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酒を飲んだ翌日の現実

こうなることはわかっていたからこそ、どれだけ眠くても、寝る前に入ったんだ。湯船に。泊まっていたホテルでは何種類もの入浴剤を自由に部屋へ持ち込めるサービスをしていて、酔い疲れた頭で白い粉を小さなパックへ詰め込んだ。ついでにフリードリンクバーから麦茶もピックアップ。

そう。これで翌朝は大丈夫と思っていたのだが、全然だめだった。起きたら手足がドラえもん。肌に刻まれしシーツのシワ、全身に鉛をつけたかのような重さ。胃がキリキリと痛むけど、無理矢理お味噌汁を流し込む。

当然、ハイチオールCも忘れない。ハイチオールCは二日酔いの薬として開発されたらしいので、ぜひここで効果を発揮してもらわねば。できれば、美白とか美肌にも効果を発揮してもらいたいところなのだけど、そもそも飲み明かした後の肌というのは、毛穴がドバッと開いている。よくマイナス5歳肌とかいうCMを見かけるけど、飲んだ翌日はプラス5歳肌といっても過言ではないだろう。なんだよ、むくんで、ひろがって、たれ落ちて。鏡よ鏡。映っているのは、未来の自分でしょうか? もうファンデも塗る気力もおきてこない。

朝ご飯にお味噌汁を食べたから、これで胃袋方面は落ち着いたかと思いきや、甘かった。

東京へ戻るために早々に空港へ向かったのだが、胃袋が要求する。炭水化物を。そして脳みそが拒否する。仕事するというノルマを。正直、岩盤浴にはいりこんで、ずっとゴロゴロしながらマンガ読みたいよ。フライトの時間を考えればできるんだ。できるんだけど、立ち寄ることすらめんどくさい。

結局空港で食べてしまったがっつりカツ丼。何に勝つ気だ? わかった、この二日酔いにだな。その後お手洗いにいくと、ますますむくんだ顔がコニャニャチワしてやがる。塩分過多だよ。

もう15時だというのに、身体からむくみは消えることがない。手指からは水分が失われ、腕時計の跡もくっきりと刻まれていた。

そして、ふとこの文字を打ちながら気づく。鏡に映った顔がプラス5歳肌だと思ったけど、もしかしたら、もうこれがデフォルトなのかもしれない。そもそも、ほぼ毎日飲酒している。毎日、毎日、ずっと未来の顔だと思っていたのは、今の顔なのかも……現実には気づきたくないので、このあと酒を飲んで、忘れてしまおうと思う。


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