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ハンドメイドが好き

ハンドメイドが好きだ。主に作るのは、布小物やアクセサリー。

もともと、祖母も母も手芸やパッチワークが好きな人だったから、手作りをすることは、私の日常に自然にすり込まれていた。しかし、一緒にやろうなどと誘われたことはないので、ハンドメイドを始めたのは私自身の意思である。

始めたのは18歳のとき。大学の休学を決めて家で過ごす時間が多くなり、たまたまネットで見たアクセサリーを自分で作ってみようと思ったのがきっかけだ。自分の手でときめきを創り出せることにワクワクし、夢中で作った。好きだと思うことに没頭した経験は初めてだった。ずっと、体調が少しでもマシなときに、やるべきことを詰め込むスタイルで生活していたから、とても新鮮だった。

忘れられない出来事がある。
ある日、とある人をイメージしてアクセサリーを作ってくれないかと頼まれた。その人は、私が小学生だったときに数回遊んだことのある、1つ年上の女の子だった。本当に数回遊んだだけで、その後10年くらいは会っていない。

小学生のころの記憶をたぐり寄せて作った。確か、水色のランドセルを使っていたっけ。何個もデザインを考え、水色メインでブレスレットを作った。
そのブレスレットは、私の母からその女の子の母親にわたり、無事に女の子に届いたそうだ。聞けばその子は、精神的に困難を抱え、もう何年も引きこもっていたそう。部屋からも滅多に出てこなかったらしいのだが、私からのブレスレットが届いた日、部屋から出てきて、その子の母親に「似合う?」と恥ずかしげに聞いたそうだ。

胸がいっぱいになった。
このときの私は心身ともに落ち込んでおり、自分の生産性の無さに絶望していた。でも、本当に小さなことだけど、私の作ったもので誰かが喜んでくれるということに、私自身も救われた。

それだけで十分だと思った。何かが劇的に変化するというわけではないけれど、ちょっとだけ明るい気持ちになる。そんなものを届けたいなと思った瞬間だった。

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