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ツナ缶には注意

ツナ缶などの魚の缶詰は、手軽にたんぱく質をとれるので、一般家庭はもちろん、糖質制限派にも筋トレ派にも重宝されていますね。

私も好きでした。というか、もともと私は何でもよく食べるほうで、好き嫌いはありませんでした。今はほとんど植物由来の食生活ですが。

そうなった経緯には、(a) いろいろ調べるうちに、「これはアカンやろ」という結論に至ってやめたもの(赤肉とか乳製品とか)と、(b) 好物だったけれども体調が悪くなるので食べるのをやめたもの、とがあります。

後者の「体調が悪くなるのでやめた(または減らした)もの」のうちの一つが魚の「缶詰」です。

魚の缶詰(とくにツナ缶)で具合が悪くなる症例は、日本だけでなく海外でもけっこう報告されています。

ツナ缶の何が悪いのか

ツナ缶が魚の缶詰のなかでもっとも消費量が高いので、とりあえずツナ缶を中心に書きますが、厳密には、「ツナ缶が悪い」と書くと、やや語弊があります。

というのも、問題の原因がツナである場合、魚全般である場合、あるいはそれ以外、と様々だからです。

(1) ヒスタミンによる一過性の食中毒

ツナ缶で具合が悪くなる原因として、たぶん一番多いであろうと思われるものは、ヒスタミン食中毒です。

症状としては、口の中や周りがチクチクしびれたり、かゆくなったりします。顔の腫れや発疹を伴うこともあるそうです。

ヒスタミン食中毒は、日本でもわりとひんぱんに発生しています。魚に含まれるアミノ酸がヒスタミンという中毒物質に変化しておこります。

缶詰だけでなく、普通に加熱調理した魚でもヒスタミン食中毒は起こります。加熱してもヒスタミンは死滅しないので、魚を買ってきたら保存に気を付ける必要があります。

缶詰の場合は、加工段階でヒスタミンが発生している可能性が高いので、これはもう、「あ、あたった」とあきらめるしかなさそうです。

ヒスタミン食中毒の症状はアレルギー症状によく似ていますが、アレルギーではありません。一過性の食中毒なので、ふつうは一日で治ります。

(2) 魚アレルギー

ヒスタミン食中毒が一過性であるのに対して、魚アレルギーは、魚を食べるたびに、また、ツナだけでなく他の種類の魚を食べても発症することが多いです。

ちなみにイギリスでは、魚介アレルギーは成人に多いアレルギーのひとつとして挙げられています。症状は一般的なアレルギー症状と同様、じんましんや湿疹がでるなどです。

ただし、アレルギーの場合は、程度によっては呼吸困難など重篤な状態になることもあります。

魚を食べるたびに決まって症状が出るとか、吐き気をもよおすような場合は、病院で検査してアレルゲンをつきとめたほうがいいでしょう。

(3) 不飽和脂肪酸は鮮度が重要

オリーブオイル漬のツナ缶やサバなどの青魚を食べると胃がもたれる、という人は、それらに多くふくまれている不飽和脂肪酸があわないのかも知れません。

不飽和脂肪酸は、飽和脂肪酸よりも体に良いと言われていますが、これは摂取量とバランスの問題であって、どちらが良いというわけではありません。

そして、不飽和脂肪酸の欠点は、酸化しやすく、これが原因で胃酸過多を引き起こすことがあります。

私は魚が大好物だったんですが、40歳を過ぎた頃から、サバ缶や油漬けのツナ缶が食べられなくなりました。すごい胸焼けします。

同じ理由で、油っこいものや動物性のたんぱく質(ノンオイルのツナ缶も)、しだいに避けるようになりました。

若い頃は、おっさんビジネスマン連中と一緒に昼食に行って、から揚げとハンバーグ定食とか、平気で食べていましたが、今は無理です。

まぁ、歳をとるにつれ、体もそれなりに自己調整していってるんでしょうし、変化を受け入れざるを得ません。

魚は食べ過ぎない方が良い

最後に、一般によく知られている注意点を2点ほど、老婆心ながら書き留めておきます。

ひとつは、魚に含まれる水銀の問題です。現在、市場で出回っている水産物は、多かれ少なかれ水銀を含んでいます。大きな魚はとくに水銀濃度が高いので、「食べ過ぎ」は禁物です。食うなと言っているわけではありません。

魚は週に2回までにせよ、いや週一回でも多い、などなど、説はいろいろありますが、妊娠期間中は魚を避けるべし、というのは、医療機関においてほぼ共通した意見です。

あと、ツナ缶に限らず、缶詰全般にいえることですが、缶詰食品に使用されている缶のほとんどには、ビスフェノールA (BPA) 樹脂が使われています。BPAとは環境ホルモンの一種で、人体のホルモンに悪影響を及ぼすと考えられています。

プラスチック容器に多く使われていますが、缶詰のコーティングにも使われています。なので、プラスチックだけでなく、できれば缶詰食品も最小限におさえたほうがいいかもしれません。

便利になった反面、なんだかいろいろありますね。
気にしだすときりがありませんが、長い目で健康のことを考えると、疑わしきものは減らす努力をしたほうがいいと思います。