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なかなかし夜をひとりかも寝む

風邪が治らない。

かれこれ一週間以上風邪の症状に悩まされている。特に喉の調子が悪く、ここ数日まともに声がでなかった。あまりにも長引くものだから、昨日などは思い切って会社を休み、一日中ごろごろしていたほどだ。

風邪などというものは、はじめの症状さえうまく押さえてしまえば2~3日で治るものだとばかり思っていた。おおよそ私の風邪のパターンというのは、頭痛か喉の痛みだから、それを察知した段階ですぐに栄養ドリンクとビタミン剤、生姜などを摂取し極力たくさん眠る。そうすれば大抵翌日か翌々日には治る。……これまでは治っていた。
だが今回はそれでは全く治らず、声が出ない状態までになってしまった。子供の頃は「風邪を引くと声が出なくなるなんてことあるのか…?」と訝しんでいたが、うん、風邪で声は出なくなるようだ。これはこれで面白いのだけれど、とても不便だった。

風邪を引くと、ひとりであることを強く実感する。
親兄弟も恋人も近くにはおらず、友人にも気軽には頼れない。おかゆやうどんを作るのも自分だし、食べるのも自分。体調が悪いからといって家事をさぼり続けると、あとから結局自分でしなければならない。

元気なときはひとり暮らしは気楽で自由で楽しいものだが、こういうときはやや心細い。


先日の台風19号のときもそうだった。
普段台風なんかはあまり気にしないのだが、さすがにあのときは怖かった。台風がくる前は「引きこもって読書三昧しよう」などと悠長なことを言っていたのだが、実際その時になってみると外の音とテレビから流れるニュースにすっかりおびえてしまい、昼寝すらできなかった始末である。心を落ち着けるためにTwitterを覗くと、同居人がいる人々はなにやら楽しそうで、よりひとりを痛感したのだった。
ドラマ「最高の離婚」では震災時に出会った二人が結婚し(そして離婚し)ており、いやいやそんなことはさすがにないでしょ…と思っていたのだが、台風のときに「いや、あれは結婚するわ」とようやく、はっきりと、わかってしまった。
家族をつくるということはこういうことなのかもしれない。


とまあ、こういう文章を書けるほどに回復してきたわけだが、この風邪の長期化は明らかに日頃のお粗末な食と長時間労働による疲労の蓄積が原因であろう。仕事は繁忙期のためどうしようもないが、食生活は大いに改善の余地がある。自分ひとりのためにする料理が嫌で嫌で仕方がないが、なんとかすべきか……。

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