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㈱オカモトヤさん×社会科×SDGs「つくる責任、つかう責任」

1 自己紹介

私は「社会と学校をつなぎワクワクを作る」合言葉にゲストティーチャーと協働した授業を行っている公立小学校教諭です。ゲストにしか話せない言葉を引き出し、ゲストだからできる活動を考え、オンリーワンの授業を目指しています。

2 今回の授業は?

株式会社オカモトヤさんと一般社団法人casaさんご協力の下、第4学年の「ゴミのゆくえ」の単元の終末に、作る責任と使う責任の両方を果たすために必要なことを考える授業をオンラインで行いました。

3 ゲストの紹介

 オカモトヤさんは1912年創業の歴史あるオフィス関連商社です。ゲストに来ていただいた園田さん、打合せ時からとても熱心に協力していただきました。今回は、オカモトヤさんから、SDGsに配慮したオリジナルノートの開発や木の端材を使ったエンピツ、廃棄になる文房具を移動販売車に乗せ、再販売する取り組みを紹介していただくことになりました。
 一般社団法人casaさんはフィリピンやカンボジアに日本で不要になった文房具を送ったり、短くなった鉛筆をつなげ、アップサイクルするワークショップを行ったりする社会課題を世界規模で解決する団体です。

4 授業での工夫

1 casa小澤さん、オカモトヤ園田さんから、文房具のリアルな廃棄の状況を話してもらう。
担任が情報として子どもたちに伝えるのではなく、ゲストから直接教えていただくことでよりリアルな問題として子どもたちに考えてもらうことにしました。
2 作る側の工夫を学び、作る側に立って「できること」を考える機会を作る。
普段は消費者という立場でSDGsの問題を考える子どもたちに、「作る側」の視点で考える時間を取りました。「どんな製品を作る会社が環境に良い会社」と言えるのか?という観点で今後製品を見ることができると考えました。
3 実物を見る。
オカモトヤさんが開発しているオリジナルノートと鉛筆の実物を教材として使用しました。

画像は本人が作成

5 どんな授業だったの?

第4学年 社会科 ゴミのゆくえ 単元末の時間
・ねらい廃棄される文房具の処理や再利用について関心をもち、本単元の既習事項を生かしながら、主体的に問題を解決しようとする。(主体的に学習に取り組む態度)
 まず、小澤さんからエンピツプロジェクトを行うために不要な文房具を集めた際のエピソードを紹介してもらいました。不要になった文房具を学校や企業から集めたところ、予想の十倍もの量の文房具が集まったという話をしていただきました。
 また、園田さんからは、1メーカーあたり、年間トラック数十台分にもなるようなたくさんの文房具の廃棄があるという説明をしていただきました。
次に園田さんから、SDGsに配慮したオリジナルノート、木の端材を使った鉛筆の紹介をしていただきました。子どもたちは、提供いただいたオリジナル鉛筆を実際に手に取りながら園田さんの説明を聞いていました。
 園田さんから、通常、端材を使った鉛筆は節やつなぎ目などが見えるが、

「継ぎ目や節がほとんど見えないように作られているはずです。それが日本のものづくりの技術です。」

という話をしていただきました。

SDGsに配慮した製品と言っても、製品として妥協しないものづくりの技術が日本にはあるという事実を目の当たりにした子どもたち。何度も鉛筆をクリクリと回しながら観察し、鉛筆の中に隠されていたこだわりを実感していました。

協働して授業を行っているとゲストにしか言えない言葉を聞くことがあります。SDGsと日本の技術のつながりを説明する園田さんの言葉を聞いた瞬間、多くの子どもたちが「そうなんだ!」という反応をしていました。子どもたちだけではなく、私自身もゾクゾクっとした感覚を覚えました。

さらに、文房具の廃棄を減らすために、廃棄になる文房具を移動販売車に乗せ、再販売する取り組みの説明をしていただきました。廃棄という現実に向き合い活動していることに子どもたちは、感心していました。

最後に、使われない文房具を減らすためにできることは?作る側・使う側両方の立場に立って考えました。

使う側としてできること
・「どう工夫をしたらまた再利用をできるか?」を考えて、
 できるだけ再利用する。
・使えないなら、リサイクルボックスに入れる。
・新しい筆記用具が欲しくても我慢する。
・鉛筆をアップサイクルする。
我慢するという意見に対して、担任から「かわいい文房具が欲しくなる時あるよね。」という話をすると、その子どもたちも頷き、難しさを感じていました。

児童の感想を本人が編集

作る側としてできること
・環境に優しくなるように文房具の新しい作り方に挑戦する。
・作りすぎないようにする。
・子どもが好きそうな文房具を作る。
・廃棄になってしまうものをオカモトヤさんがやっているように、
 車に載せて必要な人に売る。

児童の感想を本人が編集

特に作る側の視点で考えることは、難しいことでしたが小澤さん、園田さんの話を手がかりにしながら、子どもたちは自分なりの答えを見つけることができました。

子どもたちの中には、「作りすぎないようにする」「数を少なくすれば、廃棄は減るのではないか?」という意見が多くありました。
その意見を受けて、園田さんから、商品を作る数と価格の関係について教えていただきました。「生産する数を減らすことによって、価格が上がってしまう」ということ知った子どもたちは、「高くなると買えなくなりそうだな。難しいなぁ。」と反応していました。

6 まとめ

「難しい。」
という子どもたちのモヤモヤした反応を見た時に、私はこの授業をやってよかったと思いました。難しさに向き合うことがSDGsの問題解決の入り口だと思うからです。複雑に絡みあう問題をみんなで考え、できることを一つ一つ積み上げるのが解決の第一歩なはずです。

 小澤さん、園田さんのリアルな問題提議。オカモトヤさんの文具を大切にする姿勢、ものづくりに対する誇り、取り組みの多様さ。こういった要素が子どもたちが「つくる責任、つかう責任」を本気で考えることに繋がったと思います。

ある児童が「私も働くようになったら、環境に良いか考えながら仕事をしたい。」と言っていました。社会の第一線で活躍する方たちとの出会いがなければ、このような気付きは中々出てきません。改めて、企業と協働する授業の良さを感じた時間でした。


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