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足立実の『ひと言』第24回 「中曽根はハリコの虎だ」 1986年2月15日

 毛沢東は「すべての反動派はハリコの虎である。反動派は見たところ、おそろしそうでも、実際にはなにもたいした力はもっていない。ながい目で見れば、ほんとうに強大な力をもっているのは、反動派ではなくて人民である。」と言っている。
 中曽根康弘もまたハリコの虎である。たしかに彼は軍拡、行革、教育臨調、国鉄民営化、福祉削減、天皇崇拝、大衆運動弾圧などやりたい放題の反動政治を進めているが、考えてみれば、いままでのやり方で人民を支配できないほど政策は破綻し、追い詰められているのである。
 中曽根の政治は、人民にとって百害あって一利ないのだから、人民はだんだん気がつき、これに反対するようになる。いわば自分の墓穴を掘っているのだ。しまいには孤立し、打ち倒される運命からのがれることはできない。
 もちろん、私達が手をこまねいていていいということではない。自分や家族やすべての人民の利益を守るために、中曽根の反動政治の一つひとつと真剣に闘うならば、 結局最後の勝利はわれわれのものだという見とおしと確信が大事なのである。
 中曽根が、本当は自信がないことは、靖国参拝で中国、朝鮮から抗議されて、萎縮したあの姿を見れば明らかではないか。
 物の本質を見、ながい目で物を見ることを学び、堂々と生きよう。(実)

(画像はハリコの虎。虎の形をした首の動く張り子のおもちゃ。転じて、虚勢を張る人、見かけだおしの人などをあざけっていう語。)

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注釈

・毛沢東
[1893~1976]中国の革命家・政治家・思想家。1921年、中国共産党の創立に参加。49年中華人民共和国を建国。国家主席・党中央委員会主席に就任して新中国の建設を指導した。
『ひと言』第11回 「有理 有利 有節」参照
https://note.com/minoru732/n/nf173e41a69cb

・「すべての反動派はハリコの虎である。」
毛沢東の「ハリコの虎」論
1977年9月11日、毛沢東は「帝国主義とすべての反動派は本物の虎であるかという問題について」と題する文章を再度発表した。
毛沢東は1946年に米国の記者、アンナ・ルイズ・ストロングとの対談の中で「ハリコの虎」という言葉を使い、「反動派は見かけは恐ろしそうだが、実際には大した力は持っていない“ハリコの虎”にすぎず、長い目で見れば本当に強いのは人民の力だ」と述べた。また、原子爆弾についても同様にハリコの虎だと断定した。
1977年9月に発表された冒頭の文章は、もとは1958年12月1日の中国共産党中央政治局の武昌会議で発表されたもの。この中で毛沢東は、「すべての物事に二重性があるように、帝国主義とすべての反動派も二重性をそなえている。彼らは本物の虎であり、またハリコの虎でもある」とし、「全体の戦略的には彼らを蔑視し、彼らと果敢に戦って勝利を勝ち取らなければならず、個々の戦術的には彼らを重視し、慎重に対応しなければならない」と指摘した。

・中曽根康弘
第71~73代の当時の内閣総理大臣。改憲野望をもった反動政治家。
『ひと言』第6回 「戦争犯罪人レーガンを糾弾しよう!」参照https://note.com/minoru732/n/n3eefdac538f7

・「中曽根が、本当は自信がないことは、靖国参拝で中国、朝鮮から抗議されて、萎縮したあの姿を見れば明らかではないか」
1986年に当時の中曽根康弘首相は靖国神社参拝を取りやめるが、それまでは過去10回にわたり中曽根は靖国参拝をしていた。しかも、1985年8月15日には、現職首相として初めて靖国神社に公式参拝していた。
ところが、1986年に朝日新聞などのメディアが1978年に合祀されたA級戦犯のことを取り上げ、公式参拝を問題視した。中国側も「公式参拝はアジア各国人民の感情を傷つける」と指摘。すると、中曽根首相は1986年に一転して靖国参拝を取りやめる。
中曽根は後年、靖国参拝を見送ったことについて、次のように述べている。
「この参拝が中国内部の権力闘争に援用され、特定政治家の失脚につながる危険があるという情報を聞き、日中友好を維持するために参拝は行わなかった」
ここで言う特定政治家とは、日中友好政策を推進する胡耀邦氏のこと。
強固な政治的信念に欠け、状況を見て豹変する“風見鶏”と呼ばれた中曽根元首相の習性を、中国の対日強硬派は見抜いていた。

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毛沢東の言葉を借りて当時反動的な権勢をふるっていた中曽根康弘首相を「ハリコの虎」だと猛烈に批判している。

その上で、ハリコの虎は恐れるに足りないが、手をこまねいているのではなく一つ一つの反動的な政策に人民が対峙していく必要性を述べている。

「物の本質を見、ながい目で物を見ることを学び、堂々と生きよう」とまとめているが、至極金言である。

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