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ボストン大学でHPVワクチンの講演をしました

みなさん、お久しぶりです。みんパピ!みんなで知ろうHPVプロジェクト副代表の木下喬弘です。

ボストン大学で日本のHPVワクチンの問題について講演の機会をいただいたので、ご報告したいと思います。


ハーバード公衆衛生大学院の研究グループの発足

私はハーバード公衆衛生大学院に在学中から、日本のHPVワクチンの医療政策研究に携わってきました。

きっかけとなったのは、国際保健のマイケル・ライシュ教授との懇親会で「日本のHPVワクチンの問題に進展はありますか?」と質問されたことでした。

当時、HPVワクチンの接種率が世界に比べて極端に低下しているということは、日本の中でも十分に認識されていませんでした。

私もこの懇親会の少し前にようやく危機感を持つようになったばかりで、まさかハーバードの教授も関心を持っているとは思っていませんでした。

ライシュ先生のお声がけのもと、私と三ッ浪先生を含めた4人の学生が集まり、日本のHPVワクチンの接種率を元に戻すためにはどうすればよいか研究を始めました。

「みんパピ!」の前身のような活動の始まりです。


日本のHPVワクチンの問題は世界中で注目されている

ここから約半年かけて、日本の厚生労働省の会議資料や世界のHPVワクチン接種の状況などを調べつつ、4人で論文を書き進めました。

研究成果をまとめてハーバード公衆衛生大学院に報告したところ、"Gareth M. Green Award"という卒業賞を受賞することができました。

受賞理由には、「極めて重要なギャップを埋める素晴らしい取り組み」という表現が用いられていました。

受賞ももちろん嬉しかったのですが、日本のHPVワクチンの問題は世界中で注目されているということを知ったのが、何よりも自信になりました。

この少し後に、一宮さんに「HPVワクチンのことなんとかしませんか?」と声をかけてもらい、日本の産婦人科医・小児科医とアメリカの大学院の学生を集めて、「みんパピ!」を設立しました。


ボストン大学からの講演依頼

論文の執筆が大詰めを迎えた9月頃、ライシュ先生から「ボストン大学公衆衛生大学院の先生が、君たちの取り組みを授業で紹介したいといっている」と連絡がありました。

ライシュ先生が私たちの研究やみんパピ!の活動のことを話してくれたところ、「学生たちの手本にしたい」ということでした。

連絡をくれたのは国際保健のヴェロニカ・ヴァーツ先生で、彼女も日本のHPVワクチンの接種率低下に危機感を持っている専門家の1人でした。


ボストン大学の学生も興味津々

こういった経緯で、11月23日にボストン大学で講演を行いました。

講演では、

  1. 日本でHPVワクチンが接種されなくなった経緯

  2. 政府や学会、政治家が取るべきアクション

  3. みんパピ!がどのような活動をしているか

についてお話ししました。

学生たちの関心も非常に高く、「日本とアメリカの文化の違いがどう関係しているのか?」「性教育をタブー視する大人たちはどうすればいいか?」「コロナのワクチンでも同じことは起きるか?」など、たくさんの質問をもらいました。

講演が終わってから「今期のプロジェクトのテーマにしたいから、日本のNPOの現状を詳しく教えて欲しい」というメールをくれた学生もいて、ワクチン忌避は重要な社会問題であるという認識を新たにしました。


世界を巻き込んだ活動を

もちろん、「みんパピ!」は日本においてHPVワクチンの正確な情報を広める団体です。

しかし、私はこれを「科学と社会の信頼をどう築くか」という問題だと捉えており、これから世界中で繰り返し起こってくることだと思っています。

私たちの活動は色々な国の取り組みを参考にしていますし、この活動が他の国の問題にも応用できるようにしていかなければなりません。

このためにも、ライシュ先生やヴァーツ先生だけでなく、海外の公衆衛生の専門家たちにも協力してもらいながら、この問題に取り組んでいきたいと思います。

一刻も早く、「がん」を予防するワクチンをみんなの当たり前にするために。

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