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ハンドメイドイベント出展は価値がある?

いざ新たな出会いを求めて!

私たちminimumsはこれまで、毎月再販するminneでの通販と、地元愛知県で年2回行われるクリエーターズマーケットのイベント出展を中心に活動してきました。
このイベント出展1回で通販3ヶ月分くらいの数量を作るので、(奥様に機嫌よく制作してもらうためには)イベント出展は地元開催の年2回が限界でした。

しかし昨年から親戚知人にお手伝いで入ってもらっているおかげで、少しずつ量産が安定してきました。コロナも落ち着いてきた(2021年12月の段階では…)ので、2022年はイベント出展を増やそう!ブランドをPRだ!と意気込み、月1ペースでのイベント出展に申し込みしました。
そして年明け早々の感染爆発で出鼻をくじかれましたが、1〜3月と、毎月のイベント出展を続けています。

オシッコとウンチの話ばかりのベストフレンド・パグ助しか日中は生物との接点がない私にとって、イベント出展はたくさんの人に出会え、生理現象以外の会話ができる貴重な機会。むろん毎回ワックワクで出かけるのですが、

先日奥様から、
「一回の遠征でいくらかかるの?」

と聞かれ、そういや昨年まで県外のイベント遠征は大阪に2回出展しただけで、ざっくりとしかお金の計算をしていなかったことに気づきました。

ブランドのPRが目的で採算は度外視だい☆

と考えている節もありますが、今回はそんなイベント出展の目的と遠征費用、費用対効果についてまとめてみます。


イベント出展(遠征)にかかるお金

毎日自宅へ帰れる県内のイベント出展と違う、宿泊が必要な県外でのイベント出展時における遠征費をまとめてみました。
なお県外イベントの際は、ペットホテルに預けると数日テンションが激落ちするパグ助の面倒を見てもらわなくてはいけないため、奥様はお留守番、旦那が一人で赴きます。以下は一人分の遠征費です。

2022年1月/東京/ハンドメイドインジャパンフェス冬

・出展料/36,000円(二日間)
・駐車料金/4,000円
・宿泊費/17,730円(2泊3日:前日入りのため2泊)
・高速代/11,200円(往復)
・ガソリン代/6,820円(往復:片道350km/L17km計算)
・オプション/5,600円(テーブルレンタル)
・食費雑費/12,000円(1日4,000円)
 計/93,350円

2022年3月/大阪/アート&てづくりバザール Vol.39

・出展料/29,000円(三日間)
・駐車料金/3,600円
・宿泊費/13,770円(3泊4日:前日搬入のため3泊)
・高速代/9,230円(往復)
・ガソリン代/4,000円(往復:片道200km/L17km計算)
・オプション/なし(組み立て式机持参)
・食費雑費/16,000円(1日4,000円)
 計/75,600円

>移動費(高速代、ガソリン代、駐車料金)
ブースや備品の他、立体作品を一度に200点ほど持っていくとなると配送では高くつくため、イベントへは毎回自家用車(軽1BOX)で行きます。関西、関東方面へも遠征しやすいのは愛知県に住んでいる強みだな、と思ったのですが、大型イベントが多く人も集まる東京在住ハンドメイド作家が結局最強でした…。
>出展料、宿泊費
大阪に比べるとやはり東京は高めです。大阪は生まれ故郷のため土地勘があり会場から離れたところでも宿泊できます。しかし東京は別名「凍狂」と呼ばれるおそがい土地だと考えている田舎者のため、会場(ビッグサイト)近くに宿泊し、凍狂の脅威を避けて会場とホテルの往復だけしてました。探せばもっと安いところもあるのですが、寝る場所はお金をかけたいところです…。
>食費雑費
寝る場所ともう一つお金をかけたいのが食費。コロナ禍で外食はできませんでしたが、コンビニで豪勢な大人買いをして「うわあ なんだか凄いことになっちゃったぞ」とホテルで一人五郎ちゃんごっこをしていたので、高くついてしまった気がします。

食費と宿泊費を削ればもう少し費用は抑えられそうですが、とにかく意外とお金がかかっているんだな、というのが第一印象でした。


通販の時と比べた利益

Xを使って求めないで…!

幸いお客様に恵まれて東京でも大阪でも遠征費以上の黒字を出すことができましたが、果たして遠征費に見合う黒字となったのかどうか。
もしもイベント出展で販売した分(販売合計金額)を仮に全て通販で販売した場合どれくらいの差額が出るのでしょうか。

minneで通販した際の手数料は売り上げの10%のため、その差額は、
通販(販売合計金額×90%)ーイベント出展(販売合計金額ー遠征費)
となります。

東京は緊急事態宣言真っ只中で来場者数が激減していたため、比較的来場者が戻ってきた大阪のイベントの方で上記計算をすると、その差額は「35,600円」でした。つまり仮に通販で同量を販売していれば、35,600円「得」していたことになります。わざわざ時間と労力をかけて「損」までするイベントに出展する価値とは何でしょうか。

イベント出展に価値を模索する

イベント出展に価値を見出すためには、
イベント出展の目的を明確化するとともに、売り上げ以外に35,600円分以上の価値を可視化する、ということがポイントとなりそうです。


イベント出展の目的

まずminimumsにとってイベント出展には大きな目的が2つあります。

不特定多数の人を相手にブランドをPR

大前提としてまずハンドメイドに興味があり、且つ購買意欲に燃えた人たち万単位で集まる状況はイベント出展ならでは。お互い前向きにコミュニケーションを取ろうと考えているため、作品のPRがしやすいことも特徴です。こと関西地方出展に関して言えば、同じ関西人同士コミュニケーションも取りやすく、勢い任せでご購入いただくことも多々あります。

新たなファンの獲得

これまで自分たちのことを知らなかった人にもたくさん出会えるため、新たなファン獲得のきっかけにもなります。永くファンでいてくれる方ももちろんいますが、多くのファンは年々入れ替わっていくので、定期的な出展によるブランドアピールは必要不可欠です。

イベント出展とファンの広がりは実に様々で、
・イベントで買ってファンになり、次出展時も来てくれる
・イベントでは買わなかったけど、気になって後日通販で購入してくれる
・購入者がSNS等で戦利品を紹介して、そのフォロワーや第三者に広げてくれる

等々、ファンから熱烈ファンに展開したり、一人のファンから偶発的に多くのファンを獲得できたりと、たくさんのミラクルが起こります。
この辺りの「ミラクル」「偶発的な何か」は、ハンドメイドを続けるモチベーションにもなっています。


イベント出展の売り上げ以外の価値

上記の目的は以前から明確に自分たちの中にありましたが、ではイベント出展には売り上げ以外にどのような価値があるのか

SNSやminneにおける反応

数字的な価値でいうと、イベント出展後にはtwitter、instagramでのフォロワー数と、イベント時関連ツイートのいいね&リツイート数、またminneでの作品へのお気に入り数やフォロワー数が増加しました。平常時に比べてそれぞれ2倍ほど高い増加率となっており、認知度の向上と購入へのきっかけづくりとしては大きな成果がありました。

minneへの誘導

SNSやminneでのフォロワー数が増えたことにより、イベント後は通販での購入数も増えました(この時点で35,600円以上の売り上げを出せれば、既に価値ありということですね)。イベント後に名刺などからSNSやminneにアクセスして購入してくれているようです。名刺はたくさん刷ってたくさん配るに限ります。

★そもそも購入するはずのない人への販売

不特定多数の人が来場するイベントでは、そもそもminimumsを知らなかった人と会場で出会い、通販でも購入するはずがなかった人にも購入してもらえることができます。
先ほど「もしもイベント出展で販売した分を全て通販で販売していたら」と書きました。ではイベント出展せず部屋で寝っ転がっていても同額通販で売り上げることができたか、というとそれは否で、あくまでイベントに出展し、この「minimumsを知らない人」にご購入いただけたからこそ実現できた売り上げ額でもあります。

また、イベント会場でよく「minneでいつも見てて、気になって実物見にきました!」とお声がけいただくことがあり、やはり実物を見た上で購入したいという層も一定数以上います。一方minneでは「イベント会場で見て気になって購入or追加購入しました!」というメッセージも多々いただきます。このように通販、イベント出展の双方にメリットが生まれることは、出展したからこそ起こり得る展開ですね。


通販とイベント出展のバランスを考える

年間のトータル収支からの観点

今回の東京、大阪では結果的には通販の方が利益率は高いですが、年間のトータル収支では通販のみでなくイベント出展との二刀流の方が販売数も増えるため、年間の売上額は当然増加します。これも全て冒頭に書いたようにお手伝いさんが量産を手伝ってくれているおかげではありますが、今のminimumsの量産能力を考慮しても月1、少なくとも隔月でのイベント出展も無理なく行えそうです。

ではイベントでいくら売れば通販以上の利益率になるのか

通販(販売合計金額×90%)ーイベント出展(販売合計金額ー遠征費)
先ほど出したこちらの計算式ですが、
仮に今回の大阪での売り上げが2倍に増えれば、差額は逆転し、イベント出展のほうが「得」する結果となります。イベントに重点を置くならば、ブース数と作品数、販売員数を増やしてみるのも手ですね。
地元愛知県のイベントに力を入れているのは、多くの作品を持ち込め、且つ奥さんも販売員として参加できるという強みがあるため、出展料などを差し引いても通販より高い利益率になるためです。

作家さんの中には通販よりもイベント出展を中心に活動し、全国を行脚しながら生計を立てている方もたくさんいます。特に実物を見ないと魅力が伝えきれない、大きめの立体作品をつくる方に多い印象です。

通販にも力を入れつつ、イベント出展とのバランスは今後も継続して考えていきたいです。


総括

イベント出展では、売り上げを出せば出すほど通販との差額が減るので、あくまでブランドPRが目的で売れなくても良い、ではなくて、イベントに出展する以上は手を抜かずしっかりと作品を用意して全力で取り組むことが重要だと再認識しました。

また、イベント通販のみではなくイベント出展も合わせてした方がイノシン酸の如く相乗効果があり、価値があると実感することができました。


最後に、

余談なのか蛇足なのか分かりませんが、ここ数年「イベント出展卒業」という言葉を作家間で耳にするようになりました。

初めて聞いた時は「へ?なんで?」と思いましたが、ある程度の知名度を得たら、時間と労力のかかるイベント出展及び量産地獄は卒業して、自分のペースでできる通販を中心に活動していくということだそうで。あなたも月10万稼ぐハンドメイド作家になれる!的な情報商材販売へとステップアップするような成功例もあるそうです…。

成功には色々なカタチがありますが、私が会場でお会いするベテラン作家さん達は、イベント出展に価値を見出すだけでなく、何よりもイベント自体を楽しんでいます。私も学生時代から15年ほどイベント出展を続けていますが、未だに何日も前から当日のことを想像し、ワクワクしてしまいます。

いつかminimumsがベテランの域に達しても、楽しさを忘れずにイベント出展を続けていきたいと思います。

継続は…力なり…っ!

今後の出展イベント情報

Handmade MAKERS' 2022/minne選抜ブース

開催日時:2022年4月27日(水)28日(木)29日(金・祝)10時~17時
(入場者数制限でチケット種別により入場可能時刻が異なります。)
会場:東京ビッグサイト東ホール
ブース番号:minne-02
同時開催:第46回2022日本ホビーショー


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