マガジンのカバー画像

映画・ドラマのレビュー

114
映画・ドラマ・ドキュメンタリーなど鑑賞した映像のレビューと、作品から感じたことを綴ります。(ネタバレあります)
運営しているクリエイター

2021年3月の記事一覧

自分の道は自分で切り開くー映画『あのこは貴族』

映画「あのこは貴族」を鑑賞した。 東京松濤で暮らすお嬢様華子と、上京し苦労しながら生きる美紀。 「あのこは貴族」は、この二人の人生を軸に展開する静かな物語だ。 1. 華子 ー 求めていたのは壁の内側で生きることではなかった箱入り娘の華子は東京で生まれ育ちながら、ある意味東京を知らない。 なぜなら彼女の生きている世界はとても狭く、まさに箱の中だから。 華子は親や家族の言いつけを守り、良き伴侶を見つけ結婚することこそが人生の幸せだと信じている。周りの友人も同じような価値観の人

「誰にも私の未来はわからない。私にさえも」ー映画『野球少女』

映画「野球少女」を観た。 女性の社会進出において「ガラスの天井」というたとえがよく使われる。 この物語はまさにその天井を突き破ろうと進む少女の話だ。 また、諦めないことの意味と力について考えさせられる作品でもあった。 私はと言えば、主人公チュ・スイン(イ・ジュヨン)にどっぷり感情移入してしまい、映画を見ながら涙が止まらなかった。 1. 誰であろうと私の未来はわからない前例のないことに挑むのは勇気がいる。 人に理解されないだけでなく、ひどい時には笑われたり馬鹿にされたり、

生きていくためには居場所がなければー映画『すばらしき世界』

西川美和監督の「すばらしき世界」を鑑賞。 鑑賞後なんとも言葉にできない感情が胸の中に渦巻き、気持ちの整理がつかなかった。 とにかく、心揺さぶるすごい作品なのだ。 この心の揺れを忘れないうちに映画を観て感じたことを綴っておきたいと思う。 1. 不寛容な社会と生きるための居場所について 「人生のレールを踏み外した男が見た世界とは」 このキャッチフレーズ通り、レールを踏み外した男「三上正夫」が見た世界と、挫折を味わいながらも懸命にもがき生きる彼の姿を描いたのがこの作品。