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スポーツ×生理

お久しぶりの投稿となってしまいました…。
こんにちは、みさとです😄

#みんなの生理は現在、2ヶ月に一度のペースで、オンラインカフェというものを開催しています☕️
このイベントは、普段なかなか話す機会のない「生理」について、オープンに話せる場を作ろうという思いから、団体設立当初より定期的に開催しているものです。

毎回生理にまつわる様々なテーマをもうけ、10〜15名程度の方に参加いただいています。
過去には、
  ・生理用品何使ってる?
  ・教育と生理
  ・生理と働くこと
  ・10代×生理
  ・更年期について話しませんか?
などのテーマでお話ししました。

そして今月、オンラインカフェのテーマとして選んだのが「スポーツ×生理」でした。

今回の記事では、「スポーツ×生理」というテーマでオンラインカフェを開催するにあたり、私たちが事前に学んだこと、そして私が感じたことを中心に書いていこうと思います。

「スポーツ」のなかで「生理」を考える

今年の8月、東京オリンピック・パラリンピック2021が開催されました。

アスリートの活躍は、メディアでも大きく取り上げられ、選手に関するドキュメンタリーなどもたくさん放送されました。
勇気をもらったという方も多いかもしれません。

しかし多くの場合、そうしたスポーツの話題のなかで、「生理」は見えないものとされています。

大会に合わせて生理周期を変えたり、タンポンなどを使用して試合に臨んだ選手もいたはずなのに、です。

それはオリンピック・パラリンピックだけでなく、学校の体育の授業、部活動、仕事、趣味としてのスポーツのなかでも同じことが言えます。

からだを動かす「スポーツ」のなかで「生理」は切り離せないもののはずです。

だからこそ、普段は見逃されている「生理」という切り口から「スポーツ」を考えてみると、様々な課題が浮かんできます。

服装・時間・生理用品などの物理的要因

まず物理的要因について考えてみると、次のような課題があげらます。

  ・着用するユニフォーム(色、生地、丈など)
  ・汗と経血でむれる生理用品
  ・休憩時間が短い/ ないために、生理用品を替える時間がない
  ・生理痛や経血の漏れが気になり、練習に集中できない

「アスリートが生理用品使用時に抱える困難」については、このようなデータもあります⬇️
この結果からは、生理用品のむれ、ずれ、経血の漏れが、多くのアスリートにとって、運動時の不快感・不安につながっていることが考えられます。

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(参考 https://www.womenshealthmag.com/jp/wellness/a36003509/wellness-rebolt-opt-20210405/)

スポーツによって異なりますが、大会のルール上、丈の短いパンツ、薄い素材、白いユニフォームなどを着用しなければならない場合があります。
こうした服装で運動することは、生理用品や経血が透けて見えてしまうのではないか、といった不安を生じさせることになります。

また、ナプキンを使用した場合、激しい動きによってナプキンがずれる、ショーツから剥がれてしまう可能性もあります。
そのため、
「ナプキンのずれによって経血が漏れてしまうのではないか…」
そんな不安も抱えることになります。

さらに、十分な休憩時間のない、長時間にわたる試合や練習では、
生理用品をなかなか交換できない、という問題もあります。
長時間同じ生理用品を使用することは、経血の漏れへの心配を高めるとともに、
肌のかゆみや炎症などを引き起こす可能性もあります。

身体、パフォーマンスへの影響

スポーツでは、身体の状態がパフォーマンスに直接的な影響を与えます。
そのため、生理周期に伴う身体の変化も、スポーツをする上で重要なテーマとなってきます。

具体的には、
  ・生理周期によるコンディションの変化
  ・運動性無月経
などがあります。

国立スポーツ科学センターによるアンケート調査によれば、調査対象の女性アスリートのうち、
およそ40%が、他の時期と比べて、月経期のコンディションが「悪い」「やや悪い」と回答したと報告されています。

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(参考 
https://www.jpnsport.go.jp/hpsc/Portals/0/resources/jiss/column/woman/seichoki_handobook_4.pdf)

生理前、生理中には、イライラ、倦怠感、生理痛、頭痛、吐き気などを伴うことがあり、こうした身体の症状が、コンディションの変化に影響を及ぼしていると考えられます。

さらに、生理がある状態だけでなく、
今まできていたはずの生理が「なくなる」、「止まる」こともまた、身体に大きな影響を与える可能性があります。

例えば、過度の疲労・ストレス、体重・体脂肪の減少によって、運動性無月経が起きる場合があります。
無月経は骨粗しょう症(骨量の減少、骨組織の構造変化により、骨がもろくなった状態)や疲労骨折のリスクを高めるとも言われており、アスリートの中では深刻な課題とされています。

しかしアスリートの中には、生理がこなくなった状態をポジティブに捉える場合もあるようです。

元フィギュアスケーターの鈴木明子さんは、競技生活を送っていた間はシーズン中ずっと、生理が止まっていたと言います。
その時鈴木選手は、「自分はちゃんと追い込めている」と思い安心した、逆に生理がきた時には、「まだ体が疲れ切っていないんだ」と思い、より自分を追い込んだ、と話しています。

こうしたことから、生理が「ある」状態だけでなく、生理が「ない」状態にもまた、目を向ける必要があると言えます。

生理についての話しづらさ

最後に、生理についてのタブー視も挙げられます。

  ・チームメイト指導者に、生理について話しづらい
  ・体育の授業の時に、生理で休むと言えない

生理についての話しづらさに関しては、競技として運動する人だけでなく、
体育の授業がある学生の中にも、困難を感じている人が多いようです。

授業を休む際には、教員に自分の体調を説明しなければならず、
その時に言いづらさを感じてしまうことが考えられます。

さらに、話したとしても教員や保護者から理解を得られないため、言わずに我慢する、という場合も少なくないようです。

一方、アスリートもまた、生理に関する話しづらさを抱えています。

こちらの動画の後半では、アスリートが感じる生理のタブー視、話しにくさなどが語られています⬇️

動画では「生理にまつわる環境がどう変わっていって欲しいか?」という質問に対して、
「(今はタブー感があるが)生理について話してもいい雰囲気をチームの中で作っていきたい」
ということがお話しされています。

生理でスポーツを諦めることがないように

ここまで、生理とスポーツにまつわる、様々な課題についてご紹介してきました。

ですが最近では、スポーツ用のナプキン、月経カップ、タンポンの使用や、低容量ピルなどの使用によって、
生理用品のずれ、もれの心配を軽減させたり、生理周期をずらすことも可能になりました。
そのため、特に物理的な要因に関しては、ある程度、生理を軽減させてスポーツを楽しむことも可能になっています。

しかし、すべての人が月経カップやタンポン、低容量ピルを使用できるとは限りません。

例えばピルの服用については、安価とは言えず入手が容易でないこと、副作用の心配があることなどから、
服用したくてもできない人も少なくないのが現状です。

生理を経験する身体で、どんな時も変わらず同じパフォーマンスを発揮する、ということは容易ではありません。

それでも、

「スポーツを楽しみたい」
「スポーツで結果を残したい、大会で優勝したい」

と思う気持ちに、もちろん変わりはありません。

趣味としてのスポーツ、部活としてのスポーツ、仕事としてのスポーツ、自己実現のためのスポーツ…など、
人によって「スポーツ」の位置づけは様々です。

時には、自分の身体の状況がどうでもよくなってしまうほど、
スポーツに打ち込みたくなることもあると思います。

しかしどんな人であっても、生理が原因でスポーツを諦めることのないよう、
またスポーツによって、自分をないがしろにしてしまうことのないよう、
みんなが自分の身体を大切にし、自分の好きなことを、好きなように楽しめる
そんな世の中を作っていきたいですね。


<参考文献>
国立スポーツ科学センター『成長期女性アスリート指導者のためのハンドブック』、2014年、
https://www.jpnsport.go.jp/hpsc/Portals/0/resources/jiss/columnå/woman/seichoki_handobook_10.pdf.
国立スポーツ科学センター『女性アスリートのためのコンディショニングブック』、2013年、
https://www.jpnsport.go.jp/hpsc/Portals/0/resources/jiss/info/pdf/josei_athlete_conditioning_book.pdf
高校生新聞「生理の日の体育がつらい『運動で経血漏れが…』勇気を出して先生と話し合ってみた」、高校生新聞オンライン、2021年6月4日、 https://www.koukouseishinbun.jp/articles/-/7668.
高校生新聞「生理中の高校生の悩み 先生がつらさを理解せず 『罪悪感で学校や部活を休めない』」、高校生新聞オンライン、2021年6月24日、
https://www.koukouseishinbun.jp/articles/-/7733
MOTEGI SAWAKO「『女性だから」はもう時代遅れ。ジェンダーステレオタイプに縛られないパンツを生理の選択肢に」、WomensHealth、2021年4月5日
https://www.womenshealthmag.com/jp/wellness/a36003509/wellness-rebolt-opt-20210405/ .
長島恭子「隠れていたフィギュア選手の生理問題 鈴木明子の告白「選手時代、私は間違っていた」、THE ANSWER、2021年1月31日、https://the-ans.jp/women/143810/.
安田聡子「ナプキンが試合中に落下、柔道着が血で染まる…。アスリートの生理の悩みを解決するためのパンツとは」、ハフポスト、2021年4月28日、
https://www.huffingtonpost.jp/entry/period-pants-opt_jp_607aaa1ce4b001abc4dc8c3c .


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