意味の分からないものに救われる(パン屋再襲撃 感想)
パン屋再襲撃 村上春樹
感想
夢中になって読んだこの本。一言一言、読み込んでいくうちに覚える充実感、読み進めていくうちに、何か他の方向に歩んでいく感覚。この本は、よく分からない。何を言っているのか、何を真剣に語っているのか、よく分からない。でも、心地いい。早く読み進めたいという気持ちが湧き出てくる。人生の意味を見つけなければいけない。やる意味を考えなければいけない。そんな幻想にとらわれている私を、ひょいと、違う角度から救ってくれるように感じた。枠にとらわれて、枠の中で言葉を発しようとしてしまうのが悪い癖だ。作文の文章が、固いと言われたり、文章を書くのがとても苦手だったりした。それが、がちがちの枠にとらわれていたからだ、と思うのも、枠にとらわれている証拠だろうか。この本を読んで、不思議、よく分からない、が心地いいことに気付いた。私たちは、もっと意味が分からなくていいし、どうでもいいことに時間を使っていい。意味の分からないものに救われる人もいるし、そんな風に生きている人間って面白い。
今悩んでいることから離れたい、そんな人にもおすすめです。
頭空っぽにして、世界観に浸りたくなる本。
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