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7月から詠み始めた人の名刺代わりの短歌たち

ガラスの海を渡りゆく布の船 間違いのない国へゆきたい


よく考えたら心理的瑕疵のない短歌を載せるのを忘れてました。

短歌をはじめたのは2022年7月の頭頃から。
こんな短歌を詠んでいます。


『自選三首』


まだだれも見つけていない渚です 朝いちばんに連れ去って波

あの子らと同じ窓から見ていたの 青い風です南から吹く

ひとりずつまぶた閉じゆくまぶしさに 星の子どもは街では眠る



『生活・暮らし』

さみしさは とくに暮らしのさみしさは デニムのひざを伸ばしつつあり

軽く手を上げすれ違う さまよいと散歩がかわす美しい距離

今でさえおぼつかぬ身に押しつける紙ストローの現実味は無

レジ袋の薄さごとに削られるたましいに値(ね)をつけてくれるか


『宝石・鉱物』

8月の石の中から木漏れ日のため息がするそうっと生きよう


『自然・植物』

ときどきは紅をさすこと笑わずに月下美人のようと言ってよ

秋雨が排水溝へ運びゆく金木犀の美しいこと


『夢・幻想』

桟橋の標識灯のよう夢はいつもわたしの対岸にあり

眠らない街でまどろむ人探しサーチライトが夢覚ましてく

まどろんだ獏が降りゆく舞踏場 今宵の夢は救われぬ夢

蛤(はまぐり)が夢見たろうか生焼けのアスファルト上人夫揺らめく

どしゃ降りに笑い駆けてくふたり今胸の奥にいる ちくりと痛む


『地域』

屋根探す私追い越すスコールがアシカを濡らす夏の桂浜

眠たげな午後の客乗せ渋滞を割る路面電車 白浪立つやも

立田姫からくれないの袖ふるい夢二の故郷秋に染めゆく



『恋愛・愛』

葉のそよぎ枝のふるえは風の影 眠る犬は愛の影かしら

悲しみを抱きしめ眠る君を抱く僕を別れの予感が抱きしめ

きみからの「おやすみ」を細かく砕き小分けにしては冷凍してる


オマケ『チェンソーマン(二次創作短歌)』


蛸よ蛸 彼の本性教えてよ水曜の不穏食べていいから
君ならばあってもいいよ裏側に薄ら笑いの闇みたいなの
顔色を変えずに影で殺すからピアスホールの深度測れず
屍山越え血河を渡り寄る辺なき 寂しき岸に目隠しで立つ
もう二度と離れぬよう醒めて眠れ 永遠に家族と夢の家族と


自己満足ですが、二次創作として短歌を詠むのは面白かったです。
またやってみたいです。

読んでくださった皆様ありがとうございました。

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