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トラペジウムというヤバ作品見ました?

少し前にトラペジウムというアニメ映画の大批判ツイートがTLに流れてきました。

見に行きたいと思っていた矢先のことだったので、「ネタバレ踏んじゃった最悪だ……」と思うと同時に、「アイドルの書いた作品だしやっぱりクオリティ低いのかな……」なんてことも思ってしまった。

んで、実際に興味てきた訳ですけど。


なんというか……。


全然ちゃんとしてるじゃん……。


正直最初の方はずっと不安だった。具体的には前半三分の二くらいは。

なんせ、例の批判ツイートそのままのことが起きていたから。

このまま終わったら世紀のサイコパス駄作だぞ……。
なんて不安に思ってたら最終盤に来て全てを颯爽と回収していく展開。

正直、その時点までに抱いていた不満点がことごとく解消されていって、振り上げたこぶしを気まずい感じで下げることしかできなかった。

すまない、高山一実さん。あんたすげえよ。

やっぱり、作品は何の情報もない状態で見たいですね。じゃないと、初見の感想が歪んでしまう。

トラペジウムが好き嫌い分かれる作品であろうことは間違いないけど、見当違いな批判をしている人はちゃんと作品を見て自分の言葉で語ってほしいです。本当に。

あのツイートのせいで見に行かなかった人結構いるんじゃないの?




以下ネタバレあり。出来れば劇場で見て欲しいです。




まず、最後まで見終わって驚くのが作品全体の構成。

前半三分の二くらいを実質フリに使うのはあまりにも攻めすぎている。

この問題の前半パートなんですけど、終始主人公のクズさが目に余る。登場人物の中で主人公だけが性格が悪い。

作中に発生する色々な問題は基本的に主人公が原因で、なのにとんとん拍子で物事が進んでいって、主人公は特にお咎めなし。挫折もなし。


今度こそ、主人公が痛い目を見て挫折するパートが来るはずだ……。と期待してもことごとく裏切られる。

そんな気持ちのまま、ついには、ライブシーンまで始まっちゃう。

「一人じゃない。仲間がいる」的な歌詞を歌っているのに、その張本人が「打算でメンバーをかき集めた、いまだに本心をメンバーに明かしてないやつ」なんだから怖すぎる。

見ていて、不安なんてもんじゃないよ。主人公の邪悪さに全然フォーカスされないまま、主人公の夢が叶っていってるんだから。

とまあ、新手のサイコパスホラーかよ、という気持ちで物語は終盤へ。

このまま終わったらツイッターでこき下ろしてやる!(実際はしないけど……)くらいの勢いでいたら、ここに来てようやく主人公に試練が訪れる。

試練というか、完全に自業自得で、これまでの計画が全部ぶっ壊れる。

正直、私はここで安心してしまった。
「良かった、作者は異常者じゃなかった」という安心。

全てを失った主人公の自省によって「主人公の性格の悪さ」というここまで約1時間ほど視聴者の抱き続けたヘイトが解放される。


ちなみに、ここまで完全に被害者だったアイドルグループのメンバー。言ってしまえば主人公の打算によって半ば騙される形で引き合わされてるわけですから、ブチギレて当然。

なんだけど、メンバーたちもこれまで友人がいなかった人たちで、結果的には友情をはぐくむことが出来た。(動機こそ不純であれ)

物語は8年後(小説版参照)、かつての自分たちを振り返るシーンで幕を閉じる。

そして、この瞬間気づく。

この作品はかつての自分を振り返る物語だったのか……。


あまりに愚かであまりに未熟な、見ている人をイライラさせてしまうような高校生。

夢に向かって異常なまでの行動力を見せた彼女は最終的に夢を現実にした。

きっかけは何であれ、偶然引き合わされた彼女たちの友情もまた一生ものとなった。

いやぁ、この作品変だよ。

なんか王道青春ものみたいな読後感になってるけど、それまでの過程であんなにイライラしてたじゃんか。前半鑑賞してるときの自分!


ごめん。なんかディスっぽい感じになってるけど、いい作品なのは間違いないです。

それもこれも、あの批判ツイートのせいだ!(責任転嫁)

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