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肢体不自由児学級の先生になりたい学生と肢体不自由学級児だった学生の対談

こんにちは♪
今回は、とある学生に取材をさせて頂きました。

肢体不自由児学級の教師になりたいというとうまさん(仮名)。

「障害のある子に対しての周りの見る目に距離を感じた」

Instagramで知り合った彼と、実際に肢体不自由児学級に所属していた私で、その思いの共通点、そして今後していきたいことなど、赤裸々にお話ができました。


肢体不自由学級とは


特別支援学校と特別支援学級、そして肢体不自由学級について簡単に。

特別支援学校は、障害のある子だけが通う独立した学校です。
昔は養護学校と呼ばれ、いまでもその呼び方をする学校もあります。

県によって異なりますが、障害種別に設けられている場合もあれば、地区別に設けられている場合もあります。

私の住む岐阜県は、

盲学校、聾学校が障害種別
他の障害は地区別

に特別支援学校が設けられています。
特別支援学校に通う子は、数カ月に一度普通学校の生徒と交流があるそうです。(私の学校では一度もありませんでした。)

特別支援学級は、障害のある子が、普通の学校に所属しながら、学級は別で、1クラス最大8人までで過ごす学級です。

普通学級でできることは普通学級に通って日常を過ごしたり、勉強をしたりします。

知的障害、肢体不自由、弱視、難聴、言語障害、病弱・身体虚弱、自閉症・情緒障害の7つの障害を持つ子が所属できます。

私の学校では、肢体不自由学級と、知的障害と情緒障害の2つの特別支援学級が置かれました。

肢体不自由学級とは、この特別支援学級のうち、身体に障害のある子が通う学級です。
私は小学校3年生から中学校3年生まで、この学級に1人で所属をしていました。

そんな私と、肢体不自由児学級の教師になりたいとうまさん。今日は対話形式で書いてみます。

対談


みのり)今日は大学まで来てくださってありがとうございます!

みのり)どうして「肢体不自由児学級の先生をめざす学生」という名前でInstagramを作られたんですか?

とうま)目指すとは言ってたんですけど、やっぱり身近に障害を持っている方が少なくて、それだったら例えば大学で学ぶってなった時にも先に知っておいた方が絶対いいだろうなっていうのを思ったので作りました。

みのり)そうなんですね。大学に入る前から知っておこうとするところがすごいです!

肢体不自由児学級の先生をめざす友達との出会い


みのり)肢体不自由児学級の先生を目指すきっかけは何ですか?

とうま)中学校の時の友達で軽度なんですけど、脳性麻痺の子がいて、その子と関わっていくうちに僕自身も障害を理解できたというか、今までちゃんと理解してなかったんだなっていうのがわかって、障害の理解っていうのをもっと広めたいっていうのと、やっぱりまだ差別とかいじめもあるので、そういうのは絶対になくしたいなっていう思いがきっかけです。

みのり)なるほど。その友達と関わっていく中で障害に対して正しい理解ができたっていうことなんですね。

みのり)その子との出会いは中学生のとき?

とうま)はい。中学生の時に、最初はクラスは別だったんですけど、隣のクラスで体育が一緒で、そこでちょっと声をかけてみよっかなって。先生にサポート役を任されたこともあって。

みのり)そうなんだ。その子が困り感とか抱えてたのはどんなところだったんですか?

とうま)足を引きずっていたので、転んだりする心配とかは結構ありました。だから、体育の時もそうだけど、生活全般、大体どこからか見ていたっていう感じでした。

みのり)そうなんですね。そうやって、先生からサポート役とか任されたと思うんだけど、その時何か思ったこととかありましたか?

とうま)んー。特になかったですね。僕は逆にそういうの結構できるならやりたいタイプだったので喜んでやってた感じですね。

周りの人が伝える「ありがとね」


みのり)今のお話聞いて、少し気になるところがあって。
私の友達に対して、先生がいつもありがとうねって言ったりすること多いんだけど、その時に、その子は友達として存在してくれているのに、はたから見たら介助する優しい人みたいに思われていることを感じるんです。そう言われたら、自分も相手も、そうなのかなと自覚してしまって、少し気まずい空気が流れるときがあるんです。そういう気持ちとかなったりはしませんでしたか?

とうま)僕はそれすごい気を付けてて。やっぱり周りから見てもただの友達ぐらいに思われるように接してたし、特に介助するんだみたいなのは出さないようにしていました。

みのり)それができるのって本当にすごいと思います。そこを自分もまだ気を使ってしまう部分だし、もしかしたらそれを私が気にしているせいで相手も気まずくなるのかなと。とうまさんはそこを自分で考えて、自分からそうならないようにやってたっていうのがすごいなぁ。

子どもたちの障害のある子を見る目の違和感


みのり)とうまさんはただの友達のように接しているっていうことだと思うんですけど、実際周りの子はどんな感じだったんですか?

とうま)普通とは違うなっていうのはやっぱりなんか思ってて。距離があるというか、もっと普通に接していいのになみたいなものがすごい多くて。例えば話しかけづらさがあったりとか。

みのり)そうなんですね。私も、見た目がすごい分かりやすいっていうのもあって、初めて私を見る子とかは、ちょっと大丈夫かなみたいなところから入る子が今でも結構多いなって感じます。

とうま)そうなんですね。みのりさんは、特別支援学級にいる時に、先生からやられて嫌だったことはありますか?

みのり)先生の見張りかな。特に私が骨が折れやすい病気なので過保護になる部分が強かったのかなとも思うんですが、先生がずっと見張りのように私を監視していて、そうなると周りも関わりずらくなるし、あと、その先生がいるからやってくれるよねっていう空気感があって。実際に全部やってくれるから、自分もそう思っちゃうんですよね。クラスメイトに頼らなくても先生にやってもらえばいいやんっていうのが双方に根付いちゃって。だから、これから肢体不自由学級の先生を目指されるとうまさんには、手を貸しすぎずに、見守ったり、周りの子にさせてあげてほしいし、とうまさんならしてくれそうだなとすごく思いました。

障害者と健常者の関係性


みのり)学校教育で感じることがあります。障害者ってこういう子だよねっていう固定概念とか、対等じゃなくて、助けてあげる側と助けられる側っていうのが今もまだ根強いじゃないかと思うんです。

とうま)確かに、道徳の教科書とかでもなんか助けなきゃいけないみたいな、そうやって教わってる以上はもう子供たちにとってはどうしようもなくないですか。

みのり)ほんと、そうだよね。もちろん助けてもらわないとできないことはたくさんあるから助けてくれるのはありがたいんだけど、「ありがとうございます」っていう立場っていうのが固定化されちゃうっていうか、そこから一歩超えて友達っていう関係になるのが難しいのかなって私は思うんだけど。

とうま)でも僕はその子と最初関わった時、どっちかっていうと助けてあげるっていうところから始まったと思います。小さい時から固定概念がやっぱりあったから。

みのり)そうだったんだ。でもその子とはすごく楽しそうな感じで、友達感がしたんだけど、何か心境の変化とかありましたか?

とうま)そこはやっぱり、知ってくうちに助けられる存在じゃないっていうか、逆に助けてって言われればそれは助けるべきだと思うんですけど、それ以外は本当に全部できるのでそんな過剰に心配する必要とかもないかなっていうのは思いました。

みのり)最初はなんかいろいろとしてあげないといけないかなっていう風に入るけどでもいっぱい関わることで別にそうじゃないんだとか向こうだってできることいっぱいあるていうことに気づけるって感じなのかな。

とうま)そうですね。

みのり)なるほど。私、実際にかかわった人はどうやって感じてるのかなっていうのを結構友達にも私聞きづらかったんです。さっき話したことと似ているんですけど、やっぱり友達とは友達としての関係でいたいから、こういう病気があってこうでこうしてほしいっていうのが今まで言えなくて、なんか言っちゃうと逆にちょっと溝できちゃうのかなとか思っちゃってて。そうじゃなくて、最初は助ける助けられるの側面があっても、関わっていけば友達の関係もなれるんだなっていうのが聞けてうれしいです。

とうま)そうですね。でもこれまでの教育とか障害の方を見たら助けましょうっていう、それが本当に最初からなくなればいいなっていうのは思います。できないこともあるからその部分は助けるけど、みんな同じだよっていう教育は必要だと思います。

自分のクラスから理解を広めたい


みのり)最後に、これからこういう風にしたいという思いとかがあったら教えてください!

とうま)社会全体がインクルーシブとかを理解するには、まずは関わるっていうことがすごい大事だと思うんです。でも普通に生活してて関わる機会ってやっぱ少ないと思うし、今現状教育とかでも分けちゃっているので、そうおもうと全体にまだまだ理解が浸透してないのかなって思います。だから、少なくとも僕が担当する学校の人たちだけでも、小さいうちからお互い関わる機会っていうのを作って理解を広げたいです。そこからその子たちがどんどんどんどん周りに広げてってくれればいいなって思っています。

みのり)素敵なお話ありがとうございました!

両者の視点から見えたこと


今回は、肢体不自由児学級の先生をめざす学生の方との対談を記事にしてみました。
自分が普段聞くことができなかった、友達の立場からの考えを聞くことができたのがためになりました。

最初は助ける助けられるの構図でも、関わることで対等になる。理想は最初から当たり前に、難しいところだけ手伝うけど対等だよっていう考えになるのがいいけれど、その視点で入ってもいい、ということがみえました。

最後に

こういう思いをもって、特別支援学級の先生を目指す大学生がいるということにとてもうれしさを感じました。
一方で、実際は特別支援学級の専攻は第2希望の子が多いとかそうでないとか…
これから特別支援学級の先生を目指す大学生に、一個人の意見ではあるけれど、実際に所属していた私の話とか聞いてもらう機会を設けられたらいいなと、改めて思いました!

みのり


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