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「AKHA AMA COFFEE (アカアマコーヒー) 」 タイの少数民族から始まった小さな物語

「あっ、美味っ!」

カフェラテを口に含んだ途端、私の目は大きく丸くなった。

都内を中心に1,300店以上のカフェを訪問した、カフェ専門ライターのなかくき くみこさん。
「とっても素敵なカフェがあるんです」そんなひとことに惹かれ、訪ねてみたのが、「AKHA AMA COFFEE  (アカアマコーヒー) 」。膨大なカフェ情報から、イチオシの1軒だ。


飯田橋駅から毘沙門天を越し、神楽坂の商店街をゆるゆると赤城神社に向かう。右手に曲がった通り沿い、静かな住宅街の一角にそのカフェはある。

小さなテラスでも楽しめる 「AKHA AMA COFFEE」

扉を開けると、流れる空気はあたたかく優しい。「いらっしゃいませ、初めてお越しですか」ふっと気がゆるむ柔らかな声が迎えてくれる。

ライトグレーのシックな壁にはドライフラワーが下がり、小さな傘のペンダントライトは大きさもまちまち。無数の傷があるカウンターは何年も使い込まれた小学校の机にも似て、懐かしさを覚えてしまう。カフェを楽しむ人達の雰囲気は穏やかだ。


こんなに居心地が良いのはなぜだろう。

美味しくて目が丸くなったカフェラテ。写真中央はアカ族の食事風景

東京の「アカアマコーヒー」はタイのリー君と、タイ好きオーナー夫妻の出会いから始まった。美味しいコーヒーを探して求めていた夫妻は、チェンマイの街で小さなカフェに出会う。美味しさに毎日の様に通いつめたそうだ。その後、リー君と「日本で出店するときはコラボしよう」と話しが進む。

「アカ」とはタイ北部に住む少数民族「アカ族」のこと。「アマ」とはお母さんのこと。アカ族のお母さん。アカ族はブランコが好きでお祭りも大好きだという。村の入口には、日本の神社の鳥居によく似た門がある。美しく緻密なデザインの刺繍でも知られている。手先が器用で丁寧な仕事も日本人と共通している。


しかし、少数民族ゆえに国籍をもたない人々もおり、識字率も低く、貧しい村々が多かったそうだ。そんな中、リー君のお母さんは、子どもたちを学校に行かせるため、無農薬のコーヒーを一生懸命育てたという。


海外の大学に進学し、コーヒーについて学んだリー君はタイのチェンマイに小さなカフェを開く。高品質でフェアトレードのコーヒーは話題を呼び、豆が売れることで、村は少しずつ豊かになっていった。栽培地域は周辺の村々にも広がり、豊かさの輪は大きくなっているそう。


音叉(おんさ)という、楽器のチューニングに使う道具がある。2本並べて1本を振動させると、波動が空気中を伝わって、もう一方も振動して共鳴し始める。


2020年7月にオープンした神楽坂店は初の海外出店。感染症による渡航制限でリー君はまだ来日できていない。アカ族のお母さんから始まった優しい想いとリー君の物語。オーナー夫妻を通して、海を越えた日本の人達にも共鳴し始めている。居心地の良さの答えは、ここにあるのかもしれない。

「AKHA AMA COFFEE  (アカアマコーヒー) 」
住所:東京都新宿区赤城元町1-25
電話:03-6280-8755
営業時間:8:00    〜 19:00
定休日:無し、毎日営業、日曜営業
アクセス:東京メトロ東西線 神楽坂駅B1出口から徒歩3分
     都営地下鉄大江戸線 牛込神楽坂駅A3出口から徒歩6分
     東京メトロ(東西線、有楽町線、南北線)、都営地下鉄大江戸線
     飯田橋駅C1出口から徒歩9分
     東京メトロ有楽町線 江戸川橋駅から徒歩12分
予約不可、全席禁煙、個室無し、カード可、電子マネー可
*上記データは2022年1月14日現在


教えてくださった、カフェ専門ライター なかくき くみこさんのサイト
「東京カフェを巡る、小さな旅」