創作落語 ~深層組編クッコロ・セツ回~ 『床の女』


※これは落語名作200選上巻の13%しか読み進んでないエアプ勢の書いた落語みたいなものです。

※この話に出てくる深層組出身VTuber、クッコロ・セツの本物の方は清楚百合なので、間に受けないで下さい(知らなくても、問題なく楽しめます)。

※これは、フィクションなので間に受けないで下さいね。


   〇     〇      〇


欲望というものは、厄介なものでしてね。

それに右往左往されて、平凡だった人生を、自らハードモードにしてしまったりしますし、周りの人も巻き込んでしまったりします。


勿論、それがなきゃ人生味気ないもので、時には身体や精神や環境の窮地を抜け出すのに、必要なものではあるんですけどね。
でもまぁ、やっぱやりすぎると酷い目にあうわけですわ。

特に、怒った周囲の報復によって、ですかね。


まぁ、それで。実はこういう話がありましてな。


昔々、クッコロ・セツという騎士がおりましてな。

これが大層強い女で、戦場で戦うこと負けなしで、英雄譚には欠かない大人物ではあるのですが、ちょっと弱点がありましてな。

そう。大層な酒と女好きなんですよ、この騎士様は。

特に女好きってのが酷くて、吉原の大量にある店の片っ端から片っ端の、路地裏の裏の裏の裏まで抱かなかったぁ花魁はいない、ってレベルのものでしてな。
時に騎士の、あの子に惚れる裏方の子や、ちょっと年増のやり手ばばあまで抱いちまうって言うんですから、日ノ本一の色男ならぬ色女なんですわ。クッコロ・セツというお方は。

でもまぁ、当然のことながら、そんなに店に通っていては、そう。お客さん、わかるでございましょ。コレですよ、コレ。まぁ銭の方がですね、その。当然なくなってしまうわけでしてね。

まぁ騎士になれた程なんで、それなりに良い家を出ていて、それなりに金持ちではあったんです。クッコロ・セツのご実家は。
加えて、一番の騎士ではありますので、下々の庶民には目のくらむような高い給料も貰っていて、それでいて大活躍の特別報酬まで貰ってるわけですからね。
まともに貯めてでもいりゃ、街の一角でも二角でも余裕で買えてしまうくらいの金持ちになれたはずなんですよね。

長年煙草を吸って使った金額があるなら、ベンツを買えるみたいな話がありますが、彼女にそれを言ったら、うるせぇ早くベンツを女体化させろ。話はそれからだと怒ってくるでしょうな。


閑話休題。

で、話を戻すとですね。女に金を使いまくった結果、給料も報酬もすぐになくなり、実家も借金塗れ。もうすぐ潰れて傾こうかってとこまで来てるんです。

両親がどれだけ泣こうが喚こうがネットに晒そうが、平気の平左。
女がいない人生など意味がないぜとばかりに口説いたり抱いたり、萌えシチュエーションボイスを要求すること止まないわけですな、クッコロ・セツは。

それに困った両親は、家で唯一残った女使用人に、お前が何とかしろと丸投げしたってのが、今回の話の前置きです。

その女使用人。たいして学も取柄もなく、男っぽいが故に騎士に無視されるくらいの器量なしでありましたから、どうしたらいいかのアイディアも、自分に惚れさせて説得みたなこともできなくて、まぁ可哀想なものでしてな。
そこで町のご隠居や5ちゃんねる、ヤフー知恵袋やひろゆきにすら相談してはみたんですが、まぁ良いアイディアが浮かぶはずもなく、もうお狐さまに祈ることしかできなかったそうな。
パンパンと、お狐さまの社(やしろ)で、女使用人は祈ります。

クッコロ・セツ様の女遊び癖を直して下さい。私達は酷い目にあってるんですと、何度も何度もお願いするわけですね。
まぁ、神様どころか、たかが狐に祈った所でどうなるもんかい、と現代のあなたは思うのでしょうがな。
でもここはそう。不思議な世界の、不思議な物語ってわけで、ご都合主義が登場するわけですな。
で、はい。ぽぽんがぽん。
なんとびっくり。
頭の耳としっぽはご愛敬、人間の女に化けたお狐さまが、そこに現れたではありませんか。

お狐さまは、可哀想な女使用人の話を聞き、うんうんワシがなんとか懲らしめてやろうとなって、それでとある計画を立てられたってわけです。

そして当日、女使用人に連れられ、クッコロ・セツが町外れのとある小屋の前に来たそうな。


今まで経験したことのない女遊びがあるそうですよと、そう女使用人に言われ、クッコロ・セツはこんなへんぴな所まで、のこのこ付いて来たってわけです。

で、そこには魅力的な美人がおりましてな。
あんたが、今夜の相手かいとクッコロ・セツは言うわけですが、焦るでないと、この美人。
それは勿論、狐耳を被り物で、尻尾を着物で隠した我らがお狐さまであります。
まるで吉原にいる花魁ばりに上手く身体をしねらせ、いいえ騎士様。あなた様の今宵のお相手は、私ではありませんと美人は言う。そこに加えて、花魁が相手するわけでもありませんとも言う。
すると、ここはどういう趣向なんだいと聞くクッコロ・セツに、こちらへと案内するは小屋の中。そこには下へ下へと続く階段があったそうな。

怖いから外で待ってると言う女使用人を置いて、その暗い中をそろりそろりと降りていくと、どこかへと続く道がある。
それがどこのどこへまで続くかはわからないが、とにかく土でできた長い長い通路がある。
そこを歩き、まだかいまだかいと急かすクッコロ・セツに、もう少しもう少しと答える美人。
あっちへ行ったりこっちへ行ったり、ハッチポッチステーションだったりして、最後は天井が20センチくらいしかない行き止まりへとたどり着いた。
いったいこれはどういうつもりだいとクッコロ・セツが怒ると、その美人は指を差してな。
あそこをご覧くださいと言うわけだ。
なんだい?とクッコロ・セツが目を向けると、天井が板になってる所の一部がですな。四角く切り取られていまして、そこに鉄板が被せてある状態だった。

あれがいったい、なんだってんだいとクッコロ・セツが聞くと、何を隠そうあの上は女湯になってるんですと美人が言う。
そうかい。なら、入りにいかないとなと行くクッコロ・セツを止め、いいえここはそういう趣向のものではありませんと美人が答える。
「なら、どういう趣向なんだい?」
「へぇ、ここは女湯マット体験場となっております」
「女湯マット体験場?」
「そうです。この上は町内の湯屋となっていて、あなた様は取り除いた鉄板の代わりに自身の腹筋を入れマットを載せ、その上を店にやってくる客に踏んでもらうってものなんです」
「腹筋を足で踏んでもらう?それって楽しいのかい?」
「あなた様ほどの遊び人なら、花魁に背中を踏んでマッサージしてもらったことくらいあるでしょう?」
「あぁあるな。あれは確かに気持ち良く、抱くとは違った趣があったもんだ」
「それと同じですよ。背中が気持ち良いのなら、それに近い腹が気持ち良いこともこれまた当然。ここは今まで知らなかった、そういう未知の感覚を楽しむ趣向になってるわけです、はい」
「なるほど。背中と腹、どちらが前かよくわからない女もいることだしな。背中と腹は同じなのかも知れん。よしわかった。百歩譲って腹が踏まれることは良しとしようじゃないか」
「へぇ」
「なら、どうして花魁を呼んで、直接腹を踏ませたりしないんだい?」
「それはあなた様、予測しない中に衝撃が来た方が、気持ちが良いからでありましょう」
「へぇ、そうなのかい?」
「へぇ。来るとわかってましたら、誰しもが腹に力を入れるわけであります。すると腹の筋肉が衝撃をガードしてしまうわけでございますが、人体の気持ち良さというのは、腹の後ろにあるのでございます。女に長けたあなた様には、そういう心情がわかるでございましょう?」
「なるほど。強がった女もかわいいが、そういう女も時には油断も弱さも見せる時がある。そういう所がたまらなくかわいいんだが、つまりはそんなところか?」
「へぇ、そうであります。そういうふと隙を付いてくる女こそ、抱きがいがある女です」
「ふむふむ」
「湯屋の中に置物があります。今ここの近くの穴から顔を出し上を覗くと、その置物の中からこっそり中が見えます。そこでどんな女が踏んだかを伝えますので、それを聞いて想像でもしといて下さいませ。あなたの奥の奥まで響いた女がいたなら誰か教えますので、今度誘ったりするのも一興でございましょう」
「ふむ悪くない。床になった私を踏んで、奥まで響かせられる女こそ、素晴らしい女であることだろう。きっとこれこそほんとの、奥ゆかしいと言うやつだろうな」
そしてその床を上手く踏んだ女は、床(とこ)上手って、やかましいバカやろーめ。

と、それはさておき、なんだか妙ではあるが、結局面白そうだの興味が勝ったクッコロ・セツ。自らの鍛え上げた腹筋をさらけ出し、どかした鉄板の所にきちんと嵌めこんだ。
で、その美人は騎士の身体の高さを調節したり、両腕両足を鎖でつないだ鉄輪で止めて、準備をする。
「おい。どうして、身体を固定なんかするんだい?」
「それはあなた様、身体がずれると、マットを踏んだ女の子が落ちてしまう危険があるからです」
「それは一大事だ。女に怪我させるのだけは、いけないことだからな」
「女がイけないのは、相手が悪いってことですね」

そして、準備万端。顔を出せる覗き穴から、美人は上に顔を出した。

で、その上であるが、勿論そこは女湯なんかじゃあない。
そこはただの粗末な一軒家で、石や棒等を近くに置いた、女使用人がいた。

顔を出した美人である、お狐さまが、目線で合図する。
するとどういうことだろう。女使用人が板の隙間から出てるクッコロ・セツの、腹筋があるマットの上に、それなりに大きい石を落とすじゃありませんか。
「ぐふっ」
「どうです?騎士様」
「ふむ。中々であった。今の女子はどんな子だったのか?」
「へぇ。色が濃い、堅物そうな女の子でした」
「なるほど。それも良いな。尖ったところもありそうだが、程よく丸まった所もありそうだ」
「その通りでございます。こちらが持ってる意思(石)の大きさで、その辺りは左右できますからな」


顔を出したお狐さまが、また女使用人に目配せをする。
女使用人は時間を置いて、今度は腹筋に落として鍛える用のボールという、時代考証を放り投げた上で、あれ?これどんな名前のボールだっけなという記憶も疑問も投げ捨てた。それでまたそのボールを、クッコロ・セツの腹筋があるマットに落下させた。

「がふっ」
「どうです?騎士様」
「あぁ。結構きたの。で、今の女子はどんな子だったか?」
「なかなか良い子ですよ。丸みを帯びた上に、それが結構大きい子でしたね」
「ほう。王道だが、やっぱり体付き(突き)の良い子はいいな」
「へぇ。会話がさそ弾むことでしょう」
「でもそういう子ほど、重い物を抱えてることもあるだろう」
「へぇ。ちゃんと受け止めてあげると良いでしょうな」


顔を出したお狐さまが、女使用人に目配せをする。
女使用人は時間を置いて、今度はモチをつく臼(うす)を持ち上げ、また落下させた。
「ごふっ!」
「どうです?騎士様」
「おう。これは結構効いたぞ。で、今の女子はどんな子だったのか?」
「残念ながら、寸胴鍋のような体系の子で、とても気(木)が強そうです」
「そうか?まぁそういう子でも、私がうまく突いたり揉んだりすれば、柔らかくなっていくものなんだがな」
「あなた様の手にかかれば、どんな子もアツアツで長持ち(モチ)しそうな関係ができそうですね」


そして、どかどか落とすこと数刻。そろそろ腹筋が限界になってきたクッコロ・セツ。
「ふむ。では、そろそろ終了と行こうじゃないか」
そう言う騎士の声に、美人は答えない。
というか、近くにその気配すらない。
おいどこだと目線を向ける為に、身体をガチャガチャ動かしても、鎖で繋がれている為、ここから動くこともできない。

もしかしてまずい状況では?と思うクッコロ・セツの腹の上に、急な衝撃が何度も訪れた。
それは上にあがった美人が、お狐さまモードに戻り、楽しそうに棒で、クッコロ・セツの腹筋を、何度も突いていたのだ。
「おーっと、幼女の団体さんだよ!幼女だからあっちに行ったりこっちに行ったりで、大忙しさー!」
「嘘をつけ!さすがにこれは棒だろ!戦場で食らったことがある!だから私にはわかるんだ!」
「何を言ってるんだい!これは幼女の足だ!わかってるんだろ!」
「バカ言ってんじゃないやい!そんな細い足があるか!」
「いーや、あるね!お前が他にお金を使うせいで、この女使用人はろくに飯が食べれず、足が細いままじゃないか!」
お狐さまは、その能力で棒を自動で突くモードにした。それで開いた手で何をするのかというと、女使用人の下へと歩き、着物の裾に手を入れた。
「お、お狐様、何をするんですか?」
「はは。そこの下にいる馬鹿者の耳に、こちらの行為を聞かせてやるのさ。女を抱く狂いの奴には、自分でやれず見せつけられる方が堪えるだろうからな」
「・・・あっ、お狐さまっ!」

そうして腹をボコボコに叩かれながら、百合百合を聞かせられ続けたクッコロ・セツ。
彼女は今床に、ぐったりと倒れていた。
意識はあっても聞いてはいるようなので、お狐さまはそこから騎士に説教をする。
「――というわけでな、お前様。女遊びを止めて、真面目に働いて、両親を楽にしてあげるべきじゃないかえ」
そこであまりに反応がないので、お狐さまはぐったりとしている騎士のあごを掴み、こちらに顔をあげさせた。
「いいかえ。これに懲りたら、欲望を捨てて、真面目に生きるんだよ。わかったかい?」
そう言うと、ぐったりしていた騎士の目がギラリと光った。

「ケモ耳だと!最高ぉおおおおおおおおおおおおおお!」


とまぁ、欲望に懲りて反省の弁をあげると思えば、この有様でしてね、クッコロ・セツという騎士様は。

まぁ、酷い目にあったところで、懲りずに地獄まで落ちていくのも、また欲望というものでありましてな。

結局、この騎士は懲りるどころか、このお狐さまを抱いた後で、さらに女遊びを頑張りましてな。男っぽい人間である女使用人どころか、ケモ耳の亜人やドラゴンにまで手を出しまして。それで無事金はなくなって、家は崩壊というわけでして。


それがまぁ、このクッコロ・セツが騎士の他に、配信者として食っていくことになった顛末でして。
この商売は金が入ることは勿論の事、いろんな女とコラボして、ぐへぐへと百合三昧できますので、まさに配信者は欲望の強い彼女の、天職というわけでございましょうな。

そんで、その時を振り返って、実は懲りてるんですよーと笑いながら、クッコロ・セツが言う言葉があるんですよ。

それは


「たまには、床になるのも悪くない」


気に入ってるじゃねぇか。




お後がよろしいようで。


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