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物財の貧困は容易に癒されるが、魂の貧困はけっして癒されない。

昔々、ある山間の小さな村に、心の病を癒すことができるという不思議な力を持った老医者がおりました。
彼の名は「心の医者」として遠くの国々にも知られており、多くの人々が彼の元を訪れては、心の平安を求めていました。

老医者は、自分のためには一文も使わず、ただ人々の心を癒すことだけに生涯を捧げていました。
彼の家は質素で、庭には薬草が植えられ、小さな診療所はいつも暖かい光で満たされていました。

ある冬の日、遠い国から若き商人がその村にやってきました。
彼の名は真琴(まこと)といい、金と宝石で満ちた袋を持ち、どこに行っても尊敬される存在でした。
しかし、その心は常に不安で満たされず、何か大切なものを探しているようでした。

真琴は老医者の評判を聞きつけ、彼の元を訪れました。
「私は世界中を旅して、多くの富を手に入れました。しかし、心の平安を得ることはできませんでした。どうすれば心の貧困を癒すことができるのでしょうか?」と尋ねました。

老医者は優しく微笑みながら答えました。
「物財の貧困は容易に癒されるが、魂の貧困はけっして癒されない。あなたの心を満たすには、富を分け与え、他人の幸せを自分の幸せとすることだ。」

真琴はその言葉を受け入れ、自らの富を村人たちと分かち合いました。
そして、彼は初めて本当の幸せと心の平安を感じることができました。
彼は村に留まり、老医者の弟子となり、心の医者としての道を歩み始めました。

老医者の言葉は、真琴だけでなく、村人たちにも深く響きました。
彼らは互いに助け合い、共に生きることの大切さを再認識しました。
そして、村はかつてないほどの繁栄を迎えたのです。


この物語は、フランスの哲学者ミシェル・ド・モンテーニュの名言「物財の貧困は容易に癒されるが、魂の貧困はけっして癒されない」を用いて創作しました。


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