松本人志の『遺書』という本についての話
※そのまま本の文をコピペすると問題になりそうなので『遺書』で書かれている言葉とは一部あえて変えている所もありますがご了承ください(大まかな間違いはありません)また一部には『遺書』とは別の『松本』からの引用もあります(元の掲載雑誌とその内容は同じ)
『遺書』
これは松本人志が31歳の時、週刊朝日という雑誌に掲載していた自身のコラムをまとめた本
松本さんの芸の美学・相方や後輩、先輩、ファン、番組、好きなもの嫌いなものについて若い時の松本さんなりの毒と笑いを交えてかいた著書
大きな話題になり出版から30年経った現代でも多くの方がこの本を読まれた事だろう
僕がこの本に初めて出会ったのは高校一年生の時
友達がおらず周りはヤンキー生徒、会話をしたら嫌な思いをさせられると思って苦しんだ時にたまたま教室の本棚にあったのがこの一冊だった
この本に書かれていることは全て松本人志の「笑い」だと思っていた僕はなんとなく笑っていた(面白いと思えなければ松本さんにがっかりされる〜💦😱と思ってた笑)
僕はなんとなくわからず笑っていたところもあった
この本はよく同じ時期に発売された浜田さんのwow war tonight〜時には起こせよmovementと引き合いに出される
松本は本を出し成功、浜田は曲を出して成功した
確かに松本さんの遺書はベストセラーになった
しかし、この作品はとても不遇な作品だと思う
wow war tonightは現在、YouTubeや iTunesなどの音楽サブスクなどでも気軽に聞く事ができる
そして長くても10分もしないので何度でも聴き直せる
そして多くの人がこの歌詞が大きく響いている
浜田さんの歌声がいいとその内容を評価される
そしてCDではなくてもカラオケ・他アーティストのカバーで印税も入る(もしかしたら銭ゲバの浜田さんは文句を言う金額かもしれんけど「小室!!ワシの取り分二百万はどうゆう事やねんっ!」)
しかし、松本さんの遺書は買った人こそは多くてもそしてその内容を知ってても
テレビ、松本ファン、果ては松本さんに憧れている後輩芸人ですらこの本のこの部分が刺さると述べた人は少なかった
この本がテレビで紹介される時はこの本の松本人志の「嘘」が決まって紹介される
映画はとらん、髪を染めるやつはアカン、筋トレはアカン、家族子供はいらん、俺は40で引退する!
これはまだいいが松本さんの毒のある発言であるナインティナインはチ⚪︎カス発言などまで取り扱われる事もある(両者は現在仲良く共演できているからなのもあるが)
もちろん、昔の松本さんの毒や現在のそれらが落ち着いた松本さんとの対比やいじられて赤面する松本さんはとても面白い
しかし僕は今の松本さんの騒動を機にこの本を見直してみてこの本を書かれた時と松本人志の今と変わらない部分、そして松本人志は変われても悲しいかな30年変わらなかった今の社会について大きく気がついた所がある
この本で松本さんがたびたび発言している「ババロア頭のウンコちゃん」について考えていく
第一章の笑いのホームランについて語る松本さん
そしてウンコちゃんは自分のバカを棚に上げて文句を言う
こいつらの脳みそを「こっそり」ババロアと入れ替えても気が付かんやろうな!←一見悪口にも思えるが、松本さんの凄いところはこの「こっそり」という表現があるだけで頭の中に夜中にそっとババロアと脳みそを入れ替える松本さんが思い浮かんでしまうから笑いになってしまう所
続けて松本さんはダウンタウンがいかに凄いかを語る
これは松本さんが痛い感じで話していると思われる方もおられるだろうが
この発言は大きく真理をついている
今の芸人は養成所でプロの芸人からネタづくりを教わる際にわかりやすさを求められる
誰にでもわかりやすく簡単な笑いだ
芸人同士はお笑いに対する理解や知識があるからそれを面白いと思えても一般のお客さんはそれがないから伝わらない事がある
お客さんに自分たちの同じお笑い偏差値を求めすぎるのは良くない
だからネタの題材もマイナーな映画や時代よりも
有名作品や流行を取り入れる事にニーズを求められる
そしてそのボケやネタが伝わらなくても決してお客さんのせいにしてはいけない
こう教えられる
一見、今の養成所がアンチ遺書のように思えるかもしれないが
松本さんが言いたいことは何も自分の笑いやボケがわからない事が「ウンコ」なのではない
世のなかにはその笑いやボケ・ネタのテーマややろうとしている事の深さを考えようとせず上部だけでつまらないというだけでなく
その人たちのやろうとしている事全てを否定しお笑いの道を阻む人も多くいる
そしてその中には自分を評論家か何かと勘違いしてトンチンカンなことを言う人も古くからいる(それは芸人の道だけではない)
それは松本さんが若手の時代、そしてその先の時代から変わらない事である
松本人志の笑い(更にいうと芸人の笑い)というのは実験や研究心に溢れている哲学なのである
面白い研究というものは成功や失敗の中にも新しい発見が見つかったり明日の成功のためのヒントを得る事もある
ドキュメンタル・笑ってはいけない・IPPONなど
完璧なフォーマットによく松本さんは新たな要素を足すこともある(芸人以外の参加、チーム制度、女性メンバー追加など)
そういったアイデアは時に最初の方が面白かったのに、松本さんはわかっていないと言われることもある
勿論、全てを見た上で芸人だけの方が面白かった・やらない方が良かったという事はあるが松本さんが見出したいのはお笑いに精通していないものの笑いやその場でどうなるのか?という事である
現にドキュメンタルやIPPON、笑ってはいけないにタレントが出演してネタをやるようになって新たな楽しみも増えている
話はそれたが松本人志アンチの中にはそこに気が付かずに文句そして松本人志はつまらないという方も少なくはない
完成品を見た上で文句を言われるならまだしも、松本人志は多くの妨害を受けている
元々敵を作り出しやすい性格ではあるが
まさに憎まれっ子世に憚る
その言葉が板についている
「俺は人を笑わせたいだけなのだ!なのになぜ俺の行手を阻むのだ」
そういう事も多い
昔からテレビにクレームを入れる人は多くいる
お色気表現や体を張った笑い、そして食べ物や動物を使った笑い
そして週刊誌などにその内容をバラされる事もある
笑ってはいけないでアンジャッシュ渡部さんが出演をスクープされたのは記憶に新しい方だが
そういった事はそれ以前からあり、過去にも特にSMAP(現解散)メンバーが出る際は「名探偵」及び「青春ハイスクール」でオンエア前にスクープされている(その事を松本さんが知っているかは不明だが)
番組としてはそこは大きな目玉だろうがそれをバラされてしまうと少ししらける
勿論、SMAPのような大スターが報道通り本当に出ていると驚くしそして彼らが体を張っている姿を見ると面白いがだからこそ事前情報なしにもっと驚きたいと思ってしまう(ちなみに僕は笑ってはいけないはCMやオンエア前の説明やダイジェストですらあまり見て内容を知りたくない程)
自分が思い通りの笑いを作りあげてその上で批判されるならプロとして仕方がないにしても、内容をバラされてしらけた上でつまらないと酷評されるのでは訳が違う
そしてプロとしてその批判を受けて変更した結果、つまらないと言われてしまうのもたまったものではない(この話は笑ってはいけないを語るnoteで話したいと思ってます)
そして松本人志がこれだけ大きく天才と評される芸人になると信じられない人も多くいると思われるが、松本人志という人間・そしてその笑いは理解されていない
その悲しみをこの本は描いているという意見を書いていた人がいた
昔この本で笑う事ができなかったみのる少年よ
安心せい!笑えなかったのは当たり前だ…この本は笑いを要所要所で交えているけどこれはある種松本さんの笑いではなく悲しみそして嘆きや怒りなのである
そう考えると「遺書」というタイトルにも納得はいく
芸人、芸能人、いや芸術に関わる人は時に理解されない事に悩む
売れる売れないの理解、病気や障害への理解、その人間性への理解、作品に対する理解など
それは何世紀も前の芸術家にも当てはまる
亡くなってから評価されたシューベルト、耳を切ったゴッホ、LGBTとしてのフレディーマーキュリー、意外にも赤字作品も多かったウォルトディズニー
ONE PIECEの作者、尾田栄一郎
勿論ONE PIECEは誰がどう見てもというか世界的に売れている作品を評価されていない訳がない
でもこの作品には多くの魅力的なキャラクターがいる
敵キャラクターも人気は高い
しかしこのワンピース の敵キャラの魅力は
主人公の敵だから「悪」というわけではない所だ
面白いギャグやアドリブで笑いを取るバギー(僕も大好き)、強さやかっこよさを兼ね備えたカイドウや元七武海勢、自身の信念的正義を持ったアオキジ(脱退)・藤虎・センゴクなどの海軍キャラ、ボンクレーやはっちゃんのような敵サイドに属していてもルフィを助けてくれる情に熱いキャラクター、アーロンのように辛い過去のあるキャラクターなど憎めない要素を持ち合わせている
そしてONE PIECEには正義や悪という考えで戦っておらず(そもそも海賊という意味ではルフィも悪)みな冒険や己の夢や信念の為に戦う様が描かれている
その中でオロチというキャラクターが大変嫌われているが
彼は和の国を乗っ取り悪政で人々を苦しめる悪代官なのだが
そんな彼もかつてその種族(先祖がした悪行)
故に迫害を受けて性格が歪んだ過去がある
そしてその復讐として人々を苦しめている
多分彼が嫌われているのはそこだけの問題ではないんだろうけど笑
本来、ONE PIECEのヒットと比例してこの作品と同じ考えを持っていると
オロチに対する同情とかがもう少し多くてもいいように思えるけど意外と少ない
それでさらにいうと尾田先生がそこを重視して描いてはいない事もあるかもだけど(あくまで僕個人がONE PIECEを見た上でこう考えたというものなので)←おだっちなら単純にオモロい作品作ろうとしてたらこんな描写やキャラクターができてたっていわれても納得できる笑
ONE PIECEには悪い立ち位置のキャラクターにも悲惨な過去や情に熱い一面などがある事をその後描く事も多くあり
あくまでこれは漫画だから(そしてONE PIECEはその中でも群を抜いて現実離れしすぎている作品ではあるが)現実とは違うと捉えている人も多いだろうけど
やっぱりこういうところは現実にも活用できる考え方だと思うし
これだけこの作品で正義や悪の考え方、人間の見方とか教訓的なシーンが作品に散りばめられていて
読者が多くそう考えている人がいてもいいはずなのに
あまりそういった感性の人には出会わない
ONE PIECEの話が長くなりすぎてしまったので航路いや💦話を元に戻そう
松本さんの報道で「松本人志は過大評価されすぎてしまった」という意見があったが
これは合ってるとも違うとも言える
現在における松本人志の笑いは面白いには勿論面白いが、やはりこういった規制やネタバレが入るゆえに不完全なものなのである
そしてそんな中で松本さんは自身のコメントや長年の腕で笑いを作り出す
そこに注目される事はあまりなく僕はそこは過小評価と捉えている
しかし逆に松本人志の笑いの研究のテーマや実験の価値、そしてやろうとしている事がいかに凄いかは説明されないまま
松本人志そしてダウンタウンが40年お笑いのトップに君臨し、「笑いの天才」松本人志という肩書きだけが今に至るまで人志歩きいやひとり歩きしてしまった事が
松本人志が「過大評価」と言われてしまっている理由の一つなんではないかと僕は考えた
そしてこの本ではファン・アンチという存在についても書かれている
松本人志のファンとアンチは比例して多い
松本さんは大変変わった人で
アンチでも自分の何が悪いか丁寧に理論づいて説明してもらえると大変喜ぶ
しかし反対にファンでもただ好き・オモロイ・カッコいいと言われてもあまり響かない(タイプの女性でも冷めてしまう程)
アンチの妨害について前述で語ったが
反対にファンの妨害も受けることがある(ファンと呼ぶべきなのか)
新幹線でやたら握手やサインを求めるファン、キャバクラで面白いトークを求めるファンコンパニオン、プライベートを隠し撮りするファン、鍵をかけ忘れようものなら部屋に侵入するファンもいたそうな
現在松本さんの報道で
松本ファンと語る方が松本人志についてファンだったのに嫌いになったと語るものもいる
文春記者も元々松本さんのファンだったと語っているが
松本さんは本の中でかつてタクシーの運転手と揉めに揉めてしまい
去り際にこのように言われた
「あんたのファンだったのにガッカリだ」
しかし松本さんはこう述べた
ほんまのファンやったらこないなことで好きなタレントを嫌いになったりせえへん
この言葉は僕の心に深く胸に刺さった
ましてや僕がこの本を読んだ時はまだダウンタウンはリンカーン が打ち切りになり水曜日のダウンタウンもワイドナショーも視聴率が悪いというニュースしかなかった時代ゆえダウンタウンオワコン説が流れていた
SNSには松本人志は筋トレをしてからつまらなくなった、映画をとってからつまらなくなった、家族ができてからつまらなくなったと言われ続けていたが
ドラえもんの「宇宙ターザン」の中で好きな番組が視聴率低迷で打ち切られる事になりそうな時に、のび太くんは「落目な時こそ応援するのがファン」と仰られていたが
僕はそれらの言葉があったからこそずっと命の恩人でいるダウンタウンを応援し続けて、そして今に至るまで多くの笑いを届けてもらえた
当時からもし松本さんが不倫等でスキャンダルされても応援し続けようと決めていた僕は
もし2015年当時に記事が出ていても僕はファンをやめる事はなかっただろう
そして最後はこの作品から見る尖りというものだ
この本の松本さんはバリバリに尖っている
世の中に対して捻くれた視線や考え方を持って見ている
芸人には尖っている人は多く、今の養成所生等の若手・まだ尖っているベテラン、更に言うとホンマは尖ってへんのに「遺書」を読んだせいで尖ってしまった人もいるだろう
かく言う自分も高校時代はそうで
素人、つまりクラスメイトの笑いでは笑わないようにしていた(当然変なやつ扱いでいじめの的じゃわいっ!)←まあでも当時のクラスメイトは元々学校自体も偏差値が低いところだからさっきも言ったけどヤンキーと、あとは人のカバンや机をあさってまで他人のテストの点数を見ようとしてマウントを取る人とか僕より変な人おったからそこに関してはそこまで後悔してない笑笑
または、自分を理解しようとしない人に対して僕の心の中の松本人志が「みのるええか!天才的な発想や笑いは常人には理解されんもんやねん!こんな奴らにウケへんかったくらいで落ち込まんでええねん!周りの奴らは少し小馬鹿にしてかかれ!」と教えてくれる
年々その尖は鳴りを潜めていき
流石に人の笑いで笑わないとかはしなくなったし、笑いが取れなかった時はなぜダメだったか考えるなどの思考を持つようになったが
この松本式の尖り論を僕は捨てたわけではなく、心の中の箱に詰めて今も保管していざとなった時に出せるようにしている
本来のナイフが凶器だけではなく日常生活で必要不可欠なものでいるように
尖りも同じものなのである
現に養成所でも尖っていることを悪く言われない
いつか落ち着くから気が済むまで尖っていてもいいんじゃない?そう教わる
尖っていた人を多く見たりかつて自分も尖っていた講師やアシスタントの先輩たちは
いつか尖りは丸くなることがわかっているからだ
松本さんも同様で現在は尖っている発言はないが
娘さんに対して
バレエの先生に対しての失礼をお母様に怒られてしまった際
松本さんは「ママはああ言うふうにいったけど、売れるまで裏方は下に見ておかな売れへんで」と教育
松本さん自身も最終的にはスタッフさんへの感謝は忘れてはあかんけど
今からスタッフさんに気を使いすぎるといいことないと教えてあげたそう
まぁこれが尖りなのか、松本さんが芸能界を生きてきた学びとも取れますが
ごっつの時代のような毒のある笑いを今もなお松本さんは取ることもあり
昨年(2023年)に松本さんのなかみ展を拝見した際
男性器からでる精液が音符のように見える射の音と言う作品や、バカ長いコンドーム、臓器が冷蔵庫に入った作品などが多く見られた
これらの絵を見て僕は「遺書」の松本人志は未だに松本さんの中にいて現代の規制でテレビでは出せないでいるんだなと思った
このnoteを読んでいる人はダウンタウンファンや、芸人に憧れやリスペクトを抱いている人、そして僕の友達の同世代の芸人が多いと思うけど
是非、これをきっかけに「遺書」そして「松本」という本を読んでほしいです(両方入った松本の遺書という本もあります)
そしてこの「遺書」という本はコラムであり
雑誌の連載をまとめた本のタイトルが『遺書』そして『松本』なのである
松本さんは他にも「好きか嫌いか」や「怒り」などの本を出版されたがこれらはほぼ自叙伝なのである
勿論松本人志の人柄や考え方が見れるのは面白いけど
もし松本さんが今後本を書くなら
ストーリーがある小説を読んでみたいと思ってます
どうか一つ🙏
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