ミニシアタークラブ ローンチトークイベント 第3部 「ミニシアター作品をいかに届けるか」メモ
本コミュニティの立ち上げを記念して、オープンイングイベントとして、ミニシアタークラブ・ローンチトークイベント「ミニシアターの未来をかけて」を2021年1月30日(土)に実施しました。
今回はその中から最後の第3部を抜粋したレポートを書かせていただきます。
第3部は「ミニシアター作品をいかに届けるか」というお題で、入江悠監督、宣伝の國宗陽子さんに加え、TikTokで映画紹介をしているしんのすけさんやYouTubeで映画情報を発信するもっちゃんさんなど未来のミニシアターを担う若手インフルエンサーの方々にもお越しいただき、これからのミニシアターのあり方を考えていきました。
非常に参考になる話でしたので今回まとめさせていただきました!
登壇者
第三部 ミニシアター作品をいかに届けるか
司会:森直人(映画ライター)
● 入江悠監督
● 國宗陽子(配給会社トランスフォーマー宣伝プロデューサー)
● 映画好きYouTuber もっちゃん
● 映画感想TikToker しんのすけ
森直人
入江悠監督
國宗陽子(配給会社トランスフォーマー宣伝プロデューサー)
映画好きYouTuber もっちゃん
大学留年を機にYouTubeを始め、現在は映画の紹介や考察などを中心に発信中。チャンネル登録者は約6万人
映画感想TikToker しんのすけ
映画感想TikToker。『水戸黄門』の助監督として映画・ドラマ業界に入り、現在は映像作家、専門学校講師、2019年より映画感想TikTokerとしての活動開始。映画だけでなく、エンタメや社会問題などを中高生にわかりやすく発信している。
レポート
今回は森さんの司会進行のもといくつかの議題について、それぞれの立場からコメントをしていただいております。なお、内容についてはすべてのコメントを記載しているわけではありません。わかりやすく多少の加筆修正を行いながらまとめています。なお、それぞれの発言はその当時のご意見です。
前半は、森さん、入江監督、國宗さんの3名で話されました。
Q. 監督にとってのミニシアターの意義とは?
◯ 入江監督
ユーロスペースに来て思ったが、ここで「SR サイタマノラッパー」の上映をやった。毎日舞台挨拶をしていて満席になって、その経験が現在も映画作りの原体験となっている。そのあとメジャー映画をつくってきたが、あのユーロスペースを超える感動はなかった。恩返しではないですが、(第2部で)恩田記者のおっしゃっていた「ゆりかご」の表現がまさにあてはまり、育ててもらった場所だった。
僕ら世代とその下の世代は、ミニシアター出身。例えば、助監督やっている人も自主映画を撮りテアトル新宿に持ち込んで商業映画デビューしたりしている人もいる。ミニシアターだと自分の映画が届いたか、届かなかったかダイレクトにわかる。作家としてすごい成長させてもらえる。シネコンで映画をかけるとお客様の顔が見えにくくなる。仮に九州や北海道の映画館がガラガラでもどのような状況かわからない。「ここには届かなかったんだな」という実感がもてない。一方で、ミニシアターだと如実にわかる。「支配人今日くらい顔しているな・・」とか。コミュニケーションが密にできる。
映画をシネコンだけでやっていると、誰に向かって作っているのか明確にならなくなり、僕は不安になる。ミニシアターだと確実にこれを必要としている人がいるんだなどわかりやすい。例えば、札幌でサイタマノラッパーの上映をした際に、15歳くらいの中学生の男の子が来ていて、この子はラッパーを目指すのかなと思った。そうしたものをみるとやはり原動力になる。そうした経験があるからミニシアターで上映する作品を作りたくなる。ライブ感?お客さんからフィードバックをもらえる感じがある。
Q. 第2部で新作のミニシアターは苦戦していると言われている。そうした中、國宗さんがヒットを飛ばし続けることができる理由とは?これ配信でいいよな?と思われる作品を劇場で観てもらうためにはどうすれば良いか?
◯ 國宗さん
誰が見るのかということが一番重要。その上で、その人たちをイメージして、ポスタービジュアル、チラシ、タイアップ戦略、予告編などを作っていく。今までの映画の宣伝は、こうしたコア層は薄くみられがちだった。なぜなら、こうしたコア層は、雑誌やその他映画メディアでリーチでき、ほっといても来ると考えられていたから。ただし、現在は時代が変わり、コア層がとても重要だと思う。ミニシアター作品は、映画の買付(調達)金額が低い分、興行収入(動員)目標数が少ない。だからこそ、お客様の顔がきちんと見えていることが目標達成には大事。顔が見えてないと劇場に人は来ない。
Q. 映画館vs 配信、といった議論もあるが配信との共存についてどう考えるか?
◯ 入江監督
日本のミニシアターは世界的にみてもかなり充実していて、世界一というくらい多様性がある。そうすると映画を観たい人は映画館に観に行けば事足りる。配信か映画館かという議論は、VHS、DVD、地上波放送などの時代を通して散々やってきた議論。なので、そこの議論に時間を費やすのは無駄だと思う。両方あるものだと考え補完していくしかない。
ただし、ずっとあるのは映画館。映画館がどのように変化していった方が良いかを考えるほうが面白い。
◯ 國宗さん
劇場と配信は考え方が違う。映画館は生のLIVEで、配信はCDやSpotifyで曲を聴くような感じ。アーティストが来日したら行かなきゃいけないのと同じように、映画館に好きなものが来たらいく感じ。
◯ 森さん
どのレベルで満足するかというのが基準。映画館で観てようやく満足するものもある。だからこそ、配信と劇場の対立項は心配していない。
◯ 入江監督
馴染みの映画館に通うのは、馴染みの飲み屋へ通うのと同じような感覚。お前また来たなという感じに憧れた。
◯ 森さん
この場所に来て変なものをみている高揚感は今も続いている。ミニシアターはハイエンドでいいじゃないかと思う。
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ここから、もっちゃん、しんのすけさんにご登壇していただきました。
Q ミニシアターというものについて
◯ もっちゃん
若手の監督を応援したり、羽ばたいていく場所。ただ、今の若い人はミニシアターを認識していない。観たい映画を観にいってそれがたまたまミニシアターだったという感じ。場所に関しては認識していない人が多い。
◯ しんのすけさん
若手の登竜門でありながら、ミニシアター=おしゃれ。ファッションのように自分をブランディングするひとつである。本来ならこのSNS世界で考えると、若者にとって、映画館で自撮りをすることは価値につながることだと思っている(はずである)。なんだけど、それが育っていないということは、映画の価値が自分たちだけしか伝わっていない。もし育っていたら、写真を撮りにくるために「異端の鳥」を見にくる人がいるはず。そこまでの層が来ていないということは、根本的に知らない人が多いと思う。
Q もっちゃん、しんのすけさんの動画を視聴している人。フォローしている視聴者層について
◯ もっちゃん
チャンネル登録をしている人は映画に興味がある人。映画鑑賞ライト層からヘビー層まで幅広い。
◯ しんのすけさん
TikTokはアルゴリズムが違う。TikTokは勝手に流れるシステム。自分がもし可愛い女の子が好きだと思い、それをいいねしているとそればかりになる。ただし、たまにバズった動画が流れてくる。それが面白い。検索型とレコメンド型で、レコメンド型は流れている動画を好きなものか否かと取捨選択していく。つまり、もし僕が映画の動画でバズったら、全く映画に興味ない人に届くということ。
Q レコメンド型の拡散について
◯ 入江監督
Save The Cinema の活動などはもうすでに同じところには十分に届いている気がする。そのためYouTube型よりも、全く知らないところに発信して行くTikTok型の方がこれからは面白い。例えば、地方のヤンキー高校のようなこんな場とは全く異なるような人たちにこの話を届けたら、新しい発見があるのかもしれない。
◯ しんのすけさん
最近「Swallow/スワロウ」という映画を見た。めちゃくちゃ公開舘数が少ないけど、とても好きな内容だった。この映画は、映画好きは知っているけど一般は知らない。それでも伝えたいと思い、気合いをいれて1分の紹介のTikTokをとった。すると、「AI崩壊」よりも再生回数が伸びた。結果、「Swallow/スワロウ」は90万再生いき、めちゃくちゃバズった!これでこの映画ヒットするだろうと思ったら、書き込みに「どこでやってるんですか?」「まわりやっていません」という投稿があり公開舘数の壁にあたった。どれだけ認知度をとっても観れない映画がある。映画館に問題が出たことが悲しかった。
Q なぜYouTubeではなくTikTokをやっているのか?
◯ しんのすけさん
YouTubeは、さまざまな映画好きの人がすでに発信しているが、TIkTokをほとんどいない。だからこそ、自分が、マジでTikTokをメインでやらないと業界全体がやばいのではないかと思った。もし他にもTikTokをやっている人がいたらYouTubeなど色々やろうかと思ったが、そこに誰もいないので、自分がきちんとしようとおもった。
(YouTube界隈の方々は もっちゃん のこの解説動画が参考になります。)
Q SNSでの発信について
◯ もっちゃん
YouTube登録6万人以上いるが、視聴者の興味のない映画や内容を扱ってしまうと、再生回数が1万いかない。YouTubeの難しさを感じる。だからこそミニシアター作品を扱っても届かないので、TikTokなどの拡散型SNSをやるようになった。
◯ 入江監督
サイタマノラッパーの宣伝の時に無料でできるものはなんでもやろうと思った。mixiやtwitterなど・・。twitterは、サイタマノラッパーのときは映画公式がほとんどなかったが、その後一気に増えた。そして10年経つと状況が変わった。今公式のtwitterなど宣伝効果がほぼないと思う。そうした意味では(もうすでにチャンネル数が多いかもしれないが)YouTubeやTikTokなどの方がよいかもしれない。
◯ しんのすけさん
昔(10年前)入江さんが自己発信されてた時本当にすごいと思った。
◯ 森さん
当時は、入江監督筆頭に、松江監督や、SPOTTEDの直井さんなどが走りでやっており、現在は変わってきた。
Q SNSの現在
◯ 國宗さん
SNSは使っている年代や属性が違う。そして、しんのすけさんやもっちゃんさんがカバーしているファンのエリアも異なる。そうした意味では(宣伝の際)伝えたいターゲット層に合わせて選択をしていく必要がある。新しく話題になってきているclubhouseがどうなっていくかも興味深い。
◯ 入江監督
そのようなSNSを使いこなしていくことは労力が半端ないのでは?例えば、自分はtwitterしかやっていないが、そうした人間には届きにくい状況がある。
Q 伝えたいところに届いていない問題
◯ 森さん
第2部で「Netflixの新作を知らない問題(※メディアが追えてないので、どんなにいい作品がでてもユーザーに伝わらない)」のように届けたいところに届けれないことについてどう思うか。例えば、しんのすけさんは40万人のフォロワーいると思うがどう思うか?
◯ しんのすけさん
自分は、「40万人も!」という風に思ってなく、まだ40万人。本来なら映画を観る層はもっとおり、40万人でさえも、「映画をよく観る層」を全員カバーできているとは思えない。ゆくゆくは潜在層まで広げていきたい。そうした意味で、TikTokは浅く広く伝えていくという意味ではいい。シネコン作品も出しつつフォローをしてもらって(フォローして貰えばその人のタイムラインに動画が流れるので)、そこで単館系の映画の情報を流すと、フォローしている1/3とか1/4とかの人たちにも情報が届けれるようになる。そう考えるとまだ40万人は少ない。
Q 伸びるSNS動画は?
◯ もっちゃん
伸びるのは3パターンあると思う。1つは、公開する映画館の規模が大きい作品(それだけ関心があるということ)、2つめは、ファンの熱量が高い作品。今で言うと「えんとつ町のプペル」とか・・。3つ目は、考察が捗る作品。映画を見て他の人がどう思ったのか?を調べる際にSNSを使うことが多いので、観られやすい。最近だと「ジョーカー」とか「パラサイト 半地下の家族」。考察が捗るやつはヒット作の中でもさらに伸びる。
(※例えば、もっちゃんの「TENET」動画は11万再生されています。)
◯ 入江監督
ミニシアター作品は、SNS1発話題になればユーロスペースなど満席になる。ハイエンドでいいと思っている。その情報をキャッチした人たちだけが駆けつけると結果、口コミが広がる。そう考えた際に(しんのすけさん、もっちゃんさんにとって)SNSで発信しても映画館に観にいけない!などある中で、あえてミニシアター作品の情報を発信するモチベーションは何ですか?
◯ しんのすけさん
モチベーションというか、ここはシンプルにお仕事でやっていないから。一般論関係なく僕が面白い(面白くない)ということを発信する。自分の意見をすごく大事、好きだから発信する。モチベーションということを考えると、「とても好きな映画だからそこがきちんと伝わるようにしよう」という(動画作りの工夫の)部分でしかない。
◯ もっちゃん
私も同じ。今まで一映画ファンで好きなものを発信していたらいつの間にか発信者になっていた。だからこそ大作とかミニシアターで分けていない。
Q 紹介する映画を探す方法ははなんですか?
◯ もっちゃん
twitterで映画好きな人をフォローしていて情報を集める。
◯ しんのすけさん
同じくtwitter。中でも誰をフォローしているかが大事だと思っている。10年くらいやっていると(フォローが)自分が好きな映画をあげてくれるような人たちの構成になっていく。そうした時に、たまにスパイス的に違うのを入れて探してみたり。twitterは、わりと情報取得系として使っている。
◯ 入江監督
ミニシアターのお客さんって、「1人でふらっと来てふらっと帰るような人」と、「その作品を共有したい・語り合いたい人」の2パターンがいると思う。お2人はどちらですか?
◯ もっちゃん
私は、1人でふらっと来て、ふらっと帰ってYouTubeをあげる。そうすると動画のコメント欄で色々なコメントが記載されていくので、そこで感情を共有する。
◯ しんのすけさん
(これは)TikTokをやろうと思ったきっかけに通じるのですが。(感想を書こうと思って)twitterとかに面白い・面白くないを書くと叩かれるかもしれないという恐怖がある。例えば、「『鬼滅の刃』大ヒットで面白い」というふうに書くと、「いやいや『鬼滅の刃』が『千と千尋』を越えられるわけないだろ!」と叩かれる。「『鬼滅の刃』が面白くない」と言ったら、「『鬼滅の刃』は面白い」と言われる。twitterですら人の個人個人の感想がすごく言いにくい世の中になっている。映画界隈のtwitterはそんなことはないと思うが・・・一般層の人たちははそう思わない。だからこそ、僕が顔出しで一般層の声を代弁するような形で「これは面白くない。なぜならば・・・だから面白くない」と出す。もちろん最初は荒れた。でも、1/3くらいの人は「これを言ってくれる人がいてよかった!」というコメントがあった。感想を言うのがSNSですら許されない時代になっている風潮があって、レビューをしているのが、映画.comとか界隈の映画好きだけの状況だった。だからこそ(一般で映画をかたる)そうした人がいなかったのでTikTokをやりだした。
◯ 國宗さん
twitterは戦場な感じがする。公式アカウントも最新の注意を払って発信しないと大変。
◯ 入江監督
僕も酔っ払ってtwitterで、DM(ダイレクトメッセージ)を送って某監督と喧嘩したことがある。そんなことがある一方、コロナの件(Save The Cinema)で全国の劇場を回っている時に、twitterなどとは疎遠な支配人たちはすごい元気だった。きついけど、いつもよりもすこしきつくなっただけという雰囲気(笑)。SNSを追いかけている映画館の方が精神的にダメージを受けていた。そうした意味での戦場は、一回シャットダウンしないとダメな時もある。
Q しんのすけさんが、「映画感想を通してみんなの言語化能力をあげる」という訴求から、実は今年の抱負は「気付き」だと言っている点について
◯ しんのすけさん
僕がたまたま一番好きなのが映画。映画は引っ掛かりが多い。映画は複合的。原作の漫画があったり、主演のファンがいて、引っ掛かりがすごく多いメディアであるので言語化につなげやすいと思っていた。そうした時にコロナで意識が変わった。1年半前は「言語化能力あげよう!いえーい!」くらいのノリだった、半年くらい前にフォロワー10万人超えた頃、コロナで映画館が閉まったのをみて、「俺がやらなきゃやべーな」と使命感を感じた。そうしたときから今回のイベントのような形に意識が変わった。
(例えばこのような活動をされています。)
Q 元々は好きではじまったSNSがある時から使命感を感じ流ようになった時、発信者として考えるべきこと。
◯ もっちゃん
いまはtwitterでもYouTubeでも誰でも発信できる時代。さらに境界が曖昧になってきた。私も最近責任感を感じるようになった。今の若い人たちは、映画雑誌やブログよりもYouTube、TikTokを見るようになった。もしYouTubeだけしかみない人がいた場合、その人たちに私が間違った情報を発信したら、それが全てになってしまう危険性もあるなと思っている。だからこそ、発信する内容に気をつけるようになった。
◯ しんのすけさん
全人類総レビュアー時代になり、みんなが口コミを頼りにするようになった。ただ、口コミが溢れすぎているため、何が正解で、見る前に誰を確認したらいいのかがわからない。映画好きな人なら「とにかく観よう」となるかもしれないが、一般層の人たちが参考にする上で、LiLiCoさんや有村昆さんのような立場でかつ、若い世代の人々にとって参考になる人がいない。これは、シネコンやミニシアター関係なく、映画文化を届ける人がいないと、情報が溢れすぎていて精査ができない。
◯ 入江監督
2部でもキュレーターというキーワードがでていて、多分ミニシアターもそうだと思う。例えば、うちの母親は、深谷シネマによく行くのだが、そこで「次に面白いものって何?」ってスタッフに聞く。そして、全員ではなく特定のスタッフにのみ聞く。そうした情報を届けると言う点で、まさにキュレーターが大事。
◯ しんのすけさん
昨日Clubhouseで朝まで話していた時に思ったのが、総レビュアー時代になり、例えば、入江さんにtwitterでリプを飛ばしたらすぐに相談できるような環境にある、それは、あまりにもフラットになりすぎたのではないか?と。
◯ 入江監督
そうした意味で、SNSをやっていない人に価値があがる。SNSをやっていない人はフラットにリプを飛ばせないのである種最強なのでは(笑)
◯ しんのすけさん
たしかにそうで、どうしても情報を気にしてしまう。作り手だろうが見る側だろうが。作り手に不祥事(スキャンダル)があったら見る側が見ないと言う人がいるかもしれない。しかし、作品単体でみた時に、情報がシャットダウンされたていたらまあ、いいか(観よう)という人もいるかもしれない。
Q 映画の情報を知ったからといって映画を観ないという問題について
◯ もっちゃん
これは色々語りたいところ。YouTubeに映画のあらすじだけをまとめたチャンネルがあり、とても伸びている。それって映画のためになっているの?と根深い問題と思っている。著作権違反なので単純にアウトなのだが、それが届けた側から観た時に、「それでも、それを観た人の中から実際に映画を見る人が出て来ればいいや」と思うのか、「自分の作品に対するリスペクトが足りない」と思うのか。これはどう言う風に思っているのか気になっていた。
◯ しんのすけさん
こうした動画には憤りを感じている。一度TikTokでもふれた(orようとおもった)。しかもミニシアター系の作品が多い。メジャー系は権利管理が厳しくあげれないからやっていない可能性がある。そして、ミニシアター系の中でもとっぴな設定のものを狙ってあげている。
◯ 森さん
あー出たなという感じ。文学でも名作を5分で読むとかそうしたものは昔からあって、映画もそれと同じようになったのだと思った。このようなインスタントに教養を詰め込むのはでるわな、とは思った。良し悪しではないが、でるべくしてでた。
◯ しんのすけさん
それが公式がやるんだったらいいなと思う。誰かが許可をとってやっているのであればなんとも思わない。例えば、スターウォーズも3分でわかるやつを公式で出していた。誰かが、その違法動画で広告収入を得ていることが腹立つし、それに対して誰も言っていないのか、はたまた暗黙で映画の知名度に役立つから黙認しているのかよくわからないと思った。
(公式がわからなかったので、シネマトゥデイが公式ライセンスをとってあげているものを紹介)
◯ 入江監督
ゴダールは本編を1分半にまとめた予告編を作っていた。
◯ しんのすけさん
情報の濃度でということで言えば、自分は1分で詰め込むというようなことはあるけど、公式ではないものが、「許される範囲でやっているのかどうか?」。そして、そうした動画は、見る側がそれを無料で見れて、(見た人は)それで満足して他の人にこれは面白い動画だよとシェアしまくっているので、はて?と思っている。
◯ 入江監督
よくないことであることは前提だが、そもそもそれで享受したと思っている人は乱暴ですけど切り離していいと思っている。僕が緊急事態宣言を開けて最初に観に行ったのが、イメージフォーラムの「死霊魂」。8時間ある。一方で、1分のあらすじで満足してしまう人は、こうした作品/ミニシアター鑑賞にハマることはないと思う。映画館に入る時と出た時に風景が変わる。その体験の良さを知っているか、知らないかで分かれると思う。
◯ しんのすけさん
そうした人を「切り捨てる」という考えと、「そうした行為を許せるかどうか」は若干違う気がする。しかしながら、現状はどちらも放置されているグループに入っている気がする。「よくないこと」と「これはいいんだ」というのは明確にした方がいい。
最後に視聴者からのご質問です。
Q 2時間映画館に座れない人がいることについて
◯ もっちゃん
わたしもスマホ中毒で2時間集中して映画が見れないので、映画を観るときは(家でも)スマホを切る
◯ 入江監督
最近の著書「スマホ脳」という本の中でもあったようにワンスクリーンしか人間は見れない。映画館はそうした意味では、ワンスクリーンに強制的に集中させてくれる。
◯ 森さん
(まとめ的に)映画に限らず現代人は集中力が落ちている。集中できる環境が映画館である。また(最初にしんのすけさんが触れたように)映画館として映える場所作りが大事であると思う。
◯ もっちゃん
シネコンは最近同じような感じだけど、ミニシアターはもっと見た目に個性があってもいいと思う。
◯ しんのすけさん
映画館のビジュアルはアイデンティティを出すために大事だと思う。映画館の価値が目に見えるところにあってもよい。長年のブランドというものがなくなったわけではないが、時代として考えた時にはビジュアルの方が今は大事なのだと思う。
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というような形で時間が足りなくなってしまい、「ミニシアターをどう伝えていくべきか」についてのお話は終了しました。
おわりに
いかがでしたでしょうか?さまざまなジャンルで映画を携わる人たちによる色々な考えは、かなり刺激になりました。
この中でもさまざまな議題提議がされました。ミニシアタークラブでは、こうした内容についてひとつひとつずつ考えていき「ミニシアター」のあり方を今一度見つめ直していきたいと思います。
では、長文になりましたが、ここまで読んでいただきありがとうございました。次回も公開できる情報があればこちらで公開していきたいと思います。
<<<メンバー募集中>>>
現在「ミニシアタークラブ」は、メンバーを募集しています。上記にような事柄に加え様々な角度からミニシアターについて考えていきます。そして、普段話せないような映画の裏話まで色々なお話を聞けることができます。映画が好きな人はもちろん映像業界に興味がある人まで歓迎しています(月額 1,000円)。下記のURLよりお申し込みください(活動の中心は、Facebookの非公開グループとなります)。
なお、今回のしんのすけさんについての考えなどをもっとよく知りたい方は、TikTok公式のnoteにインタビューが掲載されていますので、こちらもよければご覧ください。
國宗さんが所属するトランスフォーマーの最新作は、2月27日(土)公開「DAU. ナターシャ」です。シアター・イメージフォーラム、アップリンク吉祥寺ほかで全国公開されます。
そして入江監督の最新作は「シュシュシュの娘」になります。こちらのYouTubeチャンネルに最新情報などが掲載されておりますのでご参考に。またtwitterもご紹介します。
以上、ありがとうございました
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