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映画・ドラマのレビュー

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映画・ドラマ・ドキュメンタリーなど鑑賞した映像のレビューと、作品から感じたことを綴ります。(ネタバレあります)
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2020年9月の記事一覧

外見と内面、人はそのどちらを愛するのか 『ビューティー・インサイド』

2015年/韓国 原題:The Beauty Inside 監督:ペク 「主人公キム・ウジンは、眠りから覚めるたびに外見が変わる」 この設定だけを見るとコメディ映画と勘違いしそうだが、全くもってそうではない。むしろシリアスな純愛映画だ。 この作品は「もし、眠りから目覚める度に外見が変わったら?」という仮定の元、「外見か内面か」というある意味「普遍の問い」に挑んでいる作品だと言える。 そしてこの実験的作品にすんなり感情移入できるのは、追及するテーマがはっきりしているから

繰り返される悲しみ 『コインロッカーの女』

韓国ドラマ「トッケビ」を鑑賞以来、女優キム・ゴウンが気になる。 彼女の出演の作品を探してたどりついた映画が「コインロッカーの女」。 キム・ゴウンが闇社会で生きる女のを演じたこの映画は、胸に突き刺さるようなヒリヒリ感のある作品だった。 1. コインロッカーに捨てられた女の人生まずは簡単なあらすじを。 コインロッカーに捨てられた赤ん坊は、見つかったロッカーの番号「10」を意味するイリョンと名付けられ、チャイナタウンで闇貸金業を営む「母さん」(キム・ヘス)と呼ばれる女に育てら

「記憶」の非対称性が生む苦悩が感情を揺さぶるー『トッケビ』脚本構成についての考察

韓国ドラマ「トッケビ」は最高視聴率20%超えの人気作品。 「愛の不時着」にその記録を塗り替えられるまでは、tvNチャネル歴代視聴率1位の座に君臨していたドラマだ。 この作品は俳優陣が素晴らしいだけでなく、何より脚本が面白い。また、制作にすごくお金がかかっていると思われ、ファンタジードラマにありがちな陳腐さがない。というか、むしろ壮大だ。 この「陳腐さがない」というのは現実離れしたストーリーの場合非常に重要で、それにはよく練られた脚本が欠かせない。事実、ファンタジーが苦手な私