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足立実の『ひと言』第60回 「要求をどう実現するか 90春闘」 1990年3月10日

 東部労組と各支部の春闘獲得目標がきまった。全支部が大巾賃上げを要求したが、私たちの労働の価値から考えれば、 謙虚な要求というべきである。
 人が労働しなければ、機械も車も何もかも動かない。何も生産できない。人々は生きていけない。労働は偉大であり、その担い手が労働者なのだ。
 にもかかわらず、労働者とりわけ中小・零細企業労働者の生活実態は、満足すべきものでない。組合の仲間にも、賃金の半分も家賃に払ったり、もっと広い住居を必要としながら家賃が高いので越せないか、遠くに引っ越した人が少なくない。地価暴騰の現在では、大巾賃上げ以 外に解決の方法がない。
 これは一例にすぎないが、大巾賃上げはみんなの切実な要求である。
 問題は要求をどう実現するかである。資本家が頑固なら、ストライキ(労働を提供しない)か、それに匹敵する大衆闘争で、労働者の価値を思い出してもらう以外にない。
 何年もストライキをしないと、労働者を甘く見て、出せるものも出さなくなるのが資本家の習性だ。
 山場で労働者と資本家の「対話集会」を開いてみたらどうだろうか。
 民主的な経営をやってもらおうということだ。労働者が生活実態を資本家に聞かせ、彼らがそれに答える。労資双方にとって有益ではないだろうか。
 彼らに誠意がなければ、ストライキということになる。(実)

(画像は2023年7月13日から43年ぶりに突入した、アメリカのハリウッド俳優らが加入する全米映画俳優組合のストライキ)

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このブログの管理人も「零細企業労働者」であるが、その「生活実態は、満足すべきものでない」。賃金は安くボーナスも満足に出ない。しかし、組合を作ったことによって少なくとも労働基準法など法律を守った「民主的」な会社運営をさせることができた。そういう意味では労働組合の存在価値はある。

このコラムでは、短い文章の中で労働の尊さを説き、それを担う労働者の自覚を促し、「謙虚な要求」をどう実現するか提案している。

その一つに「労働者と資本家の『対話集会』」を挙げていて「『民主的な経営』をやってもらおう」と提案している。これはまさに管理人の職場でやって来たことであると膝打ちした。

そして、筆者は「彼らに誠意がなければ、ストライキということになる」と資本家・経営者が震え上がるようなことを最後に書いているが、この文章ではストライキについて「(資本家に)労働者の価値を思い出してもらう」方策であると述べている。

なるほど・・・。

そしてこう続ける。「何年もストライキをしないと、労働者を甘く見て、出せるものも出さなくなるのが資本家の習性だ」

ストライキのニュースがテレビや新聞から消えて久しい。(最近はポツポツと出てきているが・・・)今の資本家や経営者は「労働者の価値を」忘れてしまったのであろう。企業の内部留保だけは膨らむがこの物価高騰で労働者の生活は厳しさを増している。

そろそろ、資本家に「労働者の価値を思い出してもらう」時期がきたのではないだろうか?

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