「デンマーク幻想」私見
わけあってデンマークに来ています。
先週オーストラリアからイギリスに帰って来たばかりなんですが。
旅行自慢では決してなく、海外旅行ブログに方向転換したわけでもありません。できることなら自宅か研究室にこもっていたいんですよ。私、筋金入りのイン・ドア派ですから。
そもそも、夏真っ盛り(気温30度)のオーストラリアから、寒波に見舞われているイギリス(氷点下)に帰ってくるだけでもうんざりなのに、そこからすぐデンマークってどゆこと?
私の人生、なにが起こっているんでしょうか。
そして、デンマークの気候って、通常イギリスよりも寒いときている。
えー、そんなのいやいやいや。
ゴネ倒しながらひとり飛行機に乗り、コペンハーゲンに着いたのはおとついの午後6時。当然暗いし寒いしお腹もすいてるし、その上、デンマーク語が読めない・発音できないので、軽くイラっとしたりで、わずか2泊3日の滞在にも関わらず、サバイブする自信がない。
ネガティブな気分になったせいか、デンマークの第一印象は最悪です。
空港から首都コペンハーゲンの中央駅までは、メトロでなんとかスムーズに着きました。で、そこからホテルまではバスに乗れ、と言うグーグル御大の指示に従ってバス停に向かったんですが。
… え?、グーグル・マップの表示にでてるバス番号なんか走ってないし?
しかたないんで、たまたまそばにいた高須克弥似のおばさん(注:デンマーク人)に道を尋ねることに。
高須医師似のデンマーク人おばさん: 「その番号はいま走ってないわよ、ルート変更中で。あなた、どこ行くの? あ、それなら私のいく方角だからついてきて」
言われるまま、来たバスに乗り込みましたが、どこで降りたらいいんだろう。。。
と、不安な思いにふけるのもつかの間、この高須医師もどきのデニッシュおばさんから、「どこのホテル?住所知ってる?ホテル名は?」と矢継ぎ早の質問。
英語で喋ってくれるのはありがたいんですが、この人やたらと声がでかい。
目の前に立っている私に大声で話しかけるんで、他の乗客の注目を一斉に浴びるはめに。
ただ、びっくりしたのは、私とそのおばさんの会話を耳にした他の乗客たちも、私を手助けしようとしてくれたことです。
「そのホテルは次のバス停よ!」、「あ、着いた。ここよ、ここでおりて!」、「君のホテルはそこの角にあるカフェの向こうにあるぞー」、というありがたい声を背後にあびつつ下車し、無事にホテルにたどりつきました。
なんだか、みんなすごく親切。デンマークって移民に厳しいから、外国人に対して冷たいのかと思ってました。
デンマークは本当に幸せな国なのか
日本だけでなくイギリスでも、「デンマーク=幸福な国」という幻想はけっこう根強いです。これはデンマーク政府が派手に宣伝しているせいもあります。
もっとも、デンマークは統計上、国連の幸福度調査でつねに上位にランクされているので、あながち間違いではありません。でも、このランキングってどうなんでしょうね。
幸せかどうかなんて主観の問題ですから、国連の「ウケ狙い」統計レポート(結構多い)は、あてになりません。統計分析の切り口としてはおもしろいですが。
この幸福度レポートには、「社会的支援」とか「汚職の少なさ」とかいろいろ項目がありますが、とどのつまりが社会経済の安定性とクリーンさ(ハード・ソフトの両面)が決め手な気がします。
あとは、「足るを知る」ということじゃないでしょうか。
この、「足るを知る」という気持ちを持てるかどうかで、個人の幸福度は大きく違ってきます。
ささいなことに感謝できると幸せになれる
それはさておき、コペンハーゲンでの用事もとどこおりなく済みました。
現地の大学のデンマーク人教授いわく、「明日は市内観光でもしたら?コペンハーゲンは小さいから、半日もあれば徒歩でおおかた観て回れるよ。」
いやです、このくそ寒いのに。
とは言ったものの、時間が余ったので、結局、勧められたとおり市内観光へ。
コペンハーゲンの街はいま、クリスマス一色です。
オーストラリアでもクリスマスの装飾はありましたが、情緒に欠けるというか、クリスマスと言うよりも、なんか七夕みたいでした。
一歩外に出れば日射病の恐れがあるブリスベンのショッピング・モールで「ホワイト・クリスマス」の曲が流れているにいたっては、場違いすぎて、ふざけてんの、あんたら?とツッコミたくなったこと思えば、コペンハーゲンはクリスマス・ムードにおいては圧倒的にまさっています。(寒いけど)
そうこうしているうちに、お日様も照ってきました。なんか嬉しい…。
そして、日が暮れれば暮れたで、ライトアップが美しい。
けっこうハッピーかもしれない。
不覚にも、そう感じた次第です。