衝撃
中学3年の夏。
吹奏楽部に入っていた私は、近所にある体育館でマーチングフェスティバルが行われることを聞き、我が吹奏楽部を卒業した先輩が出演することもあって、友達と見に行った。
その頃はただただ楽器を吹くだけの吹奏楽部。
マーチングって何?なんかすごいの?くらいの認識だった。
会場に行ってみると体育館のギャラリーには大勢の人!人!人!
へぇーみんなマーチング知ってるんだ。人気あるんだーなんて呑気に見ていた。
ふとギャラリーの下を見ると、高校生たちが様々な衣装を着て、カラーガードたちはきらびやかな格好をしていて、自分達の出演を控えていた。
今から一体どんなことが始まるんだろう?とワクワクした。
自分の先輩の高校が一番最初の出演順。
所定の位置に大きな掛け声と共に走ってくる先輩たち。
その後、上から見るその光景は私の目に焼き付いた。
すごい!すごい!なにこれ!?
本当に衝撃だった。
音楽が素晴らしいことは知っていたけど、演奏しながら綺麗に列を整え、行進する見事さ、音楽と共に変化するフォーメーション。
ギャラリーから見たその光景のあまりの感動にゾクゾクっとして、私にはその一日が忘れられなかった。
その後もたくさんの高校がマーチングを披露し、各校のマーチングの色味というか、それぞれ違って、本当に感動的だった。
見終わった後、私もこれやってみたい!
そんな気持ちが涌き出てきた。
その後、先輩が行っている高校に進路先を変え、無事に合格。
念願のマーチング強豪校に入部。
そこから高校3年間はひたすらマーチングの日々。
もちろん吹奏楽コンクールの練習や校内行事、その他の校外での行事などもやっていたけど、私の高校3年間はマーチングと共にあったと言っても過言ではないくらい。
練習は過酷で、運動部並みの筋トレがあり、基礎練習、楽器を持った時の角度、足の上げ方、姿勢、目線、上半身の向きなど、様々な部分を注意しながら、言うまでもないが、演奏がちゃんとできることが前提。
運動部が運動場や体育館を使っている時は利用できないので、代わりに足元の悪い駐車場で練習をしたり、運動部が帰ってからの夕方から夜までの練習、真夏の炎天下の中、雪の中、怖い先輩たちに怒られながら、ひたすら練習。
同じパートの子と衝突して、部活に行きたくない時期もあったし、こんな辛い練習もう嫌だ!って投げ出したくなる日も数えきれないほどあったけれど、
ずっと続けられたのは
本番のあの達成感!演奏も演技も自分の中で一番のものを見せられたあの瞬間。
苦しい練習を乗り越えてきて、本番を終えた後のたくさんの拍手とお客さんたちの笑顔。
そして何より、苦楽を共にした友達、先輩、後輩たちがいたから。
たった6分の本番。されど6分。
この6分のための過酷な日々は私の中での財産。
部活が終わった後、
部室でみんなとくだらないことでたくさん笑ったこと。
みんなで寄り道しながら帰った日々。
電車が来るまでお喋りしたこと。
そんな日々はもう帰ってこないんだな。
あんなに長く感じた3年間も、人生の中ではあっという間で、あんな青春もう二度と経験できないなってつくづく思っている。
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