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Panasonic LEICA DG SUMMILUX 9mm/F1.7 ASPH.レビュー

はじめに - 散財に纏わる言い訳から

誰ですか、僕に「マイクロフォーサーズの単焦点レンズは粒揃いだ」と唆したのは。誰ですか、「ズームレンズの欠点を補うには明るいプライムレンズがいい」と耳打ちしたのは。誰ですか、「レンズは資産だ」という最もらしい誘惑をしてきたのは。

はい、そうです。単焦点レンズを買いました。今回購入したのはパナソニックが出している通称パナライカの超広角レンズ9mm/F1.7です。

このレンズを購入するにあたり、本来はE-M1 Mark3と一緒に購入したOlympus 12-40mm/F2.8だけのセットアップで今後も運用して行こうと考えていたのですが、何せF2.8ではノイズが目立ちます。こりゃ使えねーと思って試行錯誤をしていたら、使い方や使う場面によってはマイクロフォーサーズでもほぼ問題ないことがわかり出し、そこから「マイクロフォーサーズっておもろい」という感想に変わりました。どうも今まで購入したカメラのように秒速で売り払うということはこのカメラでは今の所起きそうにもないし、だったら子供の室内写真用に単焦点レンズを一本買ってシステムを豊かなものにしてもよくね?と決めたわけです。


どうして9mm/F1.7?

僕は今まで常用するレンズは35mmであることがほとんどでした。 50mmも試しましたがどうも画角が狭く、僕の肉眼で見ている景色とはやや違うという印象が拭えませんでした。一方、24mm相当を12-40mm/F2.8で得られて以来、広角の見え方が気にいるようになりました。そもそも漠然と広い景色の中にポツンと被写体がある風景の方が僕の撮影スタイルに合っているのだと思います。そこで12mmよりもさらに広角な9mmを検討しはじめました。F1.2やF1.4ほどのレンズだとサイズがデカく、マイクロフォーサーズの良さを殺してしまいます。また、未だに僕はマイクロフォーサーズにとろけるようなボケは出せないのではないかという疑念がありますし、そもそもそんな写真は僕は撮らないので、F1.7より明るいレンズは不要だという結論に至りました。餅は餅屋、です。ボカしたいならフルサイズでいいじゃん、って。

F5.6 1/1000 ISO100
換算18mmはこういうダイナミックな風景写真にピッタリ

パナライカというブランド

僕はライカM (typ240)を所有しているのですが、ライカのレンズが吐き出す色に魅了された者の一人です。流石に高価なものが多いので保有レンズ数は3本に止まります(うち1本はサードパーティーOEM品)。ライカの色が本当にパナライカで出せるのか?という点に興味があったこと、あと9mm周辺の画角帯で魅力的な小型レンズの選択肢が他になかった(特にオリンパスのレンズラインナップにはなかった)ことが今回の購入に至った理由です。

じゃあ結局どうなの?

軽さは正義。小ささは正義。とまでは言い切りませんが、確かに小さくて重宝しています。室内での子供写真撮影の際は広角であっても子供に近づいて撮れば良いですし、F1.7の明るさであればシャッタースピード1/125を最低速度にしてISOオートで撮影してもなんとか1600-3200程度で収まることが多く、ノイズもそれほど目立ちません。開放からなかなかシャープな描写をしてくれますし、逆光耐性が強いようです(ただ、僅かながらゴーストが出ることがあります)。パープルフリンジなどはでないので、12-40mm/F2.8よりは流石に新しい設計のレンズなんだと納得します。ライカらしいかと聞かれれば「それほどでも」というのが個人的な感想です。少なくともぱっと見でライカの基準で作ったレンズで撮った写真だとは僕には思えません。ただ、暗部の描写と現像時にシャドーを持ち上げた時の色の表現性は本家ライカのそれに近いものを感じました。

F8.0 1/125 ISO200
さすがに光源が真正面にあると紫のゴーストが少し出ましたが、優秀なほうではないでしょうか。

なんだかな〜?という点

プラ製でとにかくちゃっちい鏡筒デザインはライカの銘を冠するレンズとしてはかなりがっかりさせられる点の一つに挙げざるをえません。しかしながら、デザインやレンズフード、フォーカスリングの適度なトルク感は悪くないじゃんと思ってしまいます。オリンパスのPROレンズのような防塵防滴性能は期待できそうにないですし、あとMF/AF切り替えがレンズ側でできないのは不便です。

潔いデザイン。プラ感半端ないけど。フードのタイトな取り付け感は好き。

まとめ

このレンズを購入して2週間ほど徹底的に使ってみましたが、このレンズを選んで間違いなかったと思っています。安い、小さい、描写力高い、超広角が使いやすい、ライカっぽい、という感じで明らかに良い点の方が悪い点を上回っています。このレンズのおかげで明るさと広さの両方を得ることができ、マイクロフォーサーズのシステムではこれ以上はレンズは必要ないと今の僕に思わせてくれただけでも買ってよかったです。これと合わせるのならサイズも考えて12-45mm/F4レンズの方が互いの利点を伸ばし合いながら欠点を補えるベストマッチだと思います。もし今後またマイクロフォーサーズ機を導入することがあれば12-45mm/F4レンズのキットを購入してもいいなと思うようになりましたが、わざわざレンズのみを買って12-40mm/F2.8と取り替えるというのはコスト的メリットがないと考えています。アルパイン山岳登山くらい過酷なスポーツにもち出すために1グラムでも軽く、1mmでも小さいシステムが必要っていうなら話は別ですけどね。

小さくてかっこいい。マイクロフォーサーズならではのサイズ感で使い回しが超楽。

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