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脱データドリブンUX ── データとデザイン裏話#4

記事4本目ともなるとネタが尽き始めるかと思いきや、意外と書きたいことが多いことに驚いている。今回は『データとデザイン』におけるUXの扱いについて触れたいと思う。

書籍を執筆している間も、度々書籍についてXで投稿をしていたが、その中で一時「データUX」というキーワードが登場した。これには、デザイナーやエンジニアが「データからUXをつくる」のではなく、「データを扱うためのUXをつくる」ような違いを感じてもらいたいという想いがあった。つまりは、「Webサイトのアクセスログからデザインを修正します」といった「データドリブンデザイン」から距離をおきたかったのだ。

一度はキャッチーな言葉が見つかったことを喜び、書籍全体に「データUX」というキーワードを散りばめた。が、喜びも束の間。その段階で鋭い指摘が入った。「データを扱うためのUXデザインって、つまり第一部の話しかしてないよね」というツッコミだ。これが実に的を射ていた。たしかに、第一部が「データをどう扱いやすくするのか」であり、UXはその手段の一つでしかないのだ。

DataDesignとUXの関係性

上の図は、その時にサラサラッと書いて説明された概念図を描き直したものだが、データデザインと呼んでいるものが、「人」と「データ」双方から考え、人とデータをつなぐことを目指しているのに対して、UXというのは人とデータの界面の話をしていることになる。UXというワードをどの程度広く捉えるかにもよるが、少なくとももう少し広い話をしたいと考えた。

結果、『データとデザイン』で伝えようとした「データをデザインする」という行為は、「サービスデザイン」と近い抽象度で語ることとなり、最終的に《データデザイン》と定義することとなった。発想、収集、分析、試作、観察、等々、全ての段階において全体を設計する視点と、そこで重要となる考え方を一冊に押し込み、『データとデザイン』が生まれた。


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