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【エッセイ】覚悟を決める

「覚悟を決める」というのは、勇気のいることだなあと思う。

受動的な覚悟――たとえば、もう運を天に任せるしかない、と目を瞑るようなものも、そうなのだけれど。
能動的な覚悟――たとえば、私はこうして生きてゆくのだ、と決断するようなものは、特に。

何かを決めたとて、それを世界に宣言する必要は、まったくなくても。
仮に失敗しても「それ見たことか」と、笑われるわけでなくても。

私は、自分との約束を破ることを、実は何より怖がっている。

「覚悟」は、決心よりも時間がなく、決断よりも困難が想定される。
困難をそうと感じるかどうかは、ここではまったく別の問題で、
「それでも、お前はそうするのか。」
「する。」
という、神との問答のような圧迫感である。

そうする、と覚悟を決める。
ほかの誰が知らなくても、自分だけは、私がいま決めたことを知っている。

だから、もしも心が折れそうなほどの困難にぶつかったら、逃げる以外の方法がなくなったら、
私は、自分との約束を守れなかった、と思ってしまう。

そういう性格なので、何事かに対して覚悟を決めるときは、こう付け加えることにした。

「ただし、必ず私を謳歌する。」

覚悟を決めて、する。
ただし、必要以上に、自責も萎縮も、自己犠牲もしない。
私が私であることを、自分を生きることを、何よりも楽しむ。

これで、重々しい覚悟を抱いて、沈んでゆく自分とは、お別れだ。
軽やかに、覚悟を決めて、生きてゆく。

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