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6.人生初の抗がん剤治療 オロロロロ

 こんばんは、片肺のがんサバイバーminoriです。
 今回は人生初の抗がん剤治療のお話。噂のシスプラチンとは、果たしてどんなものなのか。

〈前回までのあらすじ〉
術後補助化学療法=抗がん剤治療のためにウィッグなどの用意を済ませた私は、約10日間に及ぶ入院生活をするため再び病院へと足を踏み入れたのであった。

摘出手術 
 ↓ 
シスプラチンによる抗がん剤治療(途中でギブ)←【今回のお話】
 ↓
経過観察
 ↓
右肺に転移、レットヴィモの服用を始める


1.みんなで仲良く抗がん剤

 今回の病室はトイレと一人部屋が近い場所でした。
 中に入ってビックリ。がん友達のKさんとAさんがいました。

 Kさんは前々回の検査入院のときに同室だった人で、最新のがん治療について教えてくれた先輩です(当時70代)。抗がん剤治療3クール目だそうで本当に先輩でした。

 Aさんは前回の摘出手術のときに一緒だった人で、今回の入院は私と同じ抗がん剤治療でした(当時70代)。私と同期の抗がん剤ルーキーです。

 三人とも症状は違えど、抗がん剤の入院ということで話は弾みました。
 Kさんは副作用の中では特に食欲不振が酷いようです。ただ脱毛は全くしないのだとか。
 読書好きのAさんは吐き気対策として小説を持ってきてました。料理の話だから途中で気持ち悪くならないかと心配なさっていましたね。

 私はというと、動画を見ようとiPadを持っていきました。
 読書もいいなとも思ったのですが、気持ち悪くて集中できないだろうとお見送り。今振り返ると正解でした。とてもそれどころじゃなかったもの。


2.辛い…

 ということで始まったシスプラチン投薬。

 結論から言うと、私はとても辛かったです。「途中でギブした」と何度も言うくらいなのでそれはもう…。
 前回とどちらが辛いかと訊かれたら間違いなくシスプラチンと答えますね。


①は、吐く…

 シスプラチンの副作用は、点滴を終えた辺りから徐々に出始めてきました。

 最初に表れたのは吐き気。急に身体がだるくなり、妙な寒気と粘っこい汗が襲ってきました。
 正確には吐き気だけじゃなく、下の方からも出てきそうな感じでした。看護師さんが来て慌しく車椅子に乗せられトイレに直行。…書いてて思い出しました。トイレに向かうまでのあの風がものすごく身体に障って寒かったです(当時9月上旬)。その後はきっと無意識だったんでしょうね。看護師さんがトイレのドアを閉める前にパンツをおろし始めてました。

 しかし、出しても消えることのない気持ち悪さ。
 ベッドに戻ってからは嘔吐との戦いです。
 吐いても吐いてもスッキリしないもどかしさ。構えた袋に水っぽくなって返却された昼食たち。あとは胃液、胃液、息、息、息…。吐くものがなくても吐き気がする、ということはよくあったのですが、このシスプラチンでは短くても一週間くらいそれが続きます。もう何も出てこないよ…けれど「何か」が胸の奥から込み上げてくるそんな感覚。20分おきにベッドから起きては袋を構えて咳き込む日々が続きます。

 ある日、体調がよくなったのでコンビニに行ったのですが、その帰りのエレベーターで突然身体が変にジメジメし始めました。あの点滴を終えた瞬間と、まったく同じ感覚です。そんなときに限って袋を買ってこなかったので、一番端の病室まで時間をかけて帰りました。行きはあんなにサクサクだったのに、帰りはものすごく遠い。ベッドに着くなりすぐに戻しました。やっと食欲が戻ったと思ったらこう。油断ならない副作用です。

 

➁ね、寝るしかない…

 シスプラチン投薬後には、「副作用:悪心・嘔吐」対策に薬を内服します。
 その名も「オランザピン」。
 口に入れた瞬間溶ける黄色い星型のアイツ…と記憶していたのですが、調べてみたら星型はないですね。あれ?
 
 先に書いた通り、薬の効果は微妙な感じでしたが副作用は絶大でした。
 抗おうにも抗えない眠気。
 最早何の影響かわからないのですが、これを服用している間はとにかくずっと眠ってました。食事のときに起きるのみで、その他の時間はずっと眠ってます。たったの6時間しか起きてない日もありましたね。つまり18時間も寝てたってこと?

 このオランザピンの本当の効果は副作用の眠気にある気がしました。
 寝ていれば気持ち悪さも感じずに済むからね。


➂た、食べられない…

 吐き気の次に酷かったのは食欲不振です。
 食べられない…というより口に運んでいくのが気持ちの面でとても億劫。

 「料理の匂いで気持ちが悪くなる」とは聞いていたのですが、まさにその通りです。炊き立てのご飯の匂いがホントに嫌でした。つわりに近いのかも。

 なので栄養士さんに相談し、食事の内容を変えてもらいました。
 うどん、パン、おにぎり(おにぎりは何故か平気)。基本はハーフサイズで。
 利用年齢層を考慮してか当時の病院食はとても味が薄かったので、パンについてくるジャムが美味しくて食事が進みました。(塩焼きそばの塩なしみたいな味の薄さです。塩を抜いても焼きそばにはならない不思議)

 シスプラチンを投薬してすぐはさすがに食欲がなかったので、フルーツ(ハーフサイズ)のみにしてもらいました。一食リンゴ4分の1カットぐらいの量です。
 それが連続4日。2日目くらいには通常サイズでも問題ないくらいだったのですが、栄養士さんとのタイミングが合わず結果は4日。コンビニのご飯とお菓子で埋め合せしました。


④や、痩せる…

 シスプラチンは痩せます。がくっと体重が落ちて、久しく見ることのなかった数字が出てきました。
 が、病気の痩せ方って気持ち悪い。鏡で見てみましたが、お肉に覇気がない。痩せたいとは思っているけど、これはいいや…御免被る。


➄退院後の症状

 約10日間の入院生活が終了。
 退院の前日に2つ目の抗がん剤ビノレルビンを投薬したのですが、特に副作用もなかったので割愛します。

 退院後の症状ですが、吐き気は地味に続いてました。約半年くらい。
 さすがに投薬直後ほどではないけど、下を向くとちょっと気持ち悪い。
 なので仰向けになりながらノートPCを使うという新なスキルを習得しました。
(ちなみに小説を持参したAさんは、気持ち悪くなりつつも読み切ってました。すごい)

 食欲は割とすぐ回復した記憶があります。炊き立ての白米は、退院5日後には食べれていました。

 そしてこれは抗がん剤あるあるらしいのですが、特定の食べ物が無性に食べたくなるのだとか。
 人生初の抗がん剤治療。第一回目は納豆でした。

 それから最後に一つ。おすすめの入院グッズの話。
 私はサシェまたは匂いのするものを持っていくことを推奨します。※ただし周りに迷惑が掛からないように配慮しましょう。
 持っていって正解でした。常に清潔な匂いがするとは限らないのよ… 

 

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