被せる
痛みはかなしみは
埋められるものではなく
被せて見えないようにしている
そんな感覚がある
上から壁紙を貼るように被う
なにかの拍子に壁紙がめくれると
傷跡が見える
ふとした瞬間に
傷跡が痛む
消えないのだと思う
触れたくない間は厚みのあるものを被せる
そのあとは
自分が見えない方がよいときは被い
傷跡が味と思えるならそのままでいい
あえて見せる必要もないし
隠す必要もない
触れたくないときは被えばいい
どんな傷跡の在り方も
美しいと受け入れられたらいい
傷が傷まないように
やさしさで被えたらいい
だれかの絆創膏のようになれたらいい
自然に剥がれ落ちたときに
傷跡が模様に見えたらいい
傷がないものが価値が高いわけでは
決してないのだから
2023.10.12
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