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ある労働運動指導者の遺言 足立実の『ひと言』第89回「情勢の見方について(1)」1999年12月

 わたしは21世紀の偉大な勝利の胎動は、すでに人民のなかではじまっていると思う。
 前回のようにいくつかの現象を分析してみたい。
 管理職ユニオン
 10年前は想像もしなかった。 管理職は労働者を監督し、労組や活動家攻撃の実行者であり、自らも「単身赴任」「過労死」 の犠牲を甘受してひたすら出世をもとめる資本家の忠実な家臣だ。
 管理職の反乱は人民の闘いがそこまで広がる予兆ではないか。
 いま金融機関・NTT・日産はじめ大企業で軒なみの大量首切りがはじまった。関連中小企業の大失業もさけられまい。
 日産村山工場労働者を先頭に周辺労働者・市民のたたかいが、すでに火を吹いている。
 亀戸労政事務所の調査
 未組織労働者の87%が「組合が必要だと思っていた」と回答。「なぜ結成しなかったのか」の問に「つくり方がわからない」「資本家の報復が不安」「相談するところがない」と答えている。
 私たちの組合はこのアンケートの障害をすべて解決することで、4年間に41の職場の組合結成を援助した。これも10年まえには想像しなかった新たな変化だ。
 共産党の躍進
 共産党が民主勢力の一部だという認識をもてば、社会の抜本的改革にたいする大衆にのつよい願望を感じることができるはずである。共産党が革命を指導できるかどうかは別の問題だ。
 情勢認識のみなもとは労働者のたたかいの実践のなかにあり、周囲の現象をこういう観点で分析することを勧めたい。
 そして人民が自ら利益のために闘いだした足音を聞こう。
 われわれの前途はまちがいなく明るい。(実)

(画像は2021年の東京管理職ユニオンアマゾンジャパン支部の記者会見)

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注釈

・管理職ユニオン
1993年に、バブル崩壊時のパイオニア株式会社の管理職のリストラ問題等を契機に、全労協全国一般東京労働組合の有志の呼びかけにより誕生した。個人加盟の労働組合であり、管理職でなくても加入は出来るが、「管理職でも加入できる労働組合」という意味で「管理職ユニオン」と名乗る。2017年4月で結成以来4,000件以上の労働争議に取り組み、解決している。


・日産村山工場
東京都武蔵村山市にあった日産自動車の主力生産工場のひとつ。
1999年、日産自動車の株式を取得して資本提携を結んだフランスのルノー社より最高執行責任者(COO)に就任したカルロス・ゴーンによって、日産全体の経営の立て直しを図るために立案された「日産リバイバルプラン」の具体案の一つとして村山工場は閉鎖が決定し、自動車生産工場としては2001年より2004年にかけて順次閉鎖され、工場機能は他の日産工場各所に移転された。

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前回に続いて「情勢の見方について」の2回目。

前回の階級彼我関係における“彼”の側の「国家権力」=当時の小渕自民党政権の分析を試みたが、今回は“我”の側の労働者階級の分析を試みている。

当時は日産自動車村山工場の閉鎖など労働者に厳しい攻撃もかけられていたが、筆者は①管理職ユニオンの結成、②労政事務所の未組織労働者の意識調査と筆者所属組合東部労組の組合結成の増加、③日本共産党の躍進の三つを挙げて「人民が自らの利益のために闘いだした」と分析している。

最後に「われわれの前途は間違いなく明るい」と楽観的に結論づけている。

現在、このコラム執筆から24年が経過している。

この階級闘争における彼我関係がどう変化したか?または変化していないか?現代を生きる私たち自身がきちんと分析する必要があろう。


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