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「デザイン」という言葉が意図すること ── データとデザイン裏話#6

今回の裏話は『データとデザイン』における「デザイン」の考え方について書いてみようと思う。

『データとデザイン』は2年間をかけて執筆されたが、本を書き進めるごとに「デザイン」と呼んでいるものや、「デザイナー」と呼ぶ対象が徐々にクリアになっていった。当初は「UI/UXのデザイナー」をイメージしながらデザイナーと表記していたが、書いていくうちに、より幅広く「デザインの思想を持つ人」と表現すべきであることに気がついた。そのため、最後まで書ききった後、前半を書き直す作業をしている。

本の中で「デザイン」と呼んでいるものは、「人」と「データ」の両方を深く観察してプロダクトやサービスを設計し、社会に実装をする行為を指している。そこには領域横断的な視点や幅広いスキルセットが求められるため、これらを目指すエンジニアや事業担当者も含まれることになる。そもそも、デザインの意味である「設計」は、目的によって手段の幅が異なるため、特定のスキルや職種を指すべきではないだろう。

最終の校正用冊子

さて、『データとデザイン』は正月明けの2024年1月5日が校了のタイミングだったわけだが、いつ前半を書き直したのかというと、実は前日の1月4日だったりする。お正月の間、上の写真にあるような冊子を印刷し、繰り返し読んでいくうちに、どうしても前半の表記が気になってしまい、校正案としてA案とB案2つのPDFを出版社に送り返した。正直本当に申し訳ない思いで一杯であったが、振り返るとお願いして良かったと思える。

ちなみに「デザイン」を感性領域や技術領域に絞るような表記も少し残している。そのため、UIデザイナーが読むと「理解できない」と思うような技術的内容や、エンジニアが読むと「自分には無理だ」と感じる審美的要素が書かれていたりする。勿論マクロな視点から全体の話だけを書くことも出来たが、越境的な視点と、各領域の深い視点の両方が揃うことが「データ」を活用した設計において重要であることから、敢えて残す判断をした。

ちなみにご想像の通り、最後に修正した部分が多いため、表記に意図しない揺らぎが残っていると思う。今も刷り上がった本を手に、嫌な汗を書きながら読み直している最中ではあるが、もしも重版することがあれば、より表記を統一して世に送り出したいと思う。最後に、BNNの村田さん、直前の変更本当に申し訳ありませんでした…


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