニング建築の賃貸物件は満室となっています。また、リファイニング建築物件を購入するにあたり、リファイニング建築の認証制度を得て、基本的に50年の耐用年数の評価が得られれば、金融機関から30年から35年のローンを組むことができるので新築物件を購入するより、安くコストを抑えられるメリットもあります。
 使い道を失った建築物や人口流出による空き家問題、これらの建築物を再生利用した地域コミュニティーの復活など、地域の問題もともに考え、問題を解決する活動も今後ますます重要になってくると思われます。
 UR都市機構が無印良品と一緒に、様々な形で団地再生に取り組んでいる「MUJI x UR団地リノベーションプロジェクト」も面白い試みです。団地の良さを見直し、今の暮らしに合うスタイルにリノベーションしており、URとMUJIが共同開発したオリジナルパーツを団地の魅力を引き立てる新しいアイテムとして、リノベーション住戸に使用しています。
 部屋の構造体、柱や鴨居などは活かしつつ、キッチンや床材、ふすまや引き戸などを新しい形に変え、白いトーンで統一されたシンプルな部屋に仕上げており、若年層向けに販売していますが、人気物件は競争となっており、あっという間に売り切れてしまいます。URとMUJIは年間100室のリノベーション数を150室まで上げていく予定です。
 部屋が手狭になり、トランクルームの活用も増えているそうです。トランクルームの稼働率は90%を超えており、大都市圏を中心に高成長しています。今後も大都市圏を中心にトランクルームにも商機があるようです。
 日本は人口に対して住宅のストック数が多い「住宅過剰社会」と言われています。米国と違って資産価値が出て個人が不動産売買でより良い住み替えは非常に難しいです。少子高齢化により住宅過剰社会が続けば、空き家が負の動産となり、地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼします。例えば、外壁材や屋根材の落下や家屋の倒壊など保安上危険な状態になります。また、ゴミの不法投棄、悪臭、ねずみや野良猫、害虫などの繁殖、雑草の繁茂など衛生面や景観の悪化につながります。
 野村総研の調査によると、2030年には空き家率が30%、2040年には36~40%になると予測しています。空き家問題は、高齢化社会が進む日本全体の問題であり、団塊世代の相続が進み、空き家が急速に増加し、空き家の所有者自身が空き家の管理や活用について問題を抱えていることが原因で起こります。
 住宅過剰社会と空き家問題を放置しておけば、買えば資産価値もない不動産に途方に暮れ、住環境が悪化し、私たちの日々の暮らしに悪影響を及ぼします。政府任せにせず、国民ひとりひとりが意識して取り組んでいくことが大切です。今回のリファイニング建築や団地のリノベーション事業をはじめとして民間の活力で、NPOが空き家を保育園や高齢者の方が集まるコミュニティーや子供を預かる場所をつくったりする取り組みはもちろんですが、私たちは住宅過剰社会にいることを認識し、高層マンションをはじめとした新築住戸を買わないことが大切だと思います。

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