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軽い別れ

根無し草のように移ろい続けている。だいたい周期は2年〜3年で大学も居住地も仕事も変わってきた。

今もそのタイミングが巡ってきたのでご多分に漏れず、家も職場も変えることにした。だんだんお別れが軽くなってしまっている気がしている。気がしているという言い方は少し卑怯かもしれない。本当は、明確に軽くなっている。そのことをなんとなく認めたくないから、不確定であろうとした。

いくつか理由は考えられて、例えば技術が発達し、またそれにアクセスできる層も広がっているのでコミュニティから離れていても気楽に連絡をとることができるようになった。だからコミュニティや土地から離れることをそこまで重大な別れだと捉える必要がなくなった、という仮説。

また私自身が居場所に対して心を移さなくなっているということも関係しているかもしれない。「心を移す」というのも曖昧な表現だけれど、つまりはそこで関係性を結ぶこと・依存度が高いという2点が大きな因子として存在しているように思う。
特にここ1年半ほどはずっとオンラインでのコミュニケーションになっていることに加えて、自分が所属する場所を意識的に増やしたりしていた。

2,3年同じコミュニティに対して自分のリソースを集中的に投下して、そのあとは徐々に(あるいは急激に)緩いつながりへと移行していく。増えた荷物を降ろして、人に預けたり捨ててみたり、やっぱりと思って残してみたり。

いつか昔に思い描いていた遠いところに自分は近づけているのだろうかと思う。思い描いていた先は曖昧で定まった場所はない。

またお別れを一つする。名古屋から東京に移ったときのような寂しさはない。確かに捨てたものはあるのに。

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