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波紋

夜のあめんぼは 水の妖精

水面に まるい波紋
姿は見せてくれないのね

小さな丸が 
音もなく きらめいている


輪郭のぼやけた月が
まるくあがっている

空の向こうの空 から
私たちを ぼんやり眺めている

大きな丸は
境界線なく ゆらめいている

あめんぼの丸より小さいのに
大きい と感じる

不思議ね

ーーー

東南アジアやアフリカの音楽によくみられる「うなり」。
びよよ~んという、
鐘の余韻に代表される、
音の波を聞こえるかたちにしたかのような音。

伝統的な音楽では、特に「うなり」は好まれているよう。

いかに面白い「うなり」を生み出すかに、現地の方々は燃えるという。
プルタブや針金のような、一見よくわからないモノたちが、木琴などにたくさん付いている。
楽器たちはイキイキと、輝いている。

さて、問題は
びよよ~ん、うぉ〜んがどう聞こえるかである。

雑音と聞く?
面白いと聴き入る?

欲しがるもの、自慢し合うものだと知ったとき、
音楽とは自由だと嬉しくなった。
「うなり」は、西洋のクラシック音楽では、なくすものであるから。

雑音を自動的に消したくないんだ。
誰にとっての、雑音だろうか。

ルーナ(うさぎ)は、プヒプヒと小さな寝息をたてる。
私にとっては、
とてもかわいい音、声だ。


心の距離が近くなると、
心地よく感じるものは多い。

知りたい、教えてほしい。
私の知らない世界を。

―――

手ぶれしてしまいました、
というようなお月さまが、
心をゆるめてくれる。

『おぼろ月夜』。
なんて美しい日本語だろうか。

昔の人は知っていた。
今このときを慈しむことを。

“大丈夫”が波紋のようにひろがり、溶ける。


生きている、ということは
波紋を出している。

さざ波のような、空気のゆらぎ。
鼻をつまんでも感じる、
その人だけが持つかおり。



飴のかおりの 妖精さん
私のまわりには
どんな波紋がみえていますか


人の持つかたちのある波紋のひとつが
声 なのかもしれない

2024.6.20 / 22

アメンボは、カメムシの仲間。
飴の匂いがするので、このかわいらしい名前が付いたという。

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