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足立実の『ひと言』第11回 「有理 有利 有節」 1984年5月10日

 組合の闘争において忘れてならない事のひとつは、有理有利有節の原則である。
 有理とは、道理をハッキリさせることだ。
 組合のすべての闘いは、労働者に害を加えようとする者への反撃の闘いである。
 会社が労働者に生活を無視した低賃金を押しつけるから、首を切るから、権利を奪おうとするから、組合をつぶそうとするから、障害者差別をやるから・・・・・・警察が弾圧するから、裁判所が不当判決を下すから、中曽根が軍国主義や福祉切り捨てをやるから、米軍の核基地にするから・・・・・・私たち労働者は自分もふくむ仲間と家族を守るために闘わないわけにはいかないのである。
 だから、私たちは闘いにあたり、誰からどういう攻撃を受け、何を守るのかという闘いの理由をハッキリ示す必要がある。
 そうしなければ、組合の団結とエネルギーを発揮できないし、職場や地域の仲間の理解と支持を得られない。
 有利とは、闘う以上勝たなければならない。勝つためには我に有利で相手に不利な状況をつくる必要があるということだ。
 労働者の根本的に有利な点 は、多数派で、搾取と抑圧に反対する強烈なエネルギーを内包している点にあり、資本家や中曽根の根本的に不利な点は、ひとつまみの少数派で、多数者の利益に反していることだ。
 組合がみんなで相談しみんなの力で闘う大衆路線を実行するのも、学習と実践を結びつけて敢然と闘う精神を強めるのも、敵をなるべく悪質な者にしぼるのも、すべて労働者の側にもっとも有利で、敵にもっとも不利な状況をつくり出して、勝利をかちとるためである。
 有節とは、闘いがあればかならず休戦(スト解除、妥結、和解など)がある。組合は、これを主導的に節度をもってやらなければならないということである。
 節度をもって休戦するということは、組合員の志気と団結、職場や地域の仲間との連帯をいっそう発展させることを主な基準に、時期や内容を判断すべきであって、金額の高低、要求と 回答の差、協定の字句など主な基準をおかない事である。
 労働者の積極性を発揮する指導をせず、闘いを終らせれば、志気を挫き、団結にひびを入れる。また、勝利にのぼせたり、一部の人の声に押されて冷静な判断を失ない、ずるずる闘えば、相手に主導権を奪われて敗北する。ともに誤りである。(実)

(画像は若き日の毛沢東)

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「有理、有利、有節とは中国革命を指導した」毛沢東(注)の行動原則である。

元々は毛沢東が中国国内の国民党との闘争における中国共産党の行動原則を1940年に 「道理があり、有利であり、 節度がある」 と表現したものである。

※注・毛沢東

[1893~1976]中国の革命家・政治家・思想家。1921年、中国共産党の創立に参加。農民運動を指導し、朱徳らと工農紅軍を組織、31年江西省瑞金に中華ソビエト共和国臨時政府を樹立して主席となったが、34年から長征を行い陝西(せんせい)省延安に移動。日中戦争には国共合作し、抗日戦を指導して勝利。戦後は蒋介石の国民党軍を破り、49年中華人民共和国を建国。国家主席・党中央委員会主席に就任して新中国の建設を指導した。66年、文化大革命を起こすが、死後その誤りを指摘された。著作は「新民主主義論」「連合政府論」「実践論」「矛盾論」など。

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今回のコラムは4段組で今までのものの倍近くの長さであり、筆者の力の入れようがよくわかる。

自身が青年時代に触れた毛沢東が指導した中国共産党の作風を組合活動にも活かすよう訴えている。

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