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「学校へ行きたくない日は映画館へ (学校出席扱いになる取り組みも)」 うえだ子どもシネマクラブの取り組み

みなさま

こんにちは、今回は、先日の4月6日(火)に開催しました「学校へ行きたくない日は映画館へ     うえだ子どもシネマクラブの取り組み」のイベント内容についてご紹介します。

イベント概要

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 長野県の「上田映劇」「侍学園スクオーラ・今人」「アイダオ」のNPO3団体が連携し運営している「うえだ子どもシネマクラブ」の取り組みについて担当の直井恵氏、番組編成担当原悟氏をゲストスピーカーに迎え、ミニシアタークラブ公式YouTubeアカウントにて配信トークイベントを実施いたしました。

日時:4月6日(火) 19:00〜20:00
配信:ミニシアタークラブ YouTube公式アカウント 
登壇者:直井恵、原悟(うえだ子どもシネマクラブ)、北條誠人(ユーロスペース)、青木基晃(ミニシアタークラブ)

うえだ子どもシネマクラブとは・・

 長野県の「上田映劇」「侍学園スクオーラ・今人」「アイダオ」のNPO3団体が連携し運営されている。上田映劇の休館日を利用し、登録された方対象に月に2回映画上映を実施している。学校以外の居場所、自立支援の一つとして映画館を“コミュニティシネマ”として運営し、そのユニークな取り組みは、話題をよんでいる。

HP: https://uedakodomocinema.localinfo.jp/
上田映劇: http://www.uedaeigeki.com/

トーク内容

(映像全編はこちら)

(以降抜粋)

−はじめに

 原氏、直井氏「活動を広く知ってもらうことが課題だったのでこういった場所をセッティングしていただいてありがたい」

−運営・設立について

 直井氏「上田映劇、侍学園スクオーラ・今人、アイダオの3NPO法人の連携事業となっています。国の「休眠預金等活用法」という眠った預金を社会課題に当てていこうという法案が2018年に施行され、それを元にしたファンドから助成をいただき「自立支援」という一つの目標に向かって事業を始めることになりました。自立支援は今まで侍学園を中心にやってきたが、映画館という場所を利用してやってみようというアイディアが出てから半年間くらい準備にかけて、現在まで運営してきました。このスピード感は3団体の連携、距離感が近くコミュニケーションが綿密に取れたところが大きい。」

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※上段左より直井氏、原氏、北條氏
     下段青木氏

−立ち上げ時の準備について

 直井氏「上田映劇の通常興行との調整を原さんと今も細かくやっています。また平日開催ということもあるので、地域の教育委員会が学校を回って取り組みの理解促進に努めたり、不登校担当の先生方ともよく話をしましたし、中間教室という不登校の子どもが通う教室の先生にもヒアリングしたりとかなり準備はしました。」
原氏「学校以外の居場所、行き場として、「映画館っていいよね!」という“予感”をもとに、瞬発的に動けたのはこの地域の団体、人々の特性によるところが大きいと思います。」

 直井氏「対象としているのが不登校で家にいる子どもたちなので、情報を届ける、ということに苦労しています。ですが、そこは学校の先生がチラシを生徒さんに届けてくれたり応援もあるので、いち映画館の頑張りだけでは滞っていたと思います。また、スクールソーシャルワーカー(学校と生徒を取り持つ)の先生との連携などにも助けられています。」

−運営してみての反響は

 直井氏「多くいらっしゃってくれるのは、中学生が多いです。なぜか、特に中学2年生と小学5年生の子が多いです(笑)。やってみると場を必要とするのは子どもだけではない、ということが分かりました。普段、映画館に足を運ぶ余裕のない親子も大変多いです。親が仕事をしていてお子さんを映画館に連れて行くことがなかなかできないなど、生活の中に、いかに映画館、映画という居場所があるんですよ、という情報を伝えていくかが課題です。ですが、来場された親子から「同じ映画を観て親子で会話が増えました!」という感想も多くいただきます。

 ユーロスペース北條氏「お話を聞いて、昔と比べると映画館、ミニシアターを取り巻く環境がものすごく変化していると感じました。それは、映画館だけでどうこうするのではなく、映画館を取り巻く地域の人たち、団体、学校と様々なところと一緒にやっていることに力を感じました。」

 原氏「上田映劇も2011年に一度閉館してまして、その存続という目的もあるんですが、単独で成り立たなかったから閉じた、という経緯があります。なので地域の方々と共同で映画館をうまく使っていただくという意識は強いかもしれません。地域の方々を仲間にしていきたいですね。」

 ユーロスペース北條氏「全国のミニシアター運営の方にお話を聞くと、各地のミニシアターには目に見えないその地域地域独特のコミッティーの存在を感じます。それはミニシアターには本当に大切な財産になっていると思います。」

 直井氏「地域の独自性というのはあると思います。実は上田市以外の近隣地域からの反響も多くいただいてます。また、長野県は、移住者の方が増えてきてまして、学校環境や地域の取り組みについても移住の判断基準とされているようです。」

−印象に残るポジティブな反応は?

 直井氏「一度、通信制高校の授業の一環でプログラムに入れていただいた時に、お子さん以外に、そのお母様も映画を観たいということで参加してくださいました。それをきっかけに結果的には、上田映劇の会員になっていただき親子で常連になっていただけました。映画をきっかけに再び関係を紡いでいかれた印象的な出来事でした。」

−今後の課題

 原氏「子どもたちと、映画作品との出会いを模索しています。やはり子どもたちが観たいという作品を届けたいですし、そのためには、最近は月1回の上映から月2回に機会を増やしたりしていろいろと試している最中です。」
直井氏「いらっしゃるお子さんのほとんどはなぜか女子なんです。ですので、男子も来やすいように、スタンプ押しやイベント運営のために簡単な役割を与えて参加しやすい工夫もこれからしていく予定です。お子さん、親も含めて普段悶々と抱えているものを映画館というひっそりとした場所で映画を見ながら感情のアウトプットをしていただければと思っています。映画の力を日々体感しています。また、将来的には助成金なしでも持続していくための方策も考えて行かないといけないですね。」

−「出席扱い」について

 直井氏「実は、残念ながら上田市では認められてなくて、御代田町で採用されています。「教育機会確保法」というものが既に、文部科学省から出ておりまして、それがなかなか浸透していなくて。それが大きな課題です。これまでの慣習よりも、子どもに寄り添った仕組みを採用していただけるよう広げていきたいです。」
ユーロスペース北條氏「ミニシアターの新しいスタイルであり、ミニシアターは、文化資源としてきちんと生き残れる資質をキチンと持っているんだ、ということを再認識できました。」

 その他にも取り組みや想いついて様々なことを聞いておりますので、お時間あれば本編もご覧ください。

 なお、こうした記事でも取り上げられています。

<参照・補足>

「教育機会確保法」について
「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1380960.htm

これを受けて、以下の通知が出されています。

「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1422155.htm

 この中で学校外の学びの場の出席扱いについても別紙で詳細に説明されているので、共有させていただきます。

「(別記1) 義務教育段階の不登校児童生徒が学校外の公的機関や民間施設において相談・指 導を受けている場合の指導要録上の出欠の取扱いについて」
https://www.mext.go.jp/content/1422155_001.pdf

おわりに

 今回のお話を受けて、原さんや直井さんの非常に熱い気持ちを感じることができました。こうした人々が地域を支え、今後の映画文化の未来を積み上げていっていただけるのだなととても感動しました。

 ここまで読んでいただきありがとうございました。次回も公開できる情報があればこちらで公開していきたいと思います。どうぞ引き続きよろしくお願いいたします。

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