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【みんじゃず】㊙︎レッスン ⑥ 弾けない曲を弾くための練習法とは

【みんじゃず】、みんなでジャズを演奏したり
聴いたりするためのチャンネルを運営している
ジャズ・ピアニストのOTAKAです
今日はいよいよジャズの曲を
練習する時にどんな風に練習したらいいのか
これを解説したいと思います
ジャズも100年以上続いている音楽ですから
曲の練習法も
実はある程度セオリーがあるんです
これはニューヨークで
いろいろなミュージシャンの
レッスンの通訳を僕がしていましたので
そこで知った知識なんですけれども
例えばサックスの人もトランペットの人も
ピアノの人もフルートの人も
歌の人も
実は新しい曲の練習に取り組むときは
ほぼ同じアプローチで取り組んでいるんです
今日はそのやり方がどんな内容なのか
主にピアノの人に向けて
でも他の楽器の人も同じです
順番は同じですので解説してみたいと思います
今回の資料も
noteのマガジンに載せておきますけれども
曲の練習法については
実はこの6個のステップ
6個のステップだけなんですけどね
ピアノの場合です
コードを弾かない楽器の場合は
もうちょっと省略できると思いますけど
今日は主にピアノの人に向けて
お話ししたいと思います
ジャズピアノの人が今まで弾けなかった
新しいジャズの曲を弾けるようになりたい
その時に何をやるか
1つ目のステップは
右手だけで曲のメロディーを弾いてみる
こういう練習をみんなするんですね
ギターの人も一緒です
管楽器の人
サックスとかトランペットとか
トロンボーンとかそういう人も一緒です
まずはメロディーを
きちんと弾けるようにならなくては
やはり曲というのは
面白くないし
聴いてる人にも伝わりませんよね
そのメロディの練習の仕方
これをどうやってやるのか
ニューヨークのトップ・プレイヤーたちが
みんな言うのは
2回、ノー・ミスで
連続でメロディーを弾けるまで
練習しなさいよ
そう言います
2回連続でノー・ミスで弾けたら
ステージでもミスしないよと
みんな言っていました
まずはピアノの人は右手だけで
2回続けてノー・ミスで
メロディーを弾けるように
練習してみてください
そのとき最初のうちはテンポは
120ぐらいで始めるのが良いようです
ニューヨークのトップ・プレイヤーたちは
みんな
テンポ120からメロディーの練習をするよって
言っていました
120で弾けるようになったら
そこからもっと速くしたい場合は
テンポを次は130、140というふうに
自分が理想とするテンポに
近づけていってください
遅くする場合はね
あんまり練習しなくても
遅くするのは簡単でしょうから
まず120ぐらいのテンポで
右手だけで2回連続で
メロディを弾けるようになることが
最初のステップです
さぁ、じゃあ、メロディ弾けました
次は何をやるの
2つ目のステップは
左手の小指で
曲のコード進行に沿って
コードの一番低い音
ルートと呼ばれますけれども
コード・ネームのアルファベットで
示されている音ですね
これを弾いていく
その練習をします
これは何のためにやるかと言うと
曲全体の長さとか曲全体の流れとかを
一度把握するためにやるわけです
ですのでこれは
反復が必要な練習というわけではなくて
1回やればいいです
1回だけやって
この曲こんな感じの曲なんだ
それが理解できればこの部分はOKです
コード・ネームが
アルファベットで書いてあると
どの音だかわかんないよっていう人のために
noteのマガジンの方でね
アルファベットで音を読む場合の
音の呼び方を図で示しておきますので
必要な方はお使いください
E♭ってどこだかわかんないよっていう人は
これを見ればわかるようにしときますからね
さぁ、そして
3つ目のステップは何かと言うと
これは左手だけで、曲のコード進行に沿って
実際にコードを弾いていきます
この練習はコード楽器の人だけですね
この練習が必要なのは
ピアノやギター、オルガン
そんな人たちだけです
管楽器の人、歌の人は
この部分は飛ばして下さい
コード楽器の人は
コードを曲のコード・チェンジに沿って
弾いてみるんですね
このとき左だけでやります
右手と一緒にやるのは
まだ知らない曲ですから
弾けない場合がありますし
変な癖がついてしまってはいけないので
左手は左手だけで練習するんです
例えばFly Me To The Moonを
Cメジャーのキーで
練習するとしたら
例えばこんな風になります
1、2、12・・
こんな風にですね
曲のコード進行に沿って
コードを弾いていきます
このときコードを弾くタイミングは
ほかの回で伴奏法でお伝えした通り
チャッ、チャっていうタイミングで
弾いてみてください
この練習は実は一番難しい練習です
一番時間がかかる練習になります
と言いますのも
やはりコード楽器の人にとっては
伴奏が命ですから
伴奏ができないと始まりませんから
この練習は
1曲の全体を1コーラスとしますと
これを15~20コーラスぐらい続けて練習します
そのときプロを目指す人は
同じコードが出てきたら
1曲の中で同じコードは
何回か出てくると思うんですけども
同じコードが出てきたら
前に弾いたときと違う音の組み合わせで
弾いてみてください
これはなかなか難しいです
F7っていうコードが出てきたら
さっきはこの辺で弾いたなら
今度はこの辺で弾いてみるとか
音を入れ替えて弾いてみたりとか
あるいは何か音をオミットして
減らしてみてみる
あるいは増やして弾いてみる
そういう風に1つの音でもいいし
場所を変えるだけでもいいので
同じコードが出てきたら
前のコードの弾き方と
ちょっと違うやり方をしてください
これが伴奏する時に大変役立つ練習です
例えば1コーラスの中で
F7が5回出てくる曲があったとしたら
20コーラス練習したら
100通りのF7の練習を
しなきゃいけないんですね
100通りのF7が弾けなきゃいけない
そんなに難しくないんですけどね
場所を変えたり入れ替えたりすればね
そういうのに慣れておくのも大事なんですね
ですのでプロを目指す方は
そういう風にやってみてください
そうでもないよ ジャム・セッションで
ちょっと弾ければいいんだよっていう方は
毎回同じでも別にいいです
自分が楽しければOKです
これが3番目の練習
左手だけでコードを弾く練習でした
さぁ、じゃあ4番目は何やるの
ここからが本格的に
即興演奏に向けた練習になってきます
4番目はまた右手だけに戻ります
そしてこれはピアノ以外の人
サックスやトランペット
トロンボーン
歌の人もこれは同じ練習をやりますね
ニューヨークで
あの偉大なるジャズ・ピアニスト
バリー・ハリスさんが毎週火曜日に
ニューヨークのマンハッタンにある
アッパー・ウエストという地区にある
とある公民館で
毎週ワークショップをやっていたんですね
僕も何度も参加しましたけども
そこで毎週みんなで頑張ってやっていた練習が
この4番目の練習
シーケンスと呼ばれる練習なんです
シーケンスというのは
どういう練習かと言うと
例えば
譜面の中で1小節あって
そこにC7って書いてあったとしますね
そしたらその1小節は
C7っていうコードに合うスケール
それをCから始めて弾いていくんです
その小節に合うスケール
スケールというのは音階ですね
音列とも言います
C7に合うスケールを
8分音符で弾いていきます
ちょっとやってみます
C7っていうのがこんな響きだとしたら
シーケンスという練習は
こういう風にメロディを弾いていく
これがシーケンスと呼ばれる練習法です
このコードにはこんな音の並びが合うんだよ
これを確認する作業なんですね
8分音符で弾くんですけれども
最後の8分音符は音を弾きません
なぜならそこは
ブレスを使った楽器の人が
ブレスを取る場所が必要だからです
8拍目まで音を吹いちゃうと
次の小節は息がもたなくなっちゃいますから
1小節に8分音符が8個あるうち
最後の半拍はブレスを取るために残しておくんですね
このやり方でシーケンスをやってみます
みなさんは右手だけでやってください
僕は今わかりやすくするために
コードも弾きながらやりますけど
先ほどと同じように
Fly Me To The Moonを
Cメジャーのキーでやる時に
どういう風にシーケンスを
やって行くのかっていう練習をしていきます
最初のコードがAm7だと思います
その時のシーケンスは
Aから始めまして
こんな感じになります
そして次のコードがDm7
こんな感じです
次がG7
次がCですね
こんな風に
そのコードに合ったスケールを
どんどん弾いていく
そういう練習です
このFly Me To The Moonのコード・チェンジは
noteのマガジンの方に
資料としてつけておきますね
ちょっと最初の4小節だけを
通してやってみましょう
ゆっくりやりましょう
1、2、12・・
こんな感じです
もう1回やりますよ
Fly Me To The Moonです
最初のコードはAm7です
1、2、12・・
これがシーケンスと呼ばれる練習です
やったことがある方も
ない方もいると思いますけども
バリー・ハリスさんが
本当に毎週提唱していた練習ですので
アドリブをやるためには
欠かせない練習の1つだと
僕は今でも思っています
ぜひお試しください
そして次の5番目のステップ
5番目のステップは
今までの練習を生かして
コンシークエンスという練習があります
あまり聞いたことない人が多いと思いますけど
どんな練習かっていうと
ピアノの人は右手だけで
ほかの楽器の人はご自身の楽器で
やって欲しいんですけども
曲のコード進行に沿って
短いフレーズ
短いメロディーを作っていく
そういう練習です
本番のような長いアドリブは
まだできないけれども
今まで練習でコードとかスケールを
少し覚えてきたので
短いメロディーだったら作れるよね
じゃあ作ってみようぜ
そういう練習が
コンシーケンスと呼ばれる練習です
短いメロディーというのは
具体的には
2音から3音ぐらいの本当に短いフレーズです
それを曲のコード進行に沿って
作っていくわけですね
ここで注意点が2つあります
1つ目は
僕の先生ノルベルト・タンブリーノが
よく言っていました
OTAKA
コンシーケンスはな
Play、Think、
Play、Think、
演奏して、考えて、
演奏して、考えて、
その繰り返しだからな
考える時間を作っていいんだよ
どんなに長くてもいいんだよ
よく言っていました
ですので
音が2つか3つの短いフレーズを
思い浮かんだら弾いてみる
そしたら
次のフレーズがまた頭に浮かぶまでは
音を弾かないで考えます
1小節休んでもいい
2小節休んでもいい
3小節休んでも4小節休んでもいいんです
音をずっと弾いてなきゃいけないっていう練習じゃありません
音が思いついた時だけ弾いてください
Play、Think、Play、Think、
これを守ってください
2つ目の注意点は
短いフレーズを作るんですけれども
前のフレーズが終わった最後の音から
次のフレーズを始めてください
タタタ~で終わったら
タ~のこの音から次の音を始めて
タララ~っていう感じですね
前のフレーズの最後の音
ラスト・ノートから次のフレーズを始めて行く
これによって
流れるようなアドリブが弾けるようになる
そういうための練習です
よく初心者の方に多いのは
C7の時はいつもアドリブが
Cから始まっちゃうよ
F7の時はいつもアドリブが
Fから始まっちゃうよ
そういう方がいます
それはちょっとカッコ悪いので
音楽的にも面白くないので
音楽のお話が流れるように進んでいくためには
前のフレーズが終わった音から
次のフレーズを始めると
とても流れるように
音楽の話を進めることができるんですね
そのための練習です
その練習をやっておけば
自分が
ここはちょっと感情が爆発した
あるいは
音楽の話のストーリーで大きく画面が変わった
そういう時は
ジャンプすることも
できるようになるわけですね
遠いところの音に急に飛ぶ
ジャンプすることも可能になってくる
そのためにも
ジャンプしない部分も必要なわけですね
流れるようなアドリブのフレーズを作るために
コンシーケンスというのはとても大切な練習です
それではFly Me To The Moonでまた
最初の4小節をやってみたいと思います
みなさんは右手だけでやってください
ピアノの方はね
1、2、12・・
こんな感じです
もう1回やってみましょう
1、2、12・・
もっと間を作ってもいいですよ
もう1回やってみましょう
1、2、12・・
探り探り2音か3音ぐらいの
アドリブをゆっくり作っていくんですね
そして考えるスペースもしっかり取る
これが大切になってきます
よく初心者の方で
音を出しながらね
次のフレーズを考える方がいますけれども
これはですね
やめたほうがいいです
聴いてる人が疲れちゃう
プレイヤーも、聴く人も
少しメロディーがあったら
それを感じる時間が必要なんですね
メロディーがあったら
その余韻をちょっと感じて楽しむ
メロディーがあったらその余韻を少し感じてみる
感じる時間ってのは
とても音楽という芸術の上では
必要な時間なんですね
ずっと音が出てたら、音楽は
ただのうるさい雑音になってしまう
あるメロディーに心を込めて即興で演奏したら
自分もその後の余韻を感じて
それから次のフレーズを作った方が
いいフレーズができます
その考えている時間に
音を出しながら考えてしまうと
ご自分の研ぎ澄まされた感覚
これがどっかに行ってしまう
音を出しながら
次の音を考えるのはなかなか難しいです
ずっと音を出してなくていいんです
2音か3音のフレーズを
弾いて
次のコードとかを聴いて感じて
また音が思い浮かんだ時に
前のフレーズのラスト・ノートから
次のフレーズを作っていく
こういった練習が必要なんですね
これが5番目のステップ
コンシーケンスでした
そして最後の6番目のステップ
ここではじめてピアノの人は
両手でやってみてください
左手でコードを弾きながら
右手でメロディを弾く
メロディーも
最初テーマを弾いてからアドリブをやってみる
そして最後にもう1回テーマを弾いてみる
そういったジャズの
本番のステージに近い構成で
練習をしてみる
これが6番目最後のステップになります
そしてその場合も最初は
短いフレーズから始めて大丈夫です
少し慣れてきてから音を増やして行ったり
音を大きくしていったり
自分で感情を込めていったり
そういう風に発展させていけば
だんだんその曲が
自分のものになってくると思います
ではFly Me To The Moonを
今のキーで
最初はAm7
最後がCで終わるCのキーで
Fly Me To The Moonの最後のステップ
両手での練習を
ちょっとやってみたいと思います
1、2、12・・
このように最初は少ない音で始めて
慣れてきたら音を増やして行ったり
いろいろなご自身のスケールの知識とか
コードの知識を反映させたメロディーが
だんだんできるようになってくると思います
面白い音を使うためのスケールとか
コードの弾き方の基本は
ほかの回でご説明したいと思います
お楽しみになさってください
今日はジャズの曲の練習法を解説しました
最後までありがとうございました

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