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5.抗がん剤治療の準備 脱毛対策と卵子保存

 こんばんは、片肺のがんサバイバーminoriです。
 本日は第6回目。いよいよ抗がん剤治療が始まります。

<前回のあらすじ>
 原発巣のあった左肺を丸々摘出した私。退院後は日常生活を送りながら、これまでと違った自分の身体に驚きつつ、来る抗がん剤治療に挑むのだった。

摘出手術 
 ↓  ←【今回のお話】
シスプラチンによる抗がん剤治療(途中でギブ)
 ↓
経過観察
 ↓
右肺に転移、レットヴィモの服用を始める



1.抗がん剤治療

 がんを患うまで、抗がん剤治療は末期の人がやるものだとばかり思っていました。
 実際は、どの人もステージがいくつであろうとやるみたいですね。術後補助化学療法と言うのでしょうか?再発率を下げるために、体内に散らばるがん細胞をクリーニングする感じで行うみたいです。

↓抗がん剤治療のスケジュール(私の場合)


【回数】
 最大6クール
【1クールの入院期間】
 約10日 ※次のクールまで3週間空ける
【治療方法】
 点滴
【内容】
 入院2日目にシスプラチンを投入。その8日後にビノレルビンを投入し、そこから約3週間後に次のクールに入る。

※副作用に耐えられなかったので2クールで終了しました。


 入院患者さん(がん友達)の話を聞くと、症状によってクール数が変わるみたいです。ステージⅡの方は2~4クールだったと言ってました。

 また、人によって薬の種類も違うようです。私はシスプラチン+ビノレルビンでしたが聞いたことのない薬だったり……。とはいえ、当時一緒だったがん友達は、皆さん同じような副作用を持つ抗がん剤治療を行ってました。それぞれ対策の仕方が異なっていて、勉強になったと同時に面白かったです。

 ちなみにこの抗がん剤治療ですが、今は通院だけで出来たり副作用が少ないタイプがあったり色々あります。私が現在飲んでいるレットヴィモも一応抗がん剤ですしね。

 で、当時私が行った抗がん剤治療ですが、がんに明るくない人もイメージするあの古典的なやつでした。髪が抜けてグッタリして吐いちゃう、例のあれ。
 6クール中2クールで断念したくらいなので、個人的には辛かったですね。

 けどまあ、その話はまた今度。今回は準備のお話です。


2.【準備その1】脱毛対策

 シスプラチンの主な副作用は、

  • 吐き気

  • 嘔吐

  • 脱毛

 などなど……。他、ざっくり調べただけでも10種類近くありました。

 嘔吐は袋を用意するだけで対策できますが、脱毛はそうはいかないので一応美容院に相談し、ウィッグを注文してもらいました。
 少し奮発して50000円程度の医療用ウィッグ。
 もし要らなかったとしてもたまのオシャレに使えるようにと、長さはロングにしました。

 結論から言うと、私はこれ、用意しただけで使っていません。
 なにせ2クールでギブアップしたのですから。予定通り6クールだったら脱毛ももっと酷かっただろうし、使っていた可能性はあるかもしれませんが。

 というのも、当時の私は髪を切らずに抗がん剤治療に挑んだんです。
 何故かというと「髪を剃ると髪質が変わる」という噂に怯えていたからです。この髪、軽くてお気に入りなんだもん。

 けど今にして思うと短髪にして挑めばよかったです。髪が抜けるって結構ストレスでした。
 あとウィッグもショートにすればよかったですね。実際の髪とは違うから私の腕じゃ整えられない!

 全然使ってないですが、念のため今も大切に保管してますよ。


3.【準備その2】卵子冷凍保存

 すでに色々副作用のあるシスプラチンですが、卵巣機能にも影響を及ぼすそうです。そのため、抗がん剤治療が始まる前に卵子冷凍保存をしないかとお医者さんに尋ねられました。保存する場合は産婦人科に相談してくれるそうです。

 私はこの話が出た時点ですでに答えは決まってました。
 ですが付き添い人の言葉もあり、一旦この問題はお持ち帰り。結構大きな選択なので、もう一度じっくり考えなければいけません。

 私は当時も今と同じく独身であり、特に相手もいなかったので、保存はしない予定でいました。
 結婚は勿論、子供がいる家庭も「いいじゃん、素敵じゃないの」と思う気持ちはあるのですが、それはあくまで他人の人生のものであり、自分の人生には組み込まれていないものだという意識が以前からありました。

 それにがんを患ったことで自分の人生が整理され、何を諦めて何を残すか選別されたように感じました。必要なものの中に結婚の「け」の字も子供の「こ」の字も入っていません。なのでこの決断は非常に簡単でした。

 ……が、それはあくまで2020年を生きる私の話。たかだか29年生きただけの人間が、簡単な気持ちで決めていいものだろうか。
 数年後には気持ちも変わり、子供を産みたいと思うようになるかもしれない。
 ただでさえ気の変わりやすい自分です。ありえなくもありません。
 そこからは真面目に卵子保存について考えるようになりました。どんな方法か調べてみたり、費用はどの程度かかるのか調べてみたり。

 その結果……やっぱり辞めることにしました。

 決め手の一つは費用。払えなくもないけど安くもない。それに維持費がかかる。
 これを知ったときに、正直そこまでして卵子を残したいのかと悩んでしまいました。パートナーだっていないのに。
 もう一つの決め手はコロナが蔓延してたから。卵子保存できる病院はまた別の場所だったので……。

 と言った具合で、あっさりと卵子を残さない方向に決定しました。
 選択肢があって悩むよりも、初めから選択肢がない方がすんなり割り切れて楽だろう、という気持ちも正直ありました。一度悩み始めたらとことん悩んでしまうので。
 私は子供を産めない身体です。そういうことにしておきました。

ちなみに……

 この話が出た約1年半後。レットヴィモを開始する際にも卵子保存をするかどうか尋ねられました。
 つまり治療中でなければ産むことも可能かもしれないんですね。ちょっと勘違いてたかも。あらま。なんか拍子抜け。

 さて、今回はこの辺で。
 次回はいよいよ抗がん剤治療開始です。




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