みなぎる力を感じること
ヒヤシンスが咲きました
花が咲くことには
格別のよろこびと華やかさがあるけれども
でも私は花よりも
もう今にも咲こうとしている蕾のときが
何よりも好きで
いつまでも見ていられます。
みなぎる何かを感じる。
トラウマ療法をしていると
絶望に接することがとても多いわけですが
でもその
厚く立ちこめる真っ黒な絶望の中に
閃光のような
火花のような
かすかな光の気配を感じることが
絶望と同じくらい
あります。
どんな人からも
どんな絶望の中にも
必ず感じます。
スパークする寸前の
みなぎりはじめる何か。
その何かを見逃さずにつかまえて
手の中にいる蛍の灯を見るように
そっと見守っていると
みなぎりはじめた何かが
どんどん膨れていき
溢れんばかりに満ちたかと思ったら
自由に広がっていく。
これが生きる力だ
と思わずにはいられないみなぎりに
立ち会えるよろこびは
もしかしたら
花が咲くよろこびを
超えるのかもしれません。
蕾が弾けて花となる
赤ん坊が生まれ出る
その力はいったい
どこから来るのだろう
それと同じ不思議な力が
絶望の厚い雲を突破する力にもなるのだ
と思うと
心の底から
深く感動が湧いてきます。
花はそれぞれに咲くのであって
どう咲いても美しさに変わりはないけれども
今にも咲こうとしている蕾に
みなぎる何かは
どんな人の中にも潜んでいる。
私はいつもその気配に
心をぐっと掴まれているのです。