【小説】なんやお前。

我が家の猫は撫でられるのが好き。
撫でるのをやめるとこの顔。

「なんで止めるの。」

とでも言いたげ。
憎たらしくて可愛い。

あとどれくらいこの可愛い顔が見られるのだろう。
君ももうお年寄りだから、もしかしたらもうすぐ終わってしまうのだろうか。

液体のようなニャンコを抱き上げる。

近づく別れは不安になる。
でももう離れることもできない。

「ずっと一緒だよ」

もふもふの体に顔を埋めながらそう呟く。
するとにゃんこはスルンと私の腕をすり抜ける。

そしてまた撫でられやすい位置に座り、
「早く」といいたげに私の方に振り向いた。

気ままな君が今日も好き。
そんなことを思いながら、私は孫の手に戻った。


おわり。

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