朝ドラ「虎に翼」第13週 梅子の決断〜悪しき慣習の歯車をやめてみること
「虎に翼」13週の梅子回は気持ちが良かったです。
一度ぐらい、彼女のようなタンカを切ってみたい。
「ごきげんよう凸」
でも、
爽快だった反面、梅子が相続放棄して、大庭家を離れた途端、息子たちが協力してことを進めたという結末に、少々拍子抜け。
だって、こっちは、望んじゃってますから。
梅子不在の大庭家が、もっとメチャクチャになって、泣きながらばあさんと息子が梅子への懺悔を吐露することを…。
しかし、往々にして、そうはいかないことも真理。
安易な、カタルシスに走らなかった脚本、本当に素晴らしい。
* * *
その拍子抜けの結末から、思うことがあります。
梅子は、悪しき慣習の被害者に見えて、その慣習を動かす歯車の一つになってはいなかったかということ。
職場であっても、家族であっても、不健全な慣習がはびこっているところには、その悪習をうっかり支えてしまっている被害者である善人がいます。
その人は、まともさ故に、全体の秩序が崩れないよう、自身の身を削ってまでも、悪循環の輪を維持してしまう。
皮肉なことに、その人の頑張りで、外向きには健全に見えていたりするので、誰も助けには来ないし、悪習の権化達が改心することもない。
そして、今日もため息をつきながら言ってしまうのです。
なんて、ひどい組織(家族)なんだ…。
必死に、健全さを保とうとするあまり、いつの間にか、己が悪しき慣習を維持するための歯車になっている。
そして、渦中にいる時には、そのことに自分では気づけない。
まともで真っ直ぐで一生懸命な人ほどおちいる罠。
自分さえがまんしたら、かりそめにでも事がうまく運ぶのではないか。
自分がいなくなったら、組織や家庭が壊れてしまうに違いない。
そう考えて、必死にフォローする。
そんな、梅子のように頑張っちゃっている人に言いたい。
あなたが、背負うことはない。
いっかい捨てみようか。
逃げるのではなく、捨ててみて欲しいのです。
そして、笑顔で言うの。
「ごきげんよう凸」
いずれ、みんなが不健全さに気づき、まともになるのではないか…。
そんなことを願ってしまうけれど、支えているあなたがいるうちは、何も変わらなかったりするのです。
まあ、これ、私自身のことでもあります。
だから、悪しき習慣を維持する歯車になっていることに気づいた時、周りをなんとかするのではなく、自分という歯車を外してみることも選択肢の一つとしています。
それでも、梅子ほど鮮やかな「ごきげんよう」は、できたことがありません。
あれができたら、絶対気持ちいい。
梅子のブチギレ笑顔を見ながら、そんなことを考えました。
「虎に翼」第13週シナリオが読めます
虎子のモデル「三淵嘉子」さんの生涯をまとめた本
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