見出し画像

【みんじゃず】㊙︎レッスン ⑤ ピアノやギターの正しい伴奏法とは

【みんじゃず】、みんなでジャズを聴いたり
演奏したりするためのチャンネルを
運営しているジャズ・ピアニストのOTAKAです
今日は実は僕が一番お伝えしたいことである
伴奏のやり方について解説したいと思います
ピアノやギターなどのコード楽器の人にとって
ジャズの一番の仕事は
実はソロを演奏することよりも
伴奏することなんですね
このやり方について
あまり練習してない人が意外と多いと思う
そこで今日は僕がニューヨークをはじめ
海外でプレイヤーと共演してみて
学んだことを
エッセンスをお伝えしたいと思います
伴奏はピアノの人の場合
自分のソロのときは
左手でコードを弾いて
右手でメロディーを弾く
そういうやり方が一般的じゃないかと思います
その場合にはこの左手のタイミングですね
左手でコードを弾くタイミングというのが
とっても大事になってくる
そして自分がソロじゃないとき
サックスの人がフロントで吹いてます
トランペッターがソロを取ってます
そういうときの伴奏の
コードを弾くタイミングですね
これが実は
バンド全体のスイング感を高めるために
大変重要なんですね
ギターの人も同じです
サックスの人の伴奏や
トランペットの人の伴奏
歌の人の伴奏で
コードを弾くタイミング
これはバンド全体がスイングするかどうか
このカギを握ると言っても言い過ぎではない
とても重要な意味を持ちます
それではどんなタイミングで伴奏したら
皆がスイングするのか
そんなに難しいことじゃないんです
ひとつだけ覚えてください
ひとつだけ
僕のピアノの先生である
イタリア人ピアニスト
ノルベルト・タンブリーノは言いました
おい、OTAKA
ジャズの伴奏は「チャッ、チャ」だぞ
覚えておけ
こう言いました
そして見本を見せてくれました
どういうことか
ちょっと弾いてみますね
1、2、12・・
チャッ、チャ、チャッ、チャ
チャッ、チャ、チャッ、チャ
これがスイングするための
正しいジャズの伴奏の基本であります
なんだ、簡単そうじゃないかと思うと思いますけど
実は基本はこれだけなんです
1、2、3、4、・・・、
速くなっても一緒です
1、2、12・・
1、2、3、4、・・・、
これがですね
なかなかできないもんなんです
チャッ、チャ、チャッ、チャ
これをどうやって
具体的に説明するからと言うとですね
ジャズというのは4拍子の曲が大変多いわけです
1、2、3、4、・・・、と
進んでいくわけですけれども
じゃあこのチャッ、チャというのは
4拍子の中でどこで弾けばいいのか
それを説明するとですね
チャッ、チャのうち1回目のチャは
1、2、3、4の1拍目のアタマです
ほぼアタマです
1、2、3、4、・・・
そしてチャッ、チャの2回目のチャは
これは3拍目のアタマと言いたいとこだけど
それよりもちょっと前倒しされて
ほぼ2拍目のウラですね
2拍目のウラという風に
捉えたほうがいいと思います
1、2、3、4、・・・
これはフィーリングで覚えるしか
ないと思いますけども
何拍目のオモテとかウラと理解するよりは
チャッ、チャ、チャッ、チャ
このように理解した方が
スッと自分のリズムになってくると思います
こうやって一緒にね
他の人の伴奏を聴きながらですと
皆さん上手く行くと思いますけどね
1、2、3、4、・・・
これはなかなか1人でピアノに座って
いざステージで伴奏しようとなると
なかなかどうやってやるんだろう
戸惑ってしまう場合もあるかもしれませんが
そういう時は「チャッ、チャだぞ」と
言い聞かせながら
いろんな伴奏の機会で練習して
いつの間にか身についていくのでは
ないかなと思います
もしチャッ、チャとか
1拍目とか何泊目というのが
わかりにくい人がいたら
僕の昔お世話になったジャズ・ドラマーで
日野元彦さんという人が入るんですけどね
その人がよく使ってたやり方で
後で資料は
noteのマガジンにアップロードしますけれども
わかりにくい方はですね
日野元彦さん方式で
イチ、ニイ、サン、シイ、・・・
8分音符をカタカナで読んでしまう
イチ、ニイ、サン、シイ、・・・
この赤丸のところだけ弾くと
チャッ、チャとなるはずです
リズムが自分のものになるまでは
この赤丸のとこだけコードを弾くと
スイングすることができるんじゃないでしょうか
どうぞお試しください
本当これだけなんです、ジャズの伴奏は
これをやればスイングするんです
ただ、このチャッ、チャのタイミングは
人それぞれクセがありまして
例えばマイルス・デイビスのバンドで
1950年代に伴奏していた
レッド・ガーラントという人は
今僕が弾いたタイミングよりちょっと早めです
ちょっと前倒し気味です
1拍目のアタマもちょっと早いですね
この音符のアタマから少し前に
前倒しすることを
音楽の専門用語で
アンティシペイトと言いますけれどね
そのアンティシペイトの感覚は
ピアニストそれぞれ違います
ギタリストも違うと思います
けれども基本は1拍目のほぼアタマ
そして3拍目をちょっと前倒しして
2拍目のウラぐらいに
1小節に2回コードを弾く
これがですね
スイングするためのジャズの伴奏の
大変重要な基本になってきます
意外とジャズの伴奏は
みんな適当にやっていると
適当なタイミングでコード入れればいいと
誤解してる人も多いと思いますけども
ベーシストがいて
ドラマーがいて
コード楽器がいる
この時に
変なところでコードを弾いてしまうと
バンド全体のスイング感がストップしてしまう
ちょっと狂ってしまうことがあるんですね
これは伴奏をする上では
大変大きな失敗になってしまいます
僕が共演した中でもトップ・プレイヤーである
イタリア人トランペッターのファビオ・モルジェラ
この人が言ってましたけども
チャッ、チャのタイミング以外で
コードを弾くんじゃない
スイングが止まっちゃうだろと
僕は怒られたことがあります
本当にそういうもんです
コード楽器というのは
このタイミングでコードを弾きながら
その音の合わせ方
音の組み合わせ
専門的な言葉ではボイシングと言いますけどね
音のボイシングでいろんな世界を描いてあげる
いろんな雰囲気を表現してあげる
それがコード楽器のジャズにおける仕事なんですね
このタイミング以外で音を出すと
だいたい怒られます
フロントの人に
サックスだとかトランペットとか
トロンボーンの人は
ただここだけコードが欲しいんです
ここで皆さんお気づきかもしれませんけど
ちょっと待てよと
ビル・エバンスはどうなんだと
ちょっとこれとずれたとこで音出してるよと
そういうこともあると思います
それはですね
説明しますと
このリズムを
このチャッ、チャというリズムを
バンド全体が共有できた上でですね
あえてずらして遊んでいるわけですね
そういうことはあります
多々あります
ただ、基本は
このチャッ、チャというリズムだということは
忘れてはいけないんですね
この基本的なタイミングが
バンド全体で共有できているから
ずらすと面白いよ
ちょっと変わった雰囲気が出るよ
ということなんですね
ですので、ここからずらすことを
基本にしてはいけないんですね
よく日本でジャズを聴いたり
ジャム・セッションなんかに行くと
一番皆さんやってらっしゃる間違いはですね
間違いというかスイングしない原因はですね
1拍目のアタマの最初のチャがですね
弾けてないんです
これが半拍遅れる人が非常に多い
ちょっとやってみましょう
悪い例です
正しい例はこれなんですけども
日本人のピアニストで独学でやってる人なんかで
一番多いのはですね
1拍目のアタマが
チャッ、チャの最初のチャが
半拍遅れちゃう人が
とても多い
聴いたことあると思う。やってみます
1、2、12・・
違和感ないよって人もいるかもしれませんけど
僕なんかの海外でジャズを学んだ人間にとっては
すごく気持ち悪い
それスイングしないだろ
スイングしてないだろっていうビートなんですね
リズム感なんですね
気をつけてください
1拍目のアタマのコードを
半拍を遅らせるっていうのは
スイング感がなくなります
ビル・エバンスなんかは
たまに遊びでそれをやってますけど
もうちょっとよく聴いてください
疑問に思った方はもうちょっとよく
いろんな人のプレイを聴いてください
レッド・ガーランド、ウィントン・ケリー
オルガンですとジミー・スミス
ギターですと
歌の伴奏している時のジョーパスなんかも
この正しいタイミングで
チャッ、チャのタイミングで
伴奏してることが非常に多いと思います
特に1拍目のアタマを外さないように
みんな気をつけてると思います
嘘だと思ったら聞いてみてください
もちろんそれをずらして
リズムが出来上がってからずらして遊んでいく場合もあります
それから例えば
ギタリストでベーシストがいない時に
低音部のコードのルートを
弾きながら伴奏していく場合はですね
ギターの場合は
1拍目のアタマにルートを弾いて
1拍目のウラでのコードを出すということが
これはですね
ピアニストに比べますと
非常に多く見受けられると思います
ジョー・パスなんかもね
エラ・フィッツジェラルドとの2人だけの
演奏などでは時々やってますね
これはあの全体のスイング感
それが素晴らしければ特に問題ありません
そして皆さんも
別にこのチャッ、チャで
どうしてもこれはオレのスイング感には合わない
このチャッ、チャっていうのがどうしても
自分にしっくり来ない時は
ご自身のご自身なりの
自己流でもちろんやってもいいんです
ご自身の自己流で
自分のスイング感を表現することはアリです
ジャズというのは
これをやってはいけないということはないし
これをやらなきゃいけないっていう
決まりもないですけども
ただ大多数の人は
このチャッ、チャというタイミングで
やってるんですよということだけはですね
知っておいた方がいいです
ここからずれたタイミングでコードを入れると
フロントの人が大変やりにくいということは
覚えておいた方がいいと思います
後はですね
このチャッ、チャのうちどちらか
あるいは両方を弾かない
やめちゃう
音楽的にはオミットって言いますけど
チャッ、チャと弾かずに
最初のチャッだけで次はやめちゃうとか
最初のチャッは弾かずに
後のチャだけ入れるとか
それはアリです
オミットはオッケーです
このタイミングのどっちかを省くのはアリです
それはスイング感を妨害するものではありません
これ以外のタイミングでコードを弾くというのは
大変音楽的に意味を持ってしまう
それを覚えておいてください
というのがジャズの伴奏法のお話でした
これを機にいろんな過去の名盤のレコードを
伴奏という視点で注目して
聴いてみてはいかがでしょうか
聴いてみることをおすすめしたいと思います
それからもう一点付け加えますと
曲によってこのチャッ、チャからずらして
コードを弾くことが定番となっている曲もあります
例えばウィスパー・ノットの伴奏ですとか
モーニンとかですね
チャッ、チャ以外のタイミングで
コードを演奏することが一般的になっている
ジャズ・スタンダード曲もありますので
そういうときはこの限りではありません
今日はコード楽器の伴奏の方法について解説しました


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?