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勢力拡大と"同時進行"の衰退

「古代」と呼ばれる時代の中で有名なのは
"ローマ帝国"が1つ挙げられるはずだ。
しかし我々はそのローマ帝国に対して
長きにわたって地中海付近を治めひたすらに勢力を拡大していった歴史を持つというような印象のみを抱きがちである。
そんな風な我々の印象と同じように
表向きでは実際に勢力を拡大し
大帝国として君臨していたローマだが
その当時の"勢力拡大"の裏には
その後のローマ帝国の"衰退"を招いた
問題がすでに存在していたそうなのだ。

ローマ帝国は戦争に勝利していく事で
敗戦国の領土を奪い徐々に領地を拡大していった。
当時のイタリア半島の農民たちはローマ軍としての中枢を担っていた為、戦争時には重装歩兵として戦地に駆り出された。
そうなるとその時期に農業を行うのは困難になる。 
戦争の勝利に伴う属州の拡大により
イタリア半島には安価で作物が入ってくる、
さらに、敗戦国の人々が"奴隷"として富裕層に買い取られる事で効率的な奴隷制大農園が実現し安価に作物が供給されるようにもなる。
そんな安価な作物との価格競争に嫌気が差したイタリア半島の農民兼ローマ軍たちは
次第に所有している土地を売り払い都市部に流れ込んでしまう事になった。
そんな"失業農民"たちが不満を爆発させないよう政府は「パンとサーカス」の名の下に食料と娯楽を彼らに提供する事になってしまう。
そんな風にしてローマ軍の軍事力は当然低下し
領地の拡大に伴うこの「空洞化」によって
難しい舵取りを強いられた。

このような一連の背景がローマ拡大の裏には存在していたようだ。
勢力を拡大し繁栄した国があったとしても
それは一概に"豊か"とは表現しにくいという事だ。
歴史を学ぶ上では
「国が豊かになれば経済格差が広がる」という一般的な認識は必要なのかもしれない。


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