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私が最も尊敬する専業主婦

なんだかんだで忙しく、今年は日本へ帰省できそうにないなぁ、と思っていたところへ、実家の姉からメールがありました。

昨年に他界した父の一周忌は、無事にすんだので気にせずともよい、とのこと。

この姉は私より4つ年上なんですが、段取りつけさせたら右に出る者はいないんじゃないかというくらいの人です。

身内の私が言うのもなんですが、彼女は昔から「頭脳明晰、スポーツ万能、容姿端麗」すべてを兼ねそろえた人材との誉れも高く、なにかにつけて優秀でした。

そんな優秀な人がいま何をしているか、というと、「専業主婦」。

姉が4年制大学を卒業して会社勤めを始めたのは、男女雇用機会均等法が施行された年です。でも、当時の「男女の均等取り扱い」なんてものは絵に描いた餅に等しく、姉は25歳で、同じ会社の先輩と結婚して、あっさり寿退社しました。

ただですね、どんな分野の職業人でもピンからキリまであるように、主婦業においても、それに長けている人とそうでない人がいるんじゃないでしょうか。その点、私の姉は、プロフェッショナルな主婦です。

重要なのは、「コミットしているか」

姉は、いわば、「専業主婦を仕事として選んだ」ひとなので、取り組み方がはんぱないです。コミットメントの度合いが労働の価値を上げる、というのを実証している感じです。

姉は子供が3人います。子供といっても、一番上の子供は今年、有名国立大学を卒業して一流企業に就職し、下の二人は、大学生と高校生です。(で、みんな良くできた子たちなんだわ、これがまた)

それだけでも称賛に価するんですが、なにがすごいかというと、姉は、うちの年寄りを一手に引き受けて面倒を見ています。

去年までは、彼女ひとりで4人の老人の世話をしてました。この4人の老人というのは、私達の父・母、叔母(私達の母の妹)、そして姑(姉の旦那の母)です。

私達の父が他界して、今は老人3人になりましたが、この3人の老婆(全員80歳を越してる)の老いが一気にすすんで、今のほうが世話が大変らしいです。

もっとも、全員を自宅介護しているわけではありません。姉夫婦は、比較的元気な叔母と同居してくれていますが、母は姉の家と施設をいったりきたり、お姑さんはずっと老人ホームです。

ともあれ、私が海外生活を続けてこれたのは、この姉が実家の切り盛りをしてくれているからこそです。

そして、私が姉をもっとも尊敬する点は、彼女はグチめいたことを言わないところです。

彼女の大変さを考えると、私に対して、「あんたは外国で好きなことしていいよねぇ」みたいな皮肉のひとつも言ってよさそうなものですが、姉はそんなことは一切言いません。

その代わり、私の弱音も受け付けませんが。当たり前です。

いつだったか帰省した時に、私が、「最近、仕事でのストレスとプレッシャーが多くて…」と、もらしたところ、「ストレスとプレッシャーは、どんな仕事にでもある」と一蹴されました。

実際、姉の言う通りなわけで、それを短刀直入に言ってくれたことに感謝しています。そもそも、自分で選んだ道ですから。

仕事の種類は違えど、自分が選んだ仕事に専心する人が身内にいることほど励みになることはありません。

こういう人が姉で良かったな、とつくづく思います。