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「室戸市」という個性を磨き、届ける。ふるさと納税制度を活用した、その先へ<後編>

ふるさと納税を通じて地域をもっと元気にするために、地域で頑張るヒトの声を、ふるさとチョイススタッフとの対話を通してお伝えする、「みんなとチョイス」のnote。

このnoteは、<前編>の続きです。

今回は、後編。2023年7月22日(土)に、東京都内で開催した、高知県室戸(むろと)市との、ファンミーティング当日を振り返ります。また、これから室戸市が目指していきたい “まちの未来” について話している様子も、お届けします。

竹崎 全司(たけざき ぜんじ)さん
高知県室戸市役所/産業振興課/ふるさと納税推進班
高知県室戸市出身。2012年4月に室戸市役所に入職。2017年4月〜2022年3月までふるさと納税担当として業務を行うが、2022年4月にまちづくり推進課に異動。その1年後の2023年4月、再び、ふるさと納税推進班に復帰。
現在は、ふるさと納税業務全般を行う。

林 裕司(はやし ゆうじ)
チョイス事業本部/ふるさとチョイス事業部/マーケティング統括部/ブランドコミュニケーション部千葉県佐倉市出身。2016年にトラストバンクに入社。主に、ふるさとチョイスが実施するリアルイベント全般を担当。その他にも、ふるさとチョイス公式キャラクター「ふるさとチョイタ」のアテンド兼マネージャー、YouTube企画&出演も担う。

室戸の海の資源に触れる、ファンミーティング

室戸岬で採取される、海洋深層水を知ろう

林:今日のファンミーティングは、「みんなとチョイス」としても初の試みである、「親子参加型」の企画でしたが、楽しかったですね!

竹崎:私自身、このようなファンミーティングは初めて。緊張してましたが、皆さんと気さくに交流でき、すごく楽しかったです。中には、室戸出身の方もいらっしゃって、かなりローカルな話もできました(笑)

林:盛り上がっていましたよね!室戸は、土佐東の最先端にある、海に面しているまち。…ということで、今回の企画は、室戸の海の資源に触れる内容で実施しました。おそらく、「室戸市=海洋深層水のまち」というイメージが、参加者の方には伝わったと思います。

竹崎:そうですね。室戸岬沖にある水深500m以深の海流が、室戸岬の大陸棚にぶつかって、この海洋深層水が湧き上がってくる。この現象が起こる海域は、世界で0.1%しかないんですよ。

林:すごいなあ。室戸は、世界ジオパークにも認定されているような、独特の地形をしていますからね。

竹崎:はい。室戸の海洋深層水を試飲していただいて、「なめらか」「甘い」という感想がたくさん聞けました。この希少性を知った上で飲むと、味わいが変わりますよね。勉強になりました。

林:そして、この海洋深層水でできた塩で食べる、鰹のたたきも試食でご用意いただきました。室戸では、塩で食べることが多いんですね。

竹崎:今日は、『海の駅とろむ』さんの品を食べていただきました。子供たちが、「うわ、おいしい…!」と言っていたのが、すごく印象的で。私もこの鰹のたたきは食べ慣れているんですけど、何度食べても大好きで。「やっぱりおいしいんだ」と再確認できたのは、自信にもなりました。

ビン玉編み体験で、SDGsを考える

林:竹崎さんと打ち合わせをしている時に、漁で使わなくなった網と、網を浮かせるためのビン玉(浮き玉)を再利用して、インテリアグッズやストラップを作っている事業者さんがいるという話を聞き、漁師直伝のビン玉編み体験を、今回のメインコンテンツにしました。

竹崎:室戸市の椎名地区で活動する、『しいな遊海くらぶ』という地域団体が、海辺の暮らしを体験できる企画をしていて、その一つに、ビン玉編み体験がありまして。林さんから、「海の資源を、再利用…。親子でSDGsを考える企画にするのはどうか?」という提案をいただいて、夏休みの思い出になるかも!と思って、挑戦しましたね。

林:今日は漁師さんの代わりに、竹崎さんと、もう一人の室戸市職員さんに講師になってもらってね。皆さん、すごく集中しながら頑張って作ってましたよね。

竹崎:このビン玉編みを習得するの、大変でしたよ(笑)でも、みんなで一つのことを体験して、共有し合うという時間は、とても貴重だなと感じました。

林:自治体職員と参加者の距離感が、ここまでグッと縮まったファンミーティングは、初めてかもしれないです。竹崎さんも、途中から「先生!」って呼ばれていましたよね(笑)

竹崎:今回のファンミーティングに参加して、より感じたのですが、2019年に参加させていただいた、ふるさとチョイス大感謝祭のブース、ちょっと失敗だったかもな…。

林:え!どうしてですか?あの時は、サツマイモの試食とか、海洋深層水の飲み比べをしていて、それも盛り上がっていましたよね。

竹崎:もちろん皆さんに楽しんでいただいたので良かったんですけど、それだけで終わってしまったのが心残りで…。今日みたいに、海洋深層水について深くお話しすることはできなくて、コミュニケーションも一瞬だけ。だから、「僕たちは、何しに来たんだっけ」と思うところも、正直あったんですよね。

林:まちの魅力を知ってもらうだけでも充分!というブースが多い中で、そんなことを感じていたなんて。さすが竹崎さん。

竹崎:今日みたいに、少ない人数でも、深く付き合える関係性を築きたいと思いました。もし次に、ふるさとチョイス大感謝祭に出展させていただく機会があったら、「ビン玉編み体験ブース」にするのもいいかもしれない(笑)

林:いいと思います!私も、大感謝祭や、ファンミーティングの企画運営をやっていて、これらは「地域と出会うきっかけ」に過ぎないな、と感じています。その人たちと室戸市がつながり続けるような、この「きっかけの、先」まで考える必要があるなって。

竹崎:なるほど。そういう意味では、僕らからの継続的なコミュニケーションも大切ですね。

林:まさに!たとえば、今日つくったビン玉編みを持って、室戸に行けば、特別優待が受けられるとかね(笑)それは極端な例ですが、今回の参加者さんが、室戸市がやっているイベントや現地に遊びに来た時に、「あ、この間の!」というコミュニケーションをするだけでも、やっぱり嬉しいと思うし、もっと室戸のことが好きになってくれると思うんです。

竹崎:室戸のファンをつくる、ということですよね。そういう “きっかけ” で終わらずに、その先のことまで考える。まずは、今日参加してくれた親子とつながり続けるには?ということから考えてみようと思います。

室戸市が考えるこれからの”まちの未来”

寄付者と市民への、情報発信が課題

林:今日みたいに、直接寄付者の反応を感じる機会は、増やしていきたいですか?

竹崎:そう思います。僕は、生まれも育ちも、室戸。普段から「美味しい」と思って食べているものや、文化など、自分のまちの魅力を伝えていくお仕事をしているので、やっぱりその反応は気になります。

林:そうですよね。普段から、寄付者とのコミュニケーションはされていますか?

竹崎:僕たちが送っているメルマガに、ご丁寧に返信してくださる方もいらっしゃって。「いつも楽しい時事ニュースをありがとう」というようなメールをいただくと、やっていて良かったな…と心に沁みます。今日も、最後に皆さんから感想を聞かせていただきましたが、室戸のどんなところに魅力を感じたのかを知れて、勉強になりました。

林:室戸を応援してくれている人がいる、って心強いですよね。

竹崎:あと、寄付者さんへの情報発信はもちろんなのですが、市民に向けて、寄付金の使い道をお知らせできていないのが、課題としてあります。室戸市の税収は、およそ10億円。そして、ふるさと納税の寄付額は、およそ16億円。

林:ふるさと納税が、税収を上回っている…。

竹崎:はい。ふるさと納税の使い道として、診療所が整備されたり、地元高校生や妊婦さんへの支援もおこなっています。だから、室戸で暮らしている方々にとって、ふるさと納税がまったくの他人事ではないということは、お伝えできたらいいなと。

林:全国の「室戸を応援したい」と思ってくださってる方からの、ご寄付ですからね。それを伝えていく使命はあるのかなと思います。

竹崎:なので、まずは他の自治体さんが、どうやって市民に対してお知らせしているのか勉強して、参考にしたい。もちろん、ただ真似するのではなく、“室戸らしさ” という個性を磨いて、僕らだからできる発信をしていきたいです。

まちの未来の、先の先まで考えて、事業者を守る

林:事業者さんから、ふるさと納税に対するお声って、ありますか?

竹崎:結構聞きますよ。たとえば、「コロナ禍で観光客が減り、売上も減少していたけど、ふるさと納税という販路があって、なんとかお店を続けられました」とか、「高齢の農家だけど、作付面積を増やしている」とか。

林:ふるさと納税が、まちのお店を守ったり、高齢農家さんのやる気にもなっているんですね。

竹崎:はい。やっぱりそういう声を聞くと、室戸市における、ふるさと納税の重要性を感じます。

林:室戸市のふるさと納税担当として、意識していることはありますか?

竹崎:現実的な話になるのですが、ふるさと納税という制度は、いつかは終わりがくると意識しながら仕事をしています。だから、いま、ふるさと納税のお礼の品を掲載している事業者さんには、ふるさと納税に頼り過ぎないで欲しいんです。

林:その考え、もう少し詳しく聞かせてください。

竹崎:仮に、ふるさと納税制度がなくなってしまったら、事業者さんは、大きな販路を一つ失うことになる。販路を失ったことで、室戸の素晴らしい事業者さんが生き残れなくなるのが、嫌なんです。だから、事業者さんには「この制度は、いつまでも続くわけではない」と、ちゃんと説明しています。

林:目の前のことだけではなく、先の先まで考えて、事業者に向き合っている。ふるさと納税は、あくまでも一つのツールでしかないんですよね。私も、全国の自治体職員や、事業者さんと会う機会がありますが、竹崎さんと同じように、制度への向き合い方について伝えるようにしています。

竹崎:とはいえ、ふるさと納税以外の販路を提供することができていなかったので、トラストバンクさんが、今年の秋に開始予定のECサービス、めいぶつチョイスができるのは、本当にありがたいです。

『めいぶつチョイス』とは
地域の生産者、事業者が丹精込めてつくった品を、こだわりやその背景とともにお届けする通販サイト。
地域の想いと、購入する楽しみや喜びを通して、お取り寄せする価値を感じていただけるサービスを展開。(2023年秋開始予定)

※株式会社トラストバンク:ふるさとチョイスを運営する会社

林:そう言っていただけて、良かったです。先日、この『めいぶつチョイス』の取り組みとして、地場産品を活用した商品開発支援等の協定も締結させていただきました。室戸市の事業者さんが、持続可能な事業運営ができることに、少しでもお役に立てればうれしいです。

竹崎:この制度と向き合う企業として、とても重要な取り組みだと思います。

林:ふるさと納税が、事業者にとって”価値”があるという可能性も伝えながら、制度の終わりも意識して、その危険性も同時に唱えていく。そうすることで、まちや事業者を守ることに繋がっているんだと思います。竹崎さん、やっぱりかっこいいです!


室戸市の職員と、ふるさとチョイススタッフがお話しした様子を、前編・後編と分けてお届けしました。

室戸市の人口は、約1.2万人。そして『消滅可能性都市』のランキングでは、全国の中で14位、市の中では3位に位置します。

また、文中にもあったように、ふるさと納税額は、室戸市の税収を上回り、市民や事業者が、豊かに暮らすための、大きな手段になっていると言っても過言ではありません。

それでも、この制度に依存することなく、事業者や生産者が、持続可能な事業運営ができることまで意識する。

私たちも、ふるさと納税という制度は、持続可能な地域をつくる一つの手段と考えます。そして、地域の事業者が自立するための『めいぶつチョイス』の開始や、元気な地域を増やしたい!という一心で、さまざまなサービスの提供をおこなっています。

そんな私たちと、同じ想いを持ち、室戸の未来を、先の先まで見据えて、ふるさと納税に向き合う職員がいる。そんなまちが、今後、どのような個性を放っていくのか、とても楽しみです。


高知県室戸市をふるさと納税で応援


「みんなとチョイス」とは?

私たちは、ふるさと納税ポータルサイトを運営している「ふるさとチョイス」です。私たちは、寄付者の想いを地域に届け、地域の変化を寄付者に発信しています。

その活動の一つである「みんなとチョイス」では、地域で活動するヒトの想いに触れ、地域の魅力や課題についてみんなと一緒に考えるファンミーティングなどを行いながら、持続可能な地域の未来をいっしょに考える場をつくっています。

そして、ふるさと納税を通じて地域をもっと元気にするために頑張るヒトの声を、もっとたくさんの方と共有したいと思い、このnoteで、ふるさとチョイススタッフとの対話を通してお伝えしています。


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