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かこさとしさんの思い

 かこさとしさんを尊敬している。
 技術士であり、科学者であるその目線で、子どもを導く絵本をたくさん描いた人だ。
 先日亡くなった、中村哲さんとも通じるように思う。つまり、人の助けとなる本質を追求し、自分の分野を超越して実現した。

 かこさんの本に、こういう一節があった。
「人間という生き物の幼少期には、自然と接して生活するのが一番いい。それも大自然ではなく、小自然。子どもの能力、力の範囲でなんとか処理できる程度の。」

 同感だ。

 大学時代に自然科学を専攻した私は、ある講座でフラクタルに出会った。
 フラクタルは、拡大、縮小しても同じ構造が表れてくるもので、自然界には多く見られる。
 でも、それで自然がすごいとか神秘的だとかいうのは本質ではない。自然は成長する時に目安となる物差しなどないから、1つ前の自分を基準として、次の大きい自分を作っていて、その蓄積された構造が人間が言うところのフラクタル、ということだけだ。

 自然のフラクタル構造は、小構造から大構造を含んでいて、色々なスケールで切り取れる。もちろん、子どもの手のひらサイズでも。
 かこさんの言う、幼少期に大切な小自然は、子どもでも切り取れるサイズ感の、里に近い自然ということだと思うが、その自然の中に色々なサイズがあるということも、かこさんは様々な科学絵本で描いている。(地球や宇宙など)

 私もかこさんのように、なんらかの形で自然と人を繋ぎたいなあ。
 と思いながら、娘と自然を歩いている。娘の見るものと、私の見るものが違うのを想像しながら。

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