- 運営しているクリエイター
2023年8月の記事一覧
【エッセイ】自由に表現する
音楽の話でいうと、ですね。
私は、楽譜や原曲がないと、歌ったり弾いたりできません。
「自由に表現していいよ」と言われると、どうしたらいいのかわからない。
きっちりとなぞることはできるけれど、アレンジはできません。
自分の思いを、音楽にのせて表現することも、できません。
音楽が自由になったとたんに、難しくなる。
絵を描いたり、写真を撮ったりすることも、同じかもしれない。
“模写する”“テーマが決
【エッセイ】三日坊主も悪くない
私は、よく唐突に興味を持って、あれこれとやり始めるけれど、
そのすべてが、ずっと続いているわけではない。
noteのように、わりと長続きすることもあるし、すぐにやらなくなることもある。
どちらかといえば、三日坊主である。
昔は、それがいけないことのように感じていた。
「やり続けなければならない」と、謎の責任感を持っていたがために、
「続けられなさそうだから、始めないでおこう」という、妙な逆転現
【エッセイ】見えないけれど、確かにあるもの
たぶん、私は「見えないけれど、確かにそこにあるもの」が好きなのだと思う。
愛や、幸せや、エネルギー。
サンタクロースや、妖精さん、神さま。
こころや、きもちの揺らぎ。
裏方で物事を支える人たち。
「目には見えないけれど、確かにそこにある」と思えると、生きることが豊かになるようなもの。
自分が今まで意識を向けていなかったものを、見たり感じたりできるようになる方法は、たくさんある。
何が合うかは
【エッセイ】一般社団法人 家族
私の現在の役職は「お母さん」。
子どもに関わるあれこれは、私の大事な仕事である。
けれども、どうにもやる気にムラがあることに気がついた。
ぱっと身軽に動ける案件と、腰が重くて取り組めない案件とがある。
もちろん「仕事」であるので、一定以上のクオリティは保ちたいところだ。
個人のやる気に左右されてしまうのは、よろしくないだろう。
というわけで、やる気のあるなしを明確に把握するべく、分類してみた
【エッセイ】やさしさのかたち
私はどうやら「わかりやすいもの」が好きらしい。
心惹かれるものは、たいていシンプルに、わかりやすく表現されたものだ。
難解な言葉が連なる本よりも、余白がたっぷりとられた物語を、そっとめくるのが好きで。
小さなたくさんの雑貨に囲まれる暮らしより、断捨離やシンプルライフに夢中になり。
何を考えているのかわからない人より、まっすぐに気持ちを向けてくれる人のほうが、接しやすい。
以前に“才能プロファイ
【エッセイ】メルヘンの住人
写真サイトの中の、なんとなく「好きだな」と思う写真を、集めてみた。
空。森。海。星。虹。花。
深く、広く、心を静かに揺らすものが、あふれていた。
ときどき、フルーツ。マカロン。
カラフルでポップで、ぎゅっと元気を詰め込んだようなもの。
人や動物、建物や街並みは、ほとんどなかった。
生まれたばかりの、赤ちゃん。
哀愁と美しさのある、人のシルエット。
凛とした、またはユーモラスな、動物の表情。
【エッセイ】夏の終わり
日がな一日、響き渡っていた蝉の大合唱が、少しずつ途切れ始めた。
心なしか声も小さくなってきたようだ。
夏が、もうすぐ終わる。
徐々に声を落とす蝉たちのように、気分がゆるやかに変化してゆく。
夏の終わりは、気怠い。
暑さにまみれた体から、夏の成分が、レモンを絞るように、一滴残らず流れ出ていく。
絞りきったら、きっと私の体は、爽やかにからっぽになり、
次は、秋の深みを存分に吸い込めるようになる。
【エッセイ】わが家の夏の風物詩
夏になると、わが家の息子たちに、カブトムシ・クワガタムシブームが訪れる。
実物を飼育したがるのはもちろんのこと、数あるリアルなおもちゃを戦わせては遊び、
夜になると、枕元に丁寧に並べて、眠りにつくのである。
慈しむように、昆虫の背中をそっとなでる様子を見ていると、本当に好きなのだなあと思う。
私は大変に虫が苦手なので、玄関先の虫かごで、夜な夜なガサガサと音がするのは、実は嫌だ。
昆虫フィギュ
【エッセイ】体のためにできること
昨日の運動のせいで、腕と足が、筋肉痛になっている。
私はちょっぴり、嬉しくなる。
ひそやかに、しかし確実に、体の衰えを感じる年齢になった。
これからの人生、楽しく生きられるだけの体力と健康は、維持したいと、
自宅でできる1日5分の運動を、ただいま習慣づけているところである。
昔から体育を目の敵にしていた私は、体力を消耗することは嫌いだった。
疲れると、そのあと何かをするときに、体が重くてつらか
【エッセイ】本を読む
夏休みに入ったからか、病院の待合室に、小中学生と思しき子どもたちが増えてきた。
今日は、図書室のナンバータグがついた本を、開いている女の子がいる。
順番が来て、呼ばれた。
彼女は、隣に座っていた母親に、開いたままの本を預けた。
受け取ったお母さんは、読みかけのページに指を挟んで、待っていた。
診察から戻ってきた女の子は、そのまま差し出された本を、ついと開き、
何事もなかったように、続きから読み
【エッセイ】ぱたぱた
私はいつも、ぱたぱたと音を立てているように思う。
朝いちばん、窓を開け、はたきをかけて回るとき。
インターホンが鳴り、玄関に駆けていくとき。
主婦の前線基地のような台所と、食卓とを、行ったり来たりしているとき。
いつも、ぱたぱたと動いている。
昔、子ども番組で「パタパタママ」なる歌があった。
朝から「パタパタ」と実に忙しそうなのに、
午後のひとときには「パクパク」と、しっかり自分時間を楽し
【エッセイ】今日は、言葉にしないまま
その日、私は高台にいた。
木々の合間をぬって、眼下にささやかな町並みと、水平線が見える。
もうじき、日が暮れようとしていた。
夕焼けに包まれる前のひととき、空と海の青が、深みを増してゆく。
町にぽつり、ぽつり、と明かりが灯る。
街灯だろうか。
まだ明るい空で見つけた、いちばん星のようだ。
なんだか、とてもいいな、と思った。
ずっとそこにあったものが、輝き出す瞬間だとか。
ミニチュアみたいな
【エッセイ】世界に映る私
早朝から、蝉が声を張り上げている。
庭のどこかで、猫がふぎゃふぎゃと揉めている。
名前のわからない鳥がかん高く鳴き、農作業の機械音がブンブン響く。
田舎の夏の朝は、にぎやかだ。
これを「今日も元気だな」と思うか。
「朝からうるさいなあ…」と思うか。
いちばん最初に浮かぶ思いで、今日の精神状態がわかる。
鷹揚に聴いていられるときは、心に余裕があって、優しい気持ち。
苛立ちを感じるときは、余裕