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【SEA】TDLトレードまとめ

 こんにちは。大物とトッププロスペクトのトレードが何件も成立した今年のTDLは非常に盛り上がりましたね。今回の投稿ではそのTDLにおけるマリナーズの補強について紹介します。

マリナーズのスタンス

 補強した選手の紹介に入る前に、まずマリナーズがどういう方針を持ってTDLに臨んだのかについて話したいと思います。というのも、この方針を知っていないと、マリナーズが今年のTDLで行ったトレードの意図を理解することは難しいのではないかと考えているからです。

 以前の投稿で、今年のマリナーズは「再建モード」から「勝負モード」へと切り替わる途中だということをお話ししました。TDL当日時点では、ワイルドカード2枠目のアスレチックスに2.5ゲーム差に迫る善戦を見せていたマリナーズですが、リソースを注ぎ込んで本格的にポストシーズン進出を目指すのは来年以降、というプランでチーム作りを行ってきました。

 ただしそれが今年のポストシーズン進出を諦める、ということ意味するわけではありません。あくまでも、将来の主力へと成長することを期待されているトッププロスペクトを放出することなく、補強を行うということです。

 冒頭でも触れましたが、今年は多くのトッププロスペクトが補強のために放出される、売り手優位のトレード市場が形成されました。例えばマリナーズもトレードを打診したツインズのエース投手ホゼ・べリオスは、オースティン・マーティンとシメオン・ウッズリチャードソンとの交換でブルージェイズへと移籍しました。MLB公式サイトによるランキングでは、マーティンは全体15位、ウッズリチャードソンは同67位とどちらも非常に高い評価を受けているトッププロスペクトです。

 そのためマリナーズがトッププロスペクトを放出することなく大物の補強を行うことは、ほとんど不可能な状況でした。しかしマリナーズのGMは、メジャーでもトレードを成立させる手腕にかけては右に出る者がいないあのジェリー・ディポートです。ただ黙って椅子に座ってTDLを過ごすようなことはせず、クリエイティブに立ち回って3つのトレードを行いました。

①衝撃的なグレイブマンの放出

SEA獲得
エイブラハム・トロ(INF)
ジョー・スミス(RHP)
HOU獲得
ケンドール・グレイブマン(RHP)
ラファエル・モンテロ(RHP)

 マリナーズのTDL1つ目のトレードは、10セーブを挙げていた守護神グレイブマンを、地区首位を走るアストロズに放出するという衝撃的なものでした。ブルペンを補強したかったアストロズと、長期的に保有できる二塁のレギュラーを欲していたマリナーズの思惑が一致してこのトレードが成立したものと思われます。

 マリナーズが獲得したトロは、2025年まで保有することができる強打の内野手です。豪華な内野陣を揃えるアストロズでは安定した出番を得ることはできていませんでしたが、マイナーでは圧倒的な成績を残しています。

2019年 2A&3A 114試合 .324/.411/.527/.938 17本塁打 58四球 82三振
2021年 3A 17試合 .352/.485/.593/1.078 2本塁打 11四球 8三振

 グレイブマンを放出した理由に関しては、彼が今オフにFAとなるから、という理由に尽きるでしょう。マリナーズからしてみれば、来年以降は保有することのできないリリーフ投手を放出し、内野の穴を長期的に埋めることのできる可能性のある若手を獲得したことになります。

 モンテロとスミスに関しては、不振に喘ぐリリーフ投手同士で環境を変えてみよう、という交換だと思われます。

②怪我人が続出したローテーションの穴埋め

SEA獲得
タイラー・アンダーソン(LHP)
PIT獲得
カーター・ビンズ(C)
ホアキン・テハーダ(RHP)

 マリナーズは6人ローテーション制を採用していますが、ジャスティン・ダン、ジャスタス・シェフィールドの2人の若手が怪我で離脱しており、健康な先発投手が4人しかいないという苦境に陥っていました。その問題を解決するために、パイレーツのアンダーソンを獲得しました。

 アンダーソンは決して支配的な投球をすることのできるタイプではありませんが、移籍前の18先発で103.1投球回を記録した安定感のあるイニングイーターです。これから暑く体力の消耗の激しい8月を迎えるにあたって、まさにマリナーズが必要としていた人材でした。

 対価として放出したビンズは2019年のドラフト11巡目で指名したプロスペクトです。今年はA+の40試合で.284/.422/.493/.915、7本塁打の好成績を残して評価を上げていました。打撃力が武器のバックアップ捕手として期待することができそうな選手です。テハーダは2019年7月にインターナショナルFAで契約した18歳の投手です。よくトレードで+aとして使われることの多い、ポテンシャルは高いものの、リスクの方が圧倒的に大きいタイプのプロスペクトだと思われます。

③新守護神の獲得

SEA獲得
ディエゴ・カスティーヨ(RHP)
PIT獲得
JTシャギワ(C)
オースティン・シェントン(3B)

 1つ目のトレードによって守護神不在となったマリナーズでしたが、2日後に成立したトレードで早くもグレイブマンの代わりとなる人材を獲得しています。

 レイズでも14セーブを記録していた新守護神カスティーヨは、メジャー4年のキャリアで167登板、防御率2.99、奪三振率10.6と実績十分なリリーフ投手です。来年から調停が始まり、2024年まで保有することができます。

 対価として放出したシャギワは、昨年は日本の楽天イーグルスでプレーしていました。今年はマイナー契約から這い上がると好投を続け、6,7回を任されるようになっていました。シェントンは2019年のドラフト5巡目で指名された内野手です。守備は将来的に一塁へとポジションを変える可能性もありますが、打撃に関してはスカウトから高い評価を得ています。

 このトレードは、シャギワにシェントンを付け足すことによって、支配力と実績で上回るカスティーヨへとアップグレードしたものと見ることができそうです。

まとめ

 以上マリナーズがTDLに行った3つのトレードを紹介でした。チームリーダーであったグレイブマンの放出によって選手たちがフロントへの不信感を露わにしたことは少し心配ですが、これらのトレードを通じて今現在と将来の両方の戦力を上手く強化することができたのではないかと思います。

 一部売りの動きもあったとはいえ、TDLでは買い手として立ち回ったマリナーズ。20年ぶりのポストシーズン進出を果たすことはできるのでしょうか…。

画像:https://twitter.com/Mariners/status/1420884729339863045

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