大阪大学大学院(比較文学) 受験体験記

1.はじめに

タイトルの通り、私は今年大阪大学大学院人文学専攻を外部の大学から受験し、合格しました。大学院入試は大学入試に比べて非常に情報を入手するのが難しく、さらに文系、さらに外部からの受験となると本当に情報が少ないので、これから大学院を受験する人たちの一助になればと思い、noteに自分が合格するまでをまとめてみることにしました。

2.自己紹介

私は都内の国立女子大学に通っている大学4年生です。大学院での専門は比較文学になりますが、大学では英米文学を専攻していました。しかし、小学生の頃から漠然と翻訳に興味があり、大学でも日本文学コースの授業を積極的に受講していたので、めちゃくちゃ英米文学が好き!というわけでもありません。

私はこのように大学院で専攻を変えていますが、比較文学にたどり着くまでにも結構紆余曲折ありました。第一志望を決めたのも、大学院受験をされる方の中でも割と遅い方だったと思います。

3.専攻を決めるまで

私が実際に比較文学を勉強しよう!と決意したのは、3年の後期に卒論の練習のような感じでミニ卒論を書く授業を受けてからです。そこで実際に卒論(もどき)を書いてみて自分の方向性が決まりました。大学院は大学に比べて細かく専門が分かれていたり、同じような名前の専攻でも教授によって微妙に研究の方向性が違ったりするので、大学院に行きたいと思っているけれども、どこのコースがいいのかわからないという方も多いと思いますが、そういう人は実際に卒論や大学院で自分が何をしたいのか具体的に考えて一回自分なりに形にしてみると、方向性が決まりやすいと思います。あとそれを教授に見てもらうと「あなたの関心は〜の方にあるね」と自分が気づかなかった関心の所在や、知らなかった学問領域などを教えてくださると思います。

先述したように、私は「翻訳」について勉強したいなーという漠然とした考えを割と幼い時から持っていましたが、一口に「翻訳」を学ぶと言っても様々なアプローチがあります。例えば、将来通訳や翻訳家としてバリバリ働きたいという方や、「翻訳」という行為そのものを研究したいという方では、翻訳の方法そのものを学んだり、翻訳の理論を学んだりする必要があると思います。こちらは、どちらかというと言語学的なアプローチで翻訳を研究することが多いです。その一方で、文学作品が「翻訳」されることでどういった影響があるのか?どう海外で受容され、研究されているのか?といったことに興味があれば、それは比較文学的なアプローチを取ることになります。

私は英米「文学」コースに所属していたこともあり、どちらかというと比較文学的なアプローチで翻訳について研究したいなと考えていたので、後者の比較文学についてきちんと勉強ができる大学院を受験しようと考えました。

4.受験校を決めるまで


受験校を決定するまでには、本当にゼミの教授にたくさんお世話になりました。ゼミの教授に自分の関心や大学院に行ってやりたい研究などについて話したところ、複数の大学院の専攻について教えてくださいました。私は本当に受験校を決定するのが遅く、第一志望を決めたのは4年の7月くらいです。(本当はもっと早く決めた方がいいと思います。)それまでには3つほどの大学院を視野に入れて勉強していました。

文系の大学院入試は基本的に10,11月や東大などは2月だったりして遅いので、卒論と受験勉強が同時進行になります。一見大変そうには見えますが、その一方で卒論を書いていて自分の研究の方向がかなり具体的になっているので、より自分に合った研究室・専攻を直前まで吟味できるという良さはあると思います。私も卒論を書きながら自分の研究の軌道を設計しつつ、今の自分の関心に一番近い大阪大学の大学院を受けることにしました。その際には、そのコースに所属する教授がどのような研究をされているのかきちんと見たほうがいいと思います。私は大学院で日本文学の英語圏における受容を研究しようと思っていたので、日英(米)の近現代文学を専門に研究している先生方がいらっしゃるところを受けようと決めました。

受験する前には教授にアポをとり、zoomで面談をしていただき自分の研究内容が研究室とずれていないかを確認してもらいました。もちろん事前に研究室訪問をしなくても受験することは可能ですし、それで合格をいただいた大学院もありましたが、せっかく入学して「思ってたのと違う」というふうになるのは本当に悲惨なので、特に外部の大学院から入試を受けようと思っている方は、きちんと受けようとしている研究室の教授に連絡をとったほうがいいと思います。

5.受験勉強

私は2校の大学院を受験しました。(どちらも外部受験)両方とも基礎試験と専門試験があり、基礎試験は英語、そして専門試験はその専攻に関する知識を問うものでした。私が勉強を始めたのが3年の2月くらいで、少し遅めだと思います。

英語に関しては、Z会の大学院入試講座の英語を受講していました。こちらは文理関係なく全ての分野の受験生を対象にしたものだったので、英文のテーマが経済や環境、医療などあまり文学には関係のないものが多く、院試の実践的な対策にはあまりなりませんでしたが、他者に細かく添削していただけるので非常に勉強になりました。

実際に文系大学院の入試(特に人文学系)に出そうな英文が多く載っている参考書としては、『詳解 大学院の英語』を重宝していました。こちらの参考書は人文学系の大学院の入試に出そうな哲学や言語学、芸術学などの英文が豊富にあり、和訳の解答例は少しクセがありますが、解説も細かくて非常にわかりやすいです。特に、英文和訳の問題だけでなく説明問題などの実践的な問題演習ができるところも良かったです。

また、単語帳などは購入せず、とにかく入試で出そうなテーマ・トピックの英文をたくさん読み、その都度出てきた単語を覚えるようにしていました。卒論執筆の際に英語文献をきちんと読み込むのも勉強になりますし、東大大学院は過去の入試問題を購入することができたので、購入して自分と近い専攻の入試問題を解いたり、問題文を読んだりしていました。

大阪大学は英文和訳に加えて英作文の問題があったのですが、これは大阪大学の大学入試の英作文の問題で練習しました。大学入試の方が解答例もすぐ見つかりますし、実際問題も学部入試のレベルとそれほど大差なかったです。

専門試験の対策については、私は大学院で専攻を変えているために大学では学んでいないような知識を問う問題が結構バンバン出ていたので、まずは入試問題を見て傾向を把握し、なんの勉強をすれば専門試験が解けるようになるのか考えました。基礎知識については教授が出版している一般書を入手して勉強しました。一般書であれば、あまり詳しくない人が読んでもわかりやすいように書かれているので入門書として最適だと思います。

また、その教授が学部の授業や大学院の授業で使用している教科書を調べてみたり、「専門 教科書」で探してみるのもいいと思います。(例えば私なら「比較文学 教科書」)全てを網羅するのは非常に難しいので、効率よく知識を得るためにもまずは実際の入試問題を見てどのような分野から出題される傾向があるのかを把握し、それに沿った勉強をするのが良いと思います。基本的に教授の専門や研究内容に沿ったテーマが出題されることが多いので、教授の論文を読むというのも手だと思います。

6.最後に

ここまで自分の院試体験について振り返ってみましたが、もちろん成功したことだけでなく、失敗もたくさんありました。それについてもまた書けるといいなと思います。院試は情報戦と言いますが、一番は自分の研究したいことをきちんと具体的にしておくことが大事だと思います。文系は特に院試の時期が遅くて、周りはみんな就活も院試も終わってるのに孤独な戦いになり、私自身も結構鬱になりましたが、きちんと対策すれば難しい試験ではないです。このnoteが誰かのお役に立てれば非常に幸いです。

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