こいという字。

恋。

なんて、上手く作ったよな。
亦と心。
旧漢字では戀。
亦は「〜もまた」
心は「気持ち」
旧漢字は䜌と心。
䜌は「もつれる」「みだれる」
どちらも二つがかけ合わさると、気持ちが乱れ絶え間なく思ってしまうこと。
まぁ昔の人はよくこんな意味を持たせた言葉を作り上げたよ。

と、私の前で喋り続ける人を眺める。
時折、
「聞いてる?」
の言葉が飛んでくるからそれに頷く。
そしてまた喋り始める。
これの繰り返し、周りからは楽しいの?と聞かれることが多い。
私は彼の話を聞くのが好きだから楽しいと答えると周りは不思議そうに首を傾げる。
別にいいでしょ、私は楽しく話すこの人が好きなのだから。
「それでね、あの子がさ〜!!」
話題が彼の好きな人で無ければもっと楽しいのだけれど、そこまで求めるのは贅沢。
私は彼の話を聞けるだけで幸福を感じる。

自分が好きな服ではなく、自分に似合う服。
足元は可愛いよりクール。
色も暖色系より寒色系。
長年伸ばした髪の毛は恋を自覚した時にバッサリと切った。
「あ、お茶ないね。別の頼む?」
「うん。ありがとう。」
店員に注文をそつ無くこなす姿を見て笑みを浮かべる。
彼の隣に並べるのなら好きなものなど要らない。
彼の"親しい友人"で居れるこの人生も悪くは無い。
そう思いながら残ったお茶を一気に飲み干した。

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